受注高水準で気配絶好も、株主還元もの足りぬ・新晃工業(6458) | なちゅの市川綜合研究所

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【6458】新晃工業(東証1部) OP

現在値 1,711円/100株 PER10.1 PBR1.11 3月配当優待 9月配当

セントラル空調機器シェア4割。業務用空調機の中堅。中国やタイ進出。
配当は3月末・9月末の年2回合計48円のため、配当利回は2.81%となります。

 

新晃工業は株主優待を導入しており、3月末に単元株を保有する株主に対して、3,000円

のカタログギフトを進呈していますので、配当優待利回りは4.55%となります(※1年以上

継続保有の場合。なお、保有1年未満の場合は1,000円分の図書カードとなるため注意)

業績を確認していきます。

■2016年3月期 売上高 414億円、営業利益 60.3億円 EPS 155.7円  
■2017年3月期 売上高 385億円、営業利益 55.0億円 EPS 150.1円 

■2018年3月期 売上高 404億円、営業利益 54.8億円 EPS 149.1円 

■2019年3月期 売上高 409億円、営業利益 53.7億円 EPS 159.5円 

■2020年3月期 売上高 420億円、営業利益 65.0億円 EPS 168.4円 ce
□2019年6月1Q 売上高 93.3億円、営業利益 14.5億円 EPS 43.9円(8/7)

□2019年9月2Q 売上高 190億円、営業利益 20.0億円 EPS 52.5円 ce

2019年3月期の売上高は前期比1.4%増の409億円、営業利益は同1.9%減の53.7億円となり、

増収こそ確保したものの、期初計画水準を割り込んで着地しました。国内向けは西日本豪

雨の影響による生産及び物流遅延があったほか、製品保管委託先での火災による製品の

全損・半損(P/Lはボトムライン前で補償金収受して利益は戻る)によるマイナス影響があっ

たものの、景況感改善による設備投資の増加ペースが著しく、当該セグは8%の増収・15%

の増益を果たしました。一方、海外向けについては、中国を中心に価格面の過当競争が

継続しており、当該セグは34%もの大幅な減収となったほか、利益も前期の損益均衡圏か

ら一気に9億円の赤字へと転落し、好調な国内事業の足を大きく引っ張りました。

 

進行期である2020年3月期の予算については、売上高が2.5%増の420億円、営業利益は

同20.9%増の65億円を見込んでいます。国内向けは、景況感の改善基調を背景に主力の

大型空調が引き続き好調に推移する見通しであり、実際の期初の受注残高も前年時点

り26%積み増して120億円弱を確保しているため、事実上フル操業状態が続く見通しです。

一方の海外も同3.5倍もの受注残高を積み上げていますが、国内と違ってグロスが小さい

ため判断が難しく、過当競争にある中国ではそもそも景気の減速懸念が燻っているような

状況であることから、赤字幅の縮小が精々かとみらます。なお、去る8月8日に既に1Q決算

開示されていますが、こちらについては売上高が前年同期比17%増、営業利益は同3.6

倍と躍進しており、高操業を原資とした選別受注で利益率の良化が一段と進んでいます。

 

当社は中長期の経営計画を開示していないものの、MAや資本業務提携による業容拡大策

を採っており、2013年にビル管理会社の千代田ビル管財(売上高50億円・営業利益4億円)

に77億円もの巨費を投じて買収しています。本買収はのれん付きでしたが、年1.5億円ほど

償却していっているため、2022年度を目処に、この償却分が営業益の改善要素となります。

 

また2017年に資本業務提携し、当社3位株主となった空調最大手のダイキン工業と共同で

昨年ヒートポンプ式の新製品をリリースしています。省スペースかつ熱交換器に高度化によ

温調精度向上を実現しており、今年度は当該製品で20億円程の売上を見込んでいます。

海外事業が苦戦している状況ですが、ダイキン工業の中国事業は非常に強いので、今後

も同社の肩を借りつつも、他の協業パートナーを発掘していけるかどうかが今後の業績成

長の論点になろうかと思います(既に操業度が高いため残りはMA位しか打ち手がない)。

 

株主還元については少量ながら断続的な自社株買いを実施していることにくわえ、配当に

ついても【18→23→33→36→36→40→43円】、と連続増配しているほか、今期は2円の

普通増配にくわえ、3円の70周年記念配当を予定しているため、計5円増配の48円配当を

予想しています。そもそも当社はネットキャッシュ130億円にくわえ、60億円もの有価証券

(高砂熱学工業や三機工業など)を抱える超優良財務を誇っており、自己資本の積み上が

りも早いので、あと2段階くらいギアを踏み込んだ水準の株主還元策が望まれます。

 

*参考記事① 2018-08-25   1,650円 ---

受注残自体は豊富で、期末までに巻き返し期待・新晃工業(6458)

 

*参考記事② 2017-08-30  1,705円 ---

ダイキン工業と資本提携、一層の株主還元に期待・新晃工業(6458)。

 

 

会社四季報 2019年3集夏号

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特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に 

基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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