【9832】オートバックスセブン/暖冬影響で既存店弱含む、自社株買いなどの還元拡充のみ論点。 | なちゅの市川綜合研究所

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【9832】オートバックスセブン(東証プライム) OP

現在値 1,627円  P/E 14.1  P/B 0.97 3月配当優待 9月配当優待

自動車用品の国内最大手。「オートバックス」中心に全国展開、海外も。
配当金は3月末・9月末合計60円のため、配当利回りは3.69%となります。

オートバックスセブンは株主優待制度を実施しており、単元株以上を1年以上保有する3月末・9月末株主に対して、年2回1,000円相当の商品券を進呈しておりますので、配当優待利回りは約4.91%となります。

業績を確認していきます。企業会計基準第29号(新収益認識)基準を採用しています。
■2021年3月期 売上高 2,204億円、営業利益 105.7億円 EPS 88.2円 

■2022年3月期 売上高 2,285億円、営業利益 115.5億円 EPS 89.1円

■2023年3月期 売上高 2,362億円、営業利益 117.2億円 EPS 92.8円

■2024年3月期 売上高 2,342億円、営業利益 119.0億円 EPS 115.4円ce修正(7/31)

□2023年9月2Q 売上高 1,118億円、営業利益 34.5億円 EPS 65.9円 

□2023年12月3Q 売上高 1,796億円、営業利益 89.9億円 EPS 116.8円(1/31) 

2023年9月中間期の売上高はYoY+4.5%の1,118億円、営業利益はYoY▲1.5%の34.5億円となり、予算比は無いものの増収減益となりました。主力の国内オートバックス(AB)事業は5月のタイヤ値上げ効果や既存車メンテナンス需要が好調に推移し、実績SSSは102.5%と予算前提の水準を確保しました。商品別では、オイルやバッテリーといったメンテ品が好調に推移した一方、カーナビやドライブレコーダーといったカーエレ系商材が引き続き低調に推移しました。


なお2024年3月期の通期見通しは7月末に修正しており、売上高がYoY▲0.9%の2,342億円(期予:2,430億円)、営業利益はYoY+1.5%の119億円(期予:123億円)に修正しており、これは9月に傘下の輸入車販売店を期中売却して連結除外した影響に由ります。既存店については、暖冬影響でタイヤ類(ホイール、チェーン)が低調で、1月分まで開示済のAB事業のSSSは前提100.9%に対して実績99.5%に沈んでいます。1月末開示の3Qについては、売上高1,796億円&営業利益89.9億とやや弱含みで進捗しています。

 

当社は今般、2033年3月期を終期とする10年長計を公表しており、売上高を2,362億円→5,000億円に引き上げることとし、総投資額は1,000億円(既存事業成長50~60%、維持10%~20%、新事業創出20%)を見込んでいます。なお進行期は計数目標のない単年都度予算型の5年中計の最終年度となっています。定性取組方針として、①国内AB事業強化、②小売収益拡大、③実験業態見直し、④海外小売事業縮小、⑤IT・物流基盤再構築、の5点を挙げています。

 

①・②については、店舗数自体は横ばい圏(国内500店程)で推移しており、専ら既存店改装に取り組んでいます。またアッセンブラー側の日産自動車と提携し、新車カタログへのカー用品掲載&同社ディーラー(2,100店舗)での販売のほか、「サクラ」や「セレナ」への専用アイテム開発を行っています。ディーラー/B2B拡大の取組として、中国のEVメーカーのBYDと契約を締結し、外車のディーリングをBMW・MINI・Audiの4ブランド体制に拡充したほか、B2B強化策として卸売専用PB開発や一括購買サービスを開始しています。

 

④の海外は人件費が高騰するフランスを中心に、豪州以外は赤字圏となっており、33店を展開するタイは2022年3月期から連結子会社から持分法に落としたほか、インドネシアの合弁会社もパートナーのCSAに全株売却して持分法から外しています。他方で国内においても、BMW/MINIのディーラー2社を双日と茨城日産に売却して事業の取捨を進めるだけでなく、人員削減による本業のリストラ(但し100名枠に対して応募16名)を実施しています。

なお財務の状況については、ネットキャッシュで160億円程がダブついています。横ばい成長の続く当社の投資論点については、あくまで株主還元策にあると考えており、現状では年60円配当予想(配当性向51.9%)が維持されているものの、今次中計では「総還元性向100%」が謳われていることから、追加的な自社株買いが待たれる状況です。

 

*参考記事① 2023-03-21 1,422円 OP

【9832】オートバックスセブン/既存店は堅調に推移、BYDと提携でEV販売増を目指す。

 

*参考記事② 2022-10-05  1,386円  OP

【9832】オートバックスセブン/投資論点なき横ばい成長が続く、自社株買い待ち。

 

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