【2705】大戸屋HD/セントラルキッチンの一次利用が奏功、“手作り感”を残して既存店快走。 | なちゅの市川綜合研究所

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【2705】大戸屋ホールディングス(東証STD)  NT

現在値 5,340円/100株 P/E 35.7  P/B 8.9 3月配当株主優待 9月株主優待

定食専門店『大戸屋ごはん処』を直営・FCで首都圏中心に展開。
配当基準日は3月一括の年5円配当のため、配当利回りは0.10%を予想しています。


大戸屋ホールディングスは株主優待を導入しており、3月末、9月末に100株以上を保有する株主に対して4,000円分のカードタイプの食事券を年2回進呈しておりますので、(配当)優待利回りは約1.59%となります。

業績は以下の通りとなります。

■2021年3月期 売上高 161億円、営業利益▲33.4億円、EPS▲659.2円 

■2022年3月期 売上高 188億円、営業利益▲5.9億円、EPS 249.5円 

■2023年3月期 売上高 238億円、営業利益 2.7億円、EPS 23.8円 

■2024年3月期 売上高 266億円、営業利益 14.0億円、EPS 134.8円 ce
□2023年9月2Q 売上高 134億円、営業利益 7.2億円、EPS 75.5円

□2023年12月3Q 売上高 206億円、営業利益 11.4億円、EPS 117.3円 (2/8)

2023年9月中間期の売上高はYoY+21.8%の134億円、営業利益はYoY+9.8億円の7.2億円となり、計画比は無いものの増収増益となりました。前期に実施した値上げの通期寄与のほか、7月のメニュー改変で投入した夏野菜や大判アジフライといった季節商材の好調等もあり、既存店売上高(SSS)については118.7%と高水準となりました。利益面については、売上増とメニュー改変による採算性改善で、人件費や各種原価増を飲み込んで大幅増益となりました。なお出退店については純減1となり、上期末総店舗数は430となりました。


なお2024年3月期通期見通しは期初のものを据え置いており、売上高がYoY+11.8%の266億円、営業利益はYoY*5.1倍の14.0億円を予想しています。下期の季節性商材として、大粒牡蠣フライや国産黒部和牛のすき焼きを投入したほか、アプリによるクーポン集客も寄与し、2月までの11ヶ月分が開示済のSSSは114.8%と高水準の仕上がりとなっています。2月8日開示済の3Qは、売上高206億円&営業利益11.4億円で推移しており、上振れ圏にあります。

 

当社は2020年のコロワイドによる敵対的TOBで、創業家の三森家の一派を追い出した前社長の窪田氏らを一掃し、コロワイド本体の蔵人賢樹専務が社長に就任しています。同社傘下となってからの3年中計で、今2024年3月期までに売上高161億円→258億円、EBITDA▲28.5億円→20.7億円まで引き上げる計画としています。上述のとおり今期は上振れ含みにあるものの、出来上がりの推定EBITDAは18億円程度とみられ、売上目標は達成するものの、利益目標は未達となる公算です。

 

コロワイドの目的は定食屋である大戸屋の“看板“獲得のほか、本体事業の不採算居酒屋の大戸屋への転換、全国に5カ所存在するセントラルキッチンの共同利用によるコスト削減を目指していました。然しながら、“手作り感”を維持する方向に転換し(セントラルキッチンの活用は一次加工まで)、店内調理工程を相当程度残すこととしました。このハイブリッド方式により、味を落とすことなく提供時間を短縮化したほか、“手作り感”による高単価化余地を残すことに成功しました。

 

他方で、値上げによって30~40代のオジサン客層を中心とした客離れが進行していたことから、3年以上利用のない離脱層の呼び戻しに注力しており、アプリの割引販促を強化するほか、肉厚鉄板トンテキ定食の開発、香味唐揚げの個数増量対応、ハンバーグ類の拡充などを行っています。このほか、新フォーマットとしてロードサイド型のそば業態を開発し、田無と淵野辺に2店を出店していますが、これはすかいらーくの「そば八郎」を意識した動きと解されます。

 

なお株主還元については、前期から年5年の復配に踏み切っており、進行期も横ばいを予想しています。財務的には自己資本比率41.9%と余裕があるものの、累損(利益剰余金▲20億円)状態であるほか、コロワイドを相手先とする優先株30億円の優先配当金支払い(年3.5%/延べ1億円超)もあるため、普通株配当は当面抑制される見込みです。
 

*参考記事① 2023-10-04  4,880円 NT

【2705】大戸屋HD/既存店は顕著な回復傾向も、各種コスト増で採算性改善は道半ば。


*参考記事② 2021-09-10 2,842円 NT

【2705】大戸屋ホールディングス/3年でEBITDA約50億もの改善見込むが、過大感が強い。

 

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。

 

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