【6458】新晃工業(東証1部) NT
現在値 2,187円/100株 P/E 14.8 P/B 1.15 3月配当優待 9月配当
セントラル空調機器シェア4割。業務用空調機の中堅。中国やタイ進出。
配当は3月末・9月末の年2回合計50円のため、配当利回は2.29%となります。
新晃工業は株主優待を導入しており、3月末に単元株を保有する株主に対して、3,000円分のカタログギフトを進呈していますので、配当優待利回りは3.65%となります(※1年以上継続保有の場合。なお、保有1年未満の場合は1,000円分の図書カードとなるため注意)
業績を確認していきます。
■2018年3月期 売上高 404億円、営業利益 54.8億円 EPS 149.1円
■2019年3月期 売上高 409億円、営業利益 53.7億円 EPS 159.5円
■2020年3月期 売上高 442億円、営業利益 90.0億円 EPS 230.0円
■2021年3月期 売上高 391億円、営業利益 65.6億円 EPS 194.2円
■2022年3月期 売上高 415億円、営業利益 52.0億円 EPS 147.0円 ce
□2021年6月1Q 売上高 78.9億円、営業利益 6.9億円 EPS 21.1円(8/5)
□2021年9月2Q 売上高 178億円、営業利益 16.0億円 EPS 46.4円 ce
2021年3月期の売上高は前期比11.5%減の391億円、営業利益は同27.1%減の65.6億円となり、対前期で2桁の減収減益となったものの、対予算では大幅な増益を確保しました。国内向けは元より端境期であったため、期初時点での受注残高が前期首比27.5%も少ない87.3億円弱のため滑り出しが低調だったほか、新型肺炎による宿泊施設や商業向けの建設計画の見直し(延期・中止)が相次ぎ、27%もの大幅なセグメント減益となりました。一方、海外向けについても国内同様に期初受注残高が同6割減からのスタートだったものの、選別受注による採算性の良化や、中国等については固定資産投資の需要の切り返しが早かったため、国内より減益幅が抑えられました。
進行期である2022年3月期の通期予算については、売上高が5.9%増の415億円、営業利益は20.8%減の52.0億円を見込んでいます。国内向けの期初時点における受注残高は、1年前と比べて7.4%増の93.8億円に増加しており、新型肺炎禍の一巡による需要回復を見込んでいます。また、海外も期初受注残高は同23.1%増となる6.5億円を確保していますが、国内外ともにシェア確保のために値引き量販策を採る予定であり、利益率は一段と低下する公算です。なお、去る8月7日に開示済の1Qによれば、売上高78.9億円&営業利益5.8億円で進捗しており、概ね計画線とみられます。
これまで当社は中長期の経営計画を開示してこなかったものの、創立70周年にあたって新4ヵ年中計「move.2025」を公表しており、最終年度である2025年3月期に売上高520億円(CAGR7%)・営業利益75億円(CAGR3%)を目指すこととしています。具体的な取組方針は①業務DX化、②AHUシェア首位維持、③HP-AHUシェア首位奪取、等を掲げています。基本的には得意とする大規模建物におけるセントラル空調のAHU技術(オーダーメイド性が高い)を生かし、中小型建物における個別空調のHP-AHUでのシェア拡大を図る方針です。
当社は2017年にかのダイキン工業と資本業務提携(被出資4.7%)しているものの、同社が抜群の強みを持つ中国市場でのサポートは十分に受けられていない印象であり、当社の上海子会社(持分50%)も現地での競争激化に巻き込まれている状況です。当面は価格競争に迎合する格好で安売りでシェア拡大を狙うものとみられますが、中計上では「市場戦略の見直し」と記されており、場合によっては戦略転換する可能性が示されています。
他方、株主還元については、配当に断続的に増配【18→23→33→36→36→40→43→58(記念配)→50円】、してきましたが、現時点では50円配当の据置を予想しています。そもそも当社はネットキャッシュ100億円にくわえ、110億円もの有価証券(高砂熱学工業や三機工業など)を抱える超優良財務を誇っているため、依然として大変な余裕があることから、本業の伸び悩みも相俟って更なる還元策が期待されるような状況ではあります。
*参考記事① 2020-08-22 1,390円 OP
【6458】新晃工業/工事見合わせで今期引渡し低調も、好財務で安定還元継続へ。
*参考記事② 2019-09-02 1,711円 OP
受注高水準で気配絶好も、株主還元もの足りぬ・新晃工業(6458)
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