【8282】ケーズホールディングス(東証プライム) OP
現在値 1,174円/100株 P/E 8.78 P/B 0.78 8月配当優待 2月配当優待
北関東地盤の家電量販。デンコードーなど買収し全国区へ拡大。現金値引きと郊外出店。
配当実績は3月末・9月末の合計44円のため、配当利回りは3.75%となります。
ケーズホールディングスは株主優待を実施しており、3月末・9月末に100株以上を保有する株主に対し、年2,000円分の優待券を進呈しておりますので、配当優待利回りは5.45%となります。なお1年以上の長期保有で+1,000円が追加されるため、配当優待利回りは最大で約7.15%まで上昇します。
業績を確認していきます。
■2020年3月期 売上高 7,082億円、営業利益 329億円、EPS 96.2円
■2021年3月期 売上高 7,925億円、営業利益 517億円、EPS 182.7円
■2022年3月期 売上高 7,472億円、営業利益 417億円、EPS 141.7円
■2023年3月期 売上高 7,530億円、営業利益 340億円、EPS 133.7円ce修正
□2022年9月2Q 売上高 3,694億円、営業利益 160億円、EPS 65.9円
□2022年12月3Q 売上高 5,564億円、営業利益 220億円、EPS 92.8円(2/1)
2022年9月中間期の売上高はYoY▲1.5%の3,694億円、営業利益はYoY▲27.0%の160億円となり、期初予想を下回りました。梅雨明けこそ高温によりエアコン等が好調に推移したものの、逆に最盛期の7月やお盆は気温低下に見舞われて低調だったほか、東京五輪剥落で前年ハードルの高いTVも反落したため、上期の既存店売上高(SSS)は95.1%に留まりました。他方、利益面については仕入減少でリベートが減少したほか、人件費・光熱費が増加して、減益幅が拡大しました。出退店は出店7/退店0の純増7(総店舗数540)となりました。
なお、2023年3月期の通期見通しは2Qで減額しており、売上高はYoY+0.8%の7,530 億円(期予:7,530億円)、営業利益はYoY▲18.6%の340億円(期予:430億円)に其々修正しています。通期SSS前提は102.5%ですが、3QでのサッカーW杯特需も限定的だったため、上期ビハインドも通算した9ヵ月累計SSSは95.7%に留まっています。利益面については、下期からのリベート復活が寄与するものの、低採算のPC割合増によるミックス悪化や、記録的な電気代の上昇が重しとなり、減益幅は更に拡大する公算です。なお、通期の出退店は出店18・退店1を計画ですが、3Q時点で純増13とまずまず進捗しています。
当社は2024年3月期を最終年度とする5年中計で、売上高を6,891億円→8,100億円、営業利益を327億円→490億円まで引き上げる計画です。今次中計での主要な取組事項は既存店の現状維持、出店増、高付加価値商品販売、商品開発、経費削減とありきたりの内容となっています。そのため、新型肺炎禍特需による“あぶく銭”で投資を進め、噴いた業績を定着させられるかどうかが焦点となりますが、巣ごもり一巡による買替需要後退が早くも顕在化しているため、中計達成の可視性は大きく後退しています。
当社は同業他社比で“特徴が無いのが特徴”となっています。自社社員輸送網による即時配送でECを席巻するヨドバシカメラをはじめ、楽天協業や先進物流施設でEC投資を進めるビックカメラは傘下のコジマをEC補完の実店舗として活用するなどしているほか、ヤマダHDも住宅施工や戸建分譲、大塚家具の買収など業容拡大に動いているものの、当社にはそうした戦略が一切ありません。また、郊外店中心のためインバウンド回復による上がり目がなく、かねてからのローコスト経営で極限までコストが絞られている一方で、電気代が尻上がりとなっているため、当面は売上面・利益面ともに構造的苦の状況が続きます。
そのため、当社の投資論点は株主還元のみとなります。配当は1円増配となる年44円配当を予想していますが、配当性向は減額後でも32.9%に留まっています。また、直近4期連続で80億円、187億円、112億円、200億円の自社株買いを実施しているほか、足許でも100億円の買付を新たに公表しているため、進行期の総還元性向も6割弱に上る見通しです(総還元性向目標は50%以上)。
*参考記事① 2022-02-28 1,224円 OP
【8282】ケーズホールディングス/給付金特需剥落で下方修正も、多額の自社株買いを強力に推進。
*参考記事② 2021-07-10 1,237円 OP
【8282】ケーズホールディングス/郊外店追い風で業績は高位安定、更なる株主還元強化に期待。
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