【3993】PKSHA Technology(東証マザーズ) NT
現在値 3,275円/100株 P/E 283.8 P/B 3.62 9月配当(無配) 株主優待なし
深層学習などAIアルゴリズム機能を開発・提供。MaaSや実店舗向けサービスを強化。
配当基準日は9月末ですが、配当実績はなく今期も無配予想となっています。
PKSHA Technologyは株主優待制度を導入しておりせん。
業績を確認していきます。
■2017年9月期 売上高 9.3億円、営業利益 3.9億円 EPS 12.5円
■2018年9月期 売上高 15.0億円、営業利益 5.9億円 EPS 23.6円
■2019年9月期 売上高 30.6億円、営業利益 7.2億円 EPS 15.0円
■2020年9月期 売上高 73.3億円、営業利益 6.3億円 EPS 57.8円
■2021年9月期 売上高 95.0億円、営業利益 7.6億円 EPS 11.5円 ce
□2021年3月中 売上高 40.0億円、営業利益 3.5億円 EPS 6.6円 四e
2020年9月期の売上高は前期比2.4倍の79.3億円、営業利益は同11.9%減の6.3億円となり、売上高は予算超となった一方で利益はややショートしました。Mobility&MaaS事業については、前期に買収した駐車場機器販売のアイテック社の通期寄与効果による上乗せが寄与したほか、画像認識・3次元認識のアルゴ製品が伸長しました。Cloud Intelligence事業については、コールセンター向けアルゴ自動応答エンジン「BEDORE」を中心としたラインセンスが積み上がりがみられたものの、新型肺炎禍による商談遅延があったほか、全社的には先行投資による人件費やサーバー費用の増加が嵩んで利益が予算に届きませんでした。
進行期である2021年9月期の予算については、売上高が21.7%~35.3%増の90.0億円~100.0億円、営業利益は19.7%増の7.6億円と2割の増収増益を予想しています。Mobility&MaaS事業については、IoT自動予約化やスマホ決済機能拡充といった高度化により、駐車場機器販売・運営事業については堅調な推移を見込んでいます。Cloud Intelligence事業についても、新型肺炎禍を背景とした社会情勢の変化により言語解析や画像認識のアルゴ需要の増加が見込まれます。然しながら、全社で人材採用等の先行投資予算を▲10.5億円積んでいるため、これが重しとなり利益の伸び幅が限定的となる予算組みとなります(最終的にはこの費用増減で辻褄を合わせるとみられる)。
当社は中期目標として、4年後の2024年9月期に売上高250億円(CAGR33%)、営業利益50億円(CAGR68%)を掲げています。翌期までは利益を抑制して投資を先行させる方針であり、2022年9月期までの3ヵ年で延べ150~160億円もの先行投資を実施します。そしてその原資となる資金手当てを済ませていることが当社の大きな強みであり、新型肺炎前の株価が高い時期である2019年7月に353万株(@5,897円)で200億円に及ぶ巨額POを既に済ませているため、財務的には十分な余裕があります。
足許のMobility&MaaS事業の取組として、上記のPOと同時期に駐車場機器の製造・販売を行うアイドラ社(年商45億円)を28億円+α、で買収しています。同社は業界初のロック板の無い駐車場機器に特徴があり、防犯カメラを通じた入出庫管理やスマートホン決済など先進的な駐車場システムと機器を取り扱っているため、当社顧客かつ第4位株主(2.4%)のトヨタ自動車がモビリティ事業を拡大していることに平仄を合わせにいった業容拡大と考えられます。アイドラ社の買収にあたってのれん代が20億円発生したものの、同社の年間営業利益は2億円超のため、20年償却によりネット1億円程度の営業利益貢献が見込まれます。
また、Cloud Intelligence事業については、特定業界向けのアルゴリズム深化のため業界のプレーヤーと合弁を進めており、昨年11月に損保業界向けの合弁会社AlgoNautを東京海上HDの40%出資で設立したほか、同じく製薬業界向け合弁会社メドクロスをメドピアの51%の出資により相次いで設立しています。この他、リーガルテック分野を展開する傘下のMNTSQについては、長島・大野・常松から8億円の出資を受けるなどしており、合弁の相手先が何れも強力なプレイヤーなので、各業界のアルゴリズム領域を先行的に押さえていくことが期待される状況です。
かような状況から、中計の取組み自体は順調に進捗していると考えられるものの、掲げる営業利益目標50億円の確度については、現時点の可視性が低すぎるので判断出来ず、もう少し各事業におけるマネタイズ等の進捗を確認する必要があろうか考えています。
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