【8282】ケーズホールディングス(東証プライム) NT
現在値 1,348円/100株 P/E 13.3 P/B 0.86 8月配当優待 2月配当優待
北関東地盤の家電量販。デンコードーなど買収し全国区へ拡大。現金値引きと郊外出店。
配当実績は3月末・9月末の合計44円のため、配当利回りは3.26%となります。
ケーズホールディングスは株主優待を実施しており、3月末・9月末に100株以上を保有する株主に対し、年2,000円分の優待券を進呈しておりますので、配当優待利回りは4.74%となります。なお1年以上の長期保有で+1,000円が追加されるため、配当優待利回りは最大で約5.48%まで上昇します。
業績を確認していきます。
■2021年3月期 売上高 7,925億円、営業利益 517億円、EPS 182.7円
■2022年3月期 売上高 7,472億円、営業利益 417億円、EPS 141.7円
■2023年3月期 売上高 7,373億円、営業利益 301億円、EPS 110.1円
■2024年3月期 売上高 7,450億円、営業利益 255億円、EPS 101.1円 ce
□2023年9月2Q 売上高 3,627億円、営業利益 108億円、EPS 48.2円
□2023年12月3Q 売上高 5,427億円、営業利益 139億円、EPS 64.5円(2/6)
2023年9月中間期の売上高はYoY▲1.8%の3,627億円、営業利益はYoY▲32.4%の108億円となり、期初予想を大幅に下回りました。記録的猛暑でエアコン等は堅調に推移したものの、平常化による巣ごもり反動減が続いたほか、電気代上昇や物価高騰によるマインド後退で上期の既存店売上高(SSS)は96.0%に留まりました。利益面については、売上減によるリベート減少のほか、ベースアップにより減益幅が拡大しました。出退店は出店7/退店5の純増2(総店舗数552)となりました。
なお2024年3月期の通期見通しは2Qで減額しており、売上高はYoY+1.0%の7,450億円(期予:7,660億円)、営業利益はYoY▲15.4%の255億円(期予:305億円)に其々修正しています。通期SSS前提は100.7%ですが、新型肺炎禍における需要の先食い反動と、家電買換サイクルの長期化も相俟って9ヵ月累計SSSは95.3%に留まっています。利益面については、燃料調整費の高騰一服で電気代こそ想定以下ながら、リベート減や人件費増が重く、減額見通しも未達懸念が燻ります。なお通期の出退店計画は出店16・退店8店のため、概ね計画線で進捗しています。
当社は2024年3月期を最終年度とする5年中計で、売上高を6,891億円→8,100億円、営業利益を327億円→490億円に引き上げる計画でしたが、昨年5月に数値目標を取り下げています。新型肺炎禍の補助金支給や郊外化、巣ごもりといった特需要素が全て“向かい風”に変わっており、物価高・エネルギー高で(地方)消費者のマインド低下もあって事業環境は急速に悪化しています。なお、今次中計における取組事項自体も既存店の現状維持、出店増、高付加価値商品販売、商品開発、経費削減とありきたりの内容で、浮上のきっかけに乏しい状況です。
当社は“がんばらない経営”、“無理をしない経営”といったスローガンに代表される、特徴のない経営が特徴となっています。自社社員輸送網による即時配送を強化するヨドバシカメラや、楽天との協業と先進物流施設を活用するビックカメラのようにEC投資を進めるでもなく、同じく郊外型のヤマダHDのように住宅施工や戸建分譲、大塚家具の買収など多角化を進めるわけでもありません。どちらかというと接客重視のノジマ(横浜)に近いものの、神奈川を地盤とする同社より顧客地盤が弱いエリアで展開しているため、物価高が続く現状は構造的に苦しい状況となっています。
そのため、当社の投資論点は株主還元のみとなります。昨年5月の中計の数値目標取り下げ時に総還元性向を50%→80%に、配当性向を30%→40%に其々引き上げており、配当金額は据置の年44円配当を予想しています(配当性向44%)。直近5期連続で80億円、187億円、112億円、200億円、93億円の自社株買い実績があるほか、進行期でも107億円分を既に買い終えており、総還元性向は事実上100%を超過する見通しです。
*参考記事① 2023-02-21 1,174円 OP
【8282】ケーズHD/巣ごもりによる買替一巡で郊外店厳しいが、厚い株主還元で下支え。
*参考記事② 2022-02-28 1,224円 OP
【8282】ケーズホールディングス/給付金特需剥落で下方修正も、多額の自社株買いを強力に推進。
*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。