【3993】PKSHA Technology/生成AI&LLM需要増、IFRS移行で利益嵩上げ。 | なちゅの市川綜合研究所

なちゅの市川綜合研究所

「別に勝たなくてもいいので、負けないこと」を志向しております。
本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報等に基づき、作成されています。
当ブログの情報に全面的に依拠することはお控えいただき、最終的なご判断はご自身でお願いいたします。

image

【3993】PKSHA Technology(東証STD) NT

現在値 6,470円/100株  P/E 133.3  P/B 6.69  9月配当(無配) 株主優待なし

深層学習などAIアルゴリズム機能を開発・提供。MaaSや実店舗向けサービスを強化。


配当基準日は9月末ですが、配当実績はなく今期も無配予想となっています。

PKSHA Technologyは株主優待制度を導入しておりせん。


業績を確認していきます。2024年9月からIFRSに移行しています。

■2021年9月期 売上高 87.2億円、営業利益 7.1億円 EPS 4.8円

■2022年9月期 売上高 115億円、営業利益 15.6億円 EPS 27.3円

■2023年9月期 売上高 139億円、営業利益 17.1億円 EPS 24.8円 

■2024年9月期 売上高 160億円、事業利益*25.0億円 EPS 18.3円 ce_IFRS

□2023年12月1Q 売上高 38.6億円、事業利益*7.8億円 EPS 17.5円(2/14)

□2024年6月2Q 売上高 76.0億円、事業利益*11.0億円 EPS 24.9円 四e

2023年9月期の売上高はYoY+20.8%の139億円、営業利益はYoY+9.8%の17.1億円となり、予算を上振れました。AI Resarch&Solution(AI R&S)事業は生成AI/LLMのソリューション案件が好調に推移したほか、新型肺炎禍の一巡によりモビリティ分野の駐車場運営事業者の投資意欲回復が寄与しました。AI SaaS事業も、特にコンタクトセンターの知能化領域の引き合いが好調に推移し、ARRはYoY+19.9%の59.1億円、アップセルも進んでNRRは103.3%を確保しました。

 

進行期である2024年9月期からはIFRSに移行し、売上高がYoY+15.0%の160億円、事業利益は25億円(注:従来基準の営業利益はYoY+16.3%の20.0億円)を見込んでおり、15%程度の増収増益を見込みます。AI R&S事業はアルゴ/ソリューション開発案件の新規顧客増と共同開発案件の大型化で一段増が見込まれます。AI SaaS事業についても、パートナー企業を介したOEM型提供による販路拡大で増販を計画します。なお2月14日開示の1QのARRはYoY+17.7%の60.1億円、顧客数も同+387社の2,674社と高い成長モメンタムを維持しています。

 

当社は4ヵ年の中期計画として、最終年度である進行期に売上高250億円(CAGR33%)&営業利益50億円(CAGR68%)を目指していましたが、売上・利益ともに大幅未達となる公算です。これは新型肺炎禍でモビリティ事業が低調に推移して、見えがかりの売上高が少なからず減少したほか、計画期間途中から年100人規模の積極採用策を採ったことによる大幅な人件費増加、計画外ののれん等償却(※後述)で利益水準で大きく押し下げられたことが影響しています。

 

未達公算の高い今次中計はロールせずに期末まで据え置くものの、引き続き高水準の投資余力が成長ドライバーとして目されます。2019年に公募調達した200億円(@5,897円)を活用して、駐車場機器のアイドラ社(年商45億円/営業利益2億円)、デジタル技術内製化ソフト&RPA補完ツールのアシリレラ社(買収額50億円、年商9億円/営業利益5.6億円)、オウケイウェイブのFAQ事業(買収額71億円、年商21億円/営業利益8.4億円)を相次いで買収し、なおネットキャッシュ120億円を残しています。

 

なおこれら買収によるのれん代/顧客関連資産などが合算で100億円弱となり、償却による営業利益押し下げ額が年10億円程あったものの、今般のIFRS移行で見えがかり上のP/Lヒットが限定的となります。また、人件費自体は増加しているものの、信託型SOの実質給与処理化(源泉所得税納付義務発生)問題については、既に▲14.4億円の一過性損失を計上して処理を済ませています。新中計は翌期に策定されるとみられ、足許ではGPT等のLLM全盛期で非常に強い“追い風”の事業環境にあるものの、従来中計比で1~2年遅れの進捗と解されます。

 

財務面については、のれん等無形資産の割合が大きいものの、自己資本比率は80%程度となっています。頭脳集約的ビジネスモデル特段の資金需要がなく、既に配当を開始出来るような業績水準になっているものの、会社側では買収のための資金温存意向があるとみられ、株価水準に応じた自社株買い以外の株主還元は期待薄と解されます。


*参考記事① 2023-03-07 2,072円  BY

【3993】PKSHA Technology/Chat GPT脚光で、AI_FAQ事業が飛躍へ。

 

*参考記事② 2022-01-27 2,016円  OP

【3993】PKSHA Technology/PO資金をテコに大型買収相次ぐが、のれん償却重め。

 

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。

 

にほんブログ村 株ブログ 株主優待へ にほんブログ村 株ブログ IPO・新規公開株へ にほんブログ村 株ブログ サラリーマン投資家へ