【3993】PKSHA Technology/PO資金をテコに大型買収相次ぐが、のれん償却重め。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3993】PKSHA Technology(東証マザーズ) OP

現在値 2,016円/100株 P/E 236.3 P/B 2.17  9月配当(無配) 株主優待なし

深層学習などAIアルゴリズム機能を開発・提供。MaaSや実店舗向けサービスを強化。


配当基準日は9月末ですが、配当実績はなく今期も無配予想となっています。

PKSHA Technologyは株主優待制度を導入しておりせん。


業績を確認していきます。

■2018年9月期 売上高 15.0億円、営業利益 5.9億円 EPS 23.6円 

■2019年9月期 売上高 30.6億円、営業利益 7.2億円 EPS 15.0円 

■2020年9月期 売上高 73.3億円、営業利益 6.3億円 EPS 57.8円 

■2021年9月期 売上高 87.2億円、営業利益 7.1億円 EPS 4.8円

■2022年9月期 売上高 120.0億円、営業利益 10.0億円 EPS 8.5円 ce

□2022年3月中 売上高 56.0億円、営業利益 5.0億円 EPS 4.4円 四e

2021年9月期の売上高はYoY+18.0%の87.2億円、営業利益はYoY+12.4%の7.1億円となり、2桁の増収増益となったものの、若干の期初予算未達となりました。Mobility&MaaS(M&M)事業については、駐車場の画像解析アルゴ、ロックレス方式の需要は底堅かった一方、新型肺炎禍で駐車場の新規開設意欲が後退したことから、新規導入は低調となりました。他方、Cloud Intelligence(CI)事業は、ソリューション案件の新規受託、アルゴ自動応答エンジン「BEDORE」を中心としたラインセンス積み上がりにくわえ、期中買収したアリシレラ、PRAZNAの2社(※後述)の一部寄与もあり、当該セグは大幅増収となりました。

 

進行期である2022年9月期の予算については、売上高YoY+37.5%の120.0億円、営業利益YoY+40.2%増の10.0億円とおよそ4割の増収増益を予想しています。セグメントを改組し、現行のM&M事業および研究機関等とのR&DをドメインとするAI Resarch&Solution事業と、現行のCI事業の「BEDORE」 に、買収ブランドの「OKBIZ」「asirrea」を加えた3本柱をAI SaaS事業として仕切り直します。これまでAIは社内業務効率化といった領域での利用が主だったものの、目下では顧客接点領域での活用が進んでいるため、汎用化による拡販を図る方針ですが、全社では主として買収効果による上乗せにより増収となります。

 

当社は4年間の中期目標として、2024年9月期に売上高250億円(CAGR33%)、営業利益50億円(CAGR68%)を掲げています。この2022年9月期までは利益を抑制して投資を先行させる方針であり、延べ150~160億円もの先行投資を実施する計画です。そしてその原資については、株価が非常に高かった新型肺炎前の2019年7月に実に200億円(@5,897円)を公募で調達していたことから、この“唸るほどの現金”が中長期的には大きな成長ドライバーとなることが目されます。

 

上記POと同時期に駐車場機器の製造・販売を行うアイドラ社(年商45億円/営業利益2億円)を28億円+α、で買収しています。また、昨年5月にはデジタル技術内製化ソフトや、RPA補完ツールやノーコードツールを提供するアシリレラ社(年商9億円/営業利益5.6億円)を50億円で買収したほか、オウケイウェイブ社の主要事業であるFAQ向けSaaS事業(年商20.9億円/営業利益8.4億円)を70.9億円で矢継ぎ早に買収しています。

 

これら買収に延べ150億円程を投じたものの、増資の調達資金と借入で賄ったことからなお128億円の手許現金を有しており、なお余力を温存しているような状況です。他方、この買収シナジー発現のため、この2022年9月期には期末360名だった社員数を1年で100名増やす計画を公表しており、手薄な営業人材の確保により、本格的な売上拡大を図ります。特にアイドラ、アシリレラ、オウケイウェイブの買収で巨額ののれん代(各20億円・40億円・54億円、期末では計94億円)が発生しており、20年償却としても年5億円弱の営業利益下押し要素になることから、見えズラ上も早期収益化が必須となりますが、足許の大量採用の戦力化までの時間を考慮すると、中計目標である営業益50億円の達成可視性は未だ高まっていない状況と考えられます。

 

なお財務面については、上でも触れたとおり、(B/Sにおけるのれん割合が激増したものの)自己資本比率は80.4%と盤石な状況です。会社としては依然として投資フェーズのため、配当するような状況ではありませんが、足許で2.4億円程の自社株買付(※当初枠は20億円も重要事実存在を理由に殆ど買わず)を実施しており、既に買付期間自体は終了したものの、株価次第では今後も実施される可能性があり、下支え要素として期待されます。

 

*参考記事① 2021-01-27 3,275円 NT

【3993】PKSHA Technology/一昨年の大型POの恩恵大、合弁先のネームも強い。

 

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