【6458】新晃工業(東証PRM) OP
現在値 2,044円/100株 P/E 11.1 P/B 0.91 3月配当優待 9月配当
セントラル空調機器シェア4割。業務用空調機の中堅。中国やタイ進出。
配当は3月末・9月末の年2回合計60円のため、配当利回は2.94%となります。
新晃工業は株主優待を導入しており、3月末に単元株を保有する株主に対して、3,000円分のカタログギフトを進呈していますので、配当優待利回りは3.42%となります(※1年以上継続保有の場合。なお、翌期より1,000円分の図書カードに変更されるため注意)
業績を確認していきます。
■2020年3月期 売上高 442億円、営業利益 90.0億円 EPS 230円
■2021年3月期 売上高 391億円、営業利益 65.6億円 EPS 194円
■2022年3月期 売上高 415億円、営業利益 52.0億円 EPS 147円
■2023年3月期 売上高 419億円、営業利益 57.1億円 EPS 178円
■2024年3月期 売上高 465億円、営業利益 63.0億円 EPS 182円 ce
□2023年6月1Q 売上高 98.7億円、営業利益 9.2億円 EPS 30.3円(8/8)
□2023年9月2Q 売上高 1790億円、営業利益 16.5億円 EPS 51.5円 ce
2023年3月期の売上高はYoY+6.8%の448億円、営業利益はYoY+5.0%の59.9億円となり、対前・対計画で増収増益となりました。国内向けは部材調達難による納入延期影響を受けたものの、期初受注残高がYoY+32.9%の124億円と高水準だったほか、価格転嫁の進展で増収増益となりました。一方、海外向けは国内同様に豊富な受注残を抱えていたものの、上海のロックダウン影響や競合との価格競争により、売上横這いながらも赤字となりました。
進行期である2024年3月期の通期予算については、売上高はYoY+3.8%の465億円、営業利益はYoY+5.0%の63.0億円を見込んでいます。国内向けの期初時点の受注残高はYoY+18.2%の147億円、海外向けはYoY+64.9%の15.8億円と過去最高水準を確保しており、データセンターや都市再開発案件、製造業の国内回帰傾向を受けた産業用空調の堅調な展開が見込まれます。なお、8月8日に開示済の1Qは売上高98.7億円&営業利益9.2億円で進捗しており、計画超の推移とみられます。
当社は2025年3月期を最終年度とする4年中計で、売上高520億円(CAGR7%)・営業利益75億円(CAGR3%)を目指す計画としています。計数的には“SIMAプロジェクト”という原価低減計画を基礎とし、AIを活用した個別受注のDX化により、営業面の需要予測から設計・積算・製造までをシステムで一気通貫させる方針です。これ以外の個別の取組方針として①水AIU強化、②HP-AHU強化、③工事事業強化、④中国事業強化、⑤技術深耕&品質向上、の5点を掲げています。
特に当社が圧倒的な強みを持つ①水AIUについては、縮小が見込まれるFCUや個別空調ユニットとは対照的に拡大が見込まれており、特に成長分野であるデータセンター(DC)向けの伸長が期待されます。現時点の市場規模は500億円程度と目されるものの、DCはクラウド利用増やサーバーの高性能化で発熱量が増加しており、更なる空調機能が求められているほか、海外勢だけでなく国内デベロッパーもDC建設に乗り出しているため、成長蓋然性が高い状況です。
なお当社は2017年にダイキン工業と資本業務提携(被出資4.9%)しているものの、同社が強味を持つ中国市場では連携不十分な状況とみられ、当社の上海子会社(持分50%)も現地での熾烈な価格競争や昨今のロックダウン影響で浮上出来ない状況が続いています。かような状況から、いまひとつの海外事業が足を引っ張るものの、増勢基調の続く国内事業の牽引により、中計計数の達成可能性はまだ残るものと解されます。
他方、株主還元については、配当性向24%~34%という基準置きつつも、大局的には増配基調を継続しており、進行期は3円増配の年60円配当(配当性向30.6%)を見込んでいます。そもそも当社はネットキャッシュ110億円にくわえ、120億円程の有価証券(高砂熱学工業や三機工業など)を抱えるなど好財務体質であることから、6月に10億円程の自社株買い(1.96%)を実施したものの、もう一歩踏み込んだ株主還元策が望まれます。
*参考記事① 2021-09-03 2,187円 OP
【6458】新晃工業/4年中計開示も成長鈍い、先ずは株主還元の充実を期待したい。
*参考記事➁ 2020-08-22 1,390円 OP
【6458】新晃工業/工事見合わせで今期引渡し低調も、好財務で安定還元継続へ。
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