【6458】新晃工業/データセンター向け空調快走&課題の中国復調で、中計前倒しで増額ローリング。 | なちゅの市川綜合研究所

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【6458】新晃工業(東証PRM) OP

現在値 3,125円/100株  P/E 14.6  P/B 1.34 3月配当優待 9月配当

セントラル空調機器シェア4割。業務用空調機の中堅。中国やタイ進出。
配当は3月末・9月末の年2回合計85円のため、配当利回は2.72%となります。

 

新晃工業は株主優待を導入しており、3月末に単元株を保有する株主に対して、1,000円分の図書カードを進呈していますので、配当優待利回りは3.04%となります(※1年以上継続保有の場合)

業績を確認していきます。 

■2021年3月期 売上高 391億円、営業利益 65.6億円 EPS 194円

■2022年3月期 売上高 415億円、営業利益 52.0億円 EPS 147円 

■2023年3月期 売上高 448億円、営業利益 59.9億円 EPS 178円 

■2024年3月期 売上高 500億円、営業利益 71.0億円 EPS 214円 ce(11/8)
□2023年9月2Q 売上高 222億円、営業利益 25.2億円 EPS 83.1円

□2023年12月3Q 売上高 362億円、営業利益 53.3億円 EPS 169.1円(2/8)

2023年9月中間期の売上高はYoY+24.5%の222億円、営業利益はYoY+73.2%の25.2億円となり、対前・対計画で増収増益となりました。期初受注残高がYoY+18.2%の147億円と高水準だったほか、新型肺炎禍の部材調達難も一巡し、国内向けは産業空調・空調工事の稼働率が100%を超えるなど高水準を記録しました。海外向けについても、主力の中国のインフラ受注が堅調に推移し、苦戦の続いていた上海も黒字化にこぎつけました。

 

なお2024年3月期の通期見通しは中間時点で増額しており、売上高はYoY+11.6%の500億円(期予:465億円)、営業利益はYoY+18.4%の71.0億円(期予:63.0億円)に修正しています。中間時点の受注残高は国内はYoY+34.1%の223億円と高水準をキープしており、旺盛なデータセンター(DC)向けや都市再開発案件、製造業の国内回帰傾向から産業用空調の堅調な推移が見込まれます。2月8日に開示済の3Qは売上高362億円&営業利益53.5億円と増額見通し比で上振れ圏となっています。

 

進行期は翌2025年3月期を最終年度とする4年中計の3年度目の位置付けであり、最終的に売上高520億円(CAGR7%)・営業利益75億円(CAGR3%)を目標としていましたが、今次増額修正で1年前倒しによる達成見込みとなったことから、1年前倒しでローリングしています。新中計における2027年3月期の計数目標は売上高560億円&営業益86億円とし、数字を洗替えています。

 

取組事項は“SIMAプロジェクト”という原価低減計画を基礎とし、AIを活用した個別受注のDX化により、営業面の需要予測から設計・積算・製造までをシステムで一気通貫させる方針です。これ以外の個別の取組方針として①DC向けソリューション強化、②個別空調強化、③工事・メンテナンス事業強化、④再エネ蓄熱水素強化、の4点を掲げています。

 

①のDC向けは、FCU等の従来型空調設備工事のTAM2,100億円との比較では、現状250億円程のTAMに過ぎないものの、クラウド利用増やサーバーの高性能化で発熱量が増加しており、更なる空調機能が求められているため、水AHUで圧倒的な強みを持つ当社の事業機会拡大が見込まれます。また高機能性ニーズだけでなく、海外勢だけでなく国内デベロッパーもDC建設に乗り出すなどDC市場それ自体が急拡大していることから、TAMの成長も強い追い風となります。

 

➁の個別空調強化の取組として、2017年にダイキン工業と資本業務提携(被出資4.9%)し、ヒートポンプAHUの製造販売に参入しています。水AHUより環境負荷があるものの、従来型ヒートポンプの需要は根強く、個別空調市場取込のための戦略商材として位置付けています。また現地での熾烈な価格競争影響を受けていた上海子会社(持分50%)も、ロックダウンの終了と価格競争に晒されにくい高機能型モデルの投入等により、やっと浮上しつつある状況です。

 

株主還元については、今次新中計で従来の「配当性向24%~34%」から「配当性向50%目標&DOE3.5%下限」に配当フォーミュラを大きく変更しています。これにより進行期の予想配当は一気に28円増配となる年85円配当(配当性向39.7%)に修正しています。なお当社はネットキャッシュ110億円にくわえ、130億円程の有価証券(高砂熱学工業や三機工業など)を抱えるなど好財務体質であり、別途自社株買い等も十分期待出来ます。


*参考記事① 2023-09-04 2,044円 OP

【6458】新晃工業/国内データセンター向け空調が伸長、供給体制正常化で改めて期待。

 

*参考記事➁ 2021-09-03  2,187円 OP

【6458】新晃工業/4年中計開示も成長鈍い、先ずは株主還元の充実を期待したい。 

 

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