【2705】大戸屋ホールディングス(東証JQS) NT
現在値 4,880円/100株 P/E 32.6 P/B 9.9 3月配当株主優待 9月株主優待
定食専門店『大戸屋ごはん処』を直営・FCで首都圏中心に展開。
配当基準日は3月一括の年5円配当のため、配当利回りは0.10%を予想しています。
大戸屋ホールディングスは株主優待を導入しており、3月末、9月末に100株以上を保有する株主に対して4,000円分のカードタイプの食事券を年2回進呈しておりますので、(配当)優待利回りは約1.74%となります。
業績は以下の通りとなります。
■2021年3月期 売上高 161億円、営業利益▲33.4億円、EPS▲659.2円
■2022年3月期 売上高 188億円、営業利益▲5.9億円、EPS 249.5円
■2023年3月期 売上高 238億円、営業利益 2.7億円、EPS 23.8円
■2024年3月期 売上高 266億円、営業利益 14.0億円、EPS 134.8円 ce
□2023年6月1Q 売上高 65.8億円、営業利益 2.8億円、EPS 27.0円 (8/9)
□2023年9月2Q 売上高 132億円、営業利益 6.0億円、EPS 62.1円 四e
2023年3月期の売上高はYoY+26.6%の238億円、営業利益はYoY+8.7億円の2.7億円と大幅な増収増益ながらも計画未達となりました。既存店売上高(SSS)については、時短明けで前年ハードルの低い上半期に限らず、軒並み110%超をキープしたものの、夏場の感染拡大影響で想定以下となりました。利益面についても、原材料費や人件費、エネルギーコストの上昇により運営経費が増大し、黒字転換に留まりました。なお出退店については、出店17に対し退店10の純増7となり、期末総店舗数は431となりました。
進行期である2024年3月期の予想ついては、売上高がYoY+11.8%の266億円、営業利益はYoY*5.1倍の14.0億円を予想しています。8月までの5ヶ月分が開示済のSSSは116.3%と高水準をキープしているほか、足許7月・8月は120%超と一段増となっています。宣伝費を積み増してTVCMを投入しているものの、これが営業時間の正常化にフル寄与しているほか、提供時間の短い好採算メニューへの刷新により、営業効率が改善しています。なお8月9日開示済の1Qは、売上高65.8億円&営業利益2.8億円と順調な推移が確認されます。
当社は2020年にコロワイドによる敵対的TOBで、創業家の三森家の一派を追い出した前社長の窪田氏をはじめとする旧経営陣を一掃し、コロワイド本体の蔵人賢樹専務が社長に就任しています。同社傘下となってからの3年中計で、この2024年3月期に売上高161→258億円、EBITDA▲28.5→20.7億円まで引き上げる計画としていましたが、進行期予算に照らせば、売上こそ計画線ながら、EBITDAは推定17.0億円程が精々とみられます。
当初コロワイドは定食屋である大戸屋の“看板“の獲得だけを企図し、本体運営の居酒屋不採算店舗の大戸屋転換や、全国に5カ所存在するセントラルキッチンの共同利用で自社のマーチャンダイジングに乗せてコスト削減(定食あたり100円を値引して顧客還元)する青写真でした。然しながら、“手作り感”の維持を目的に店内調理工程を相当程度残すオペレーションに変更したほか、人件費・食材原価・水道光熱費の高騰により、想定水準の採算性改善が難しくなったと解されます。
当面は3年以上店舗利用のない「離脱層の呼び戻し」による売上回復に取り組む計画としており、上述のTVCM投入にくわえ、フードコートやスーパー銭湯への出店による接点の増加や、復刻メニューの再販、“牡蠣フェア”や“すき鍋フェア”といった季節性素材を活かした集客強化を進めています。店内飲食店以外にも、調布パルコに惣菜物販専門店を開設したほか、オイシックスとの協業、スーパー/DgSへの冷食提供で販売チャネルの多角化を推進しています。
なお株主還元については、終わった期から年5年の復配に踏み切っており、進行期も横ばいを予想しています。財務的には自己資本比率37.6%と余裕があるものの、累損(利益剰余金▲24億円)状態であるほか、コロワイドを相手先とする優先株30億円の優先配当金支払い(年3.5%/延べ1億円超)もあるため、普通株配当は当面抑制される見込みです。
*参考記事① 2021-09-10 2,842円 NT
【2705】大戸屋ホールディングス/3年でEBITDA約50億もの改善見込むが、過大感が強い。
*参考記事② 2020-09-17 2,900円 NT
【2705】大戸屋ホールディングス/コロワイドTOBが成就、幹部やFC離反の懸念は論点にあらず。
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