【8282】ケーズホールディングス/郊外店追い風で業績は高位安定、更なる株主還元強化に期待。 | なちゅの市川綜合研究所

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【8282】ケーズホールディングス(東証1部) OP

現在値 1,237円/100株  P/E 7.97  P/B 0.93 8月配当優待 2月配当優待

北関東地盤の家電量販。デンコードーなど買収し全国区へ拡大。現金値引きと郊外出店。

配当実績は3月末・9月末の合計40円のため、配当利回りは3.22%となります。

ケーズホールディングスは株主優待を実施しており、3月末・9月末に100株以上を保有する株主に対し、年2,000円分の優待券を進呈しておりますので、配当優待利回りは4.83%となります。なお1年以上の長期保有で+1,000円が追加されるため、配当優待利回りは最大で約6.44%まで上昇します。

業績を確認します。当社は2022年3月期より企業会計基準第29号(新収益)を適用しています。

■2018年3月期 売上高 6,791億円、営業利益 307億円、EPS 110.6円 

■2019年3月期 売上高 6,891億円、営業利益 327億円、EPS 103.1円 

■2020年3月期 売上高 7,082億円、営業利益 329億円、EPS 96.2円  

■2021年3月期 売上高 7,925億円、営業利益 517億円、EPS 182.7円  

■2022年3月期 売上高 7,720億円、営業利益 445億円、EPS 155.2円ce新収益 
□2021年9月中 売上高 3,830億円、営業利益 228億円、EPS 81.5円ce新収益

2021年3月期の売上高は、前期比11.9%増の7,925億円、営業利益は同56.8%増の517億円となり、期初予算を大きく上回って2桁増収・5割を超える増益となり、トップラインから全段階で過去最高を更新しました。新型肺炎禍により昼間人口が都市部から郊外に移行し、郊外立地店舗に追い風となったほか、テレワークや巣ごもり需要によりPCや大型TVの売上が好調に推移し、既存店売上高(SSS)は109.9%まで大きく上伸しました。他方、利益面については、売上好調に伴いチラシ等が広告費の抑制され、従業員のベアや冬季賞与増額を軽くこなして大幅増益を確保しました。なお出退店は出店24店、退店9店の純増15店となっています。


進行期である2022年3月期通期の見通しについては、企業会計基準第29号(新収益)を採用したことにより会計上は若干の減収増益となる見えががり上の影響があるものの、売上高は前期比2.6%減の7,720億円、営業利益は同14.0%減の445億円と反落を見込んでいます。予算上のSSSについては95.6%を前提としており、給付金特需が剥落するものの、新型肺炎禍による巣ごもり需要や郊外店舗選好は継続するとみており、前年ハードルがかなり高いものの踏みとどまる想定です。なお出店については19店、退店1店と純増18店を計画しています。

 

当社は2024年3月期を最終年度とする5年中計を走らせており、2019年3月期からの5年間で売上高を6,891億円→8,100億円、営業利益を327億円→490億円まで引き上げる計画です。上述のとおり新収益基準への切り替え影響があるものの、足許で僅かにロールして着地目標を微増額したことから、目下順調に推移していることが伺えます。中計期間中の主要取組は既存店の現状維持、出店増、高付加価値商品販売、商品開発、経費削減とありきたりな内容ですが、足許の順調さは取組の結果というよりは新型肺炎禍による想定超の“追い風”効果が支えているものと解されます。

 

当社は同業の家電量販店他社との比較で“特徴が無いのが特徴”となっています。ビックカメラが自前の物流拠点(在庫センター)を拡充し、ECを主軸に実店舗と傘下コジマにECのサポート機能としての役回りを鮮明にさせているほか、ヤマダHDは店舗に軸足を置くものの住宅施工や大塚家具といった非家電事業を充実させるなど独自色を出していますが、当社にはそういった戦略はありません。また他社が注力するような自社PBにも殆ど取り組んでおらず、「がんばらない経営」というスローガンに象徴される従来型家電量販店型経営を続けており、出店ないしMAでしか成長を期待出来ない点が最大のネックとなりますので、新型肺炎禍の追い風一巡後は改めて当社の成長戦略を確認する必要がありそうです。

 

そのため、当社の投資論点については主に株主還元策に集約されるものと考えています。配当については年40円配当の据置を予想していますが、配当性向は目標とする30%に届かない25.8%に過ぎないため、高水準の自己資本比率(64.2%)を鑑みればなお一層の株主還元余地があるものと考えています。実際にここ3年で80億円、187億円、112億円とまとまった額の自社株買いを実行しているため、増配と自社株買いの両面で還元強化を改めて期待したいと思います。

 

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