【1662】石油資源開発/油価想定線も円安で上振れ、想定外の自社株買い200億円は好評価。 | なちゅの市川綜合研究所

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【1662】石油資源開発(東証プライム) OP 

現在値 5,830円/100株  P/E  7.02  P/B 0.67  3月配当 9月配当優待なし

原油・ガス開発専業。国内の天然ガス田創業が基盤。カナダ・重油事業は売却。

 

今期予想配当金は年2回・合計250円のため、配当利回りは約4.29%となります。
石油資源開発は株主優待制度を実施していません。

業績を確認していきます。

■2021年3月期 売上高 2,400億円、営業利益 42億円 EPS ▲47円 

■2022年3月期 売上高 2,491億円、営業利益 198億円 EPS ▲545円

■2023年3月期 売上高 3,364億円、営業利益 620億円 EPS 1,236円

■2024年3月期 売上高 3,307億円、営業利益 507億円 EPS 833円ce修正(2/9)

□2023年9月2Q 売上高 1,507億円、営業利益 285億円 EPS 512円 

□2023年12月3Q 売上高 2,299億円、営業利益 396億円 EPS 673円(2/9)

 

2023年9月中間期の売上高はYoY+24.9%の1,507億円、営業利益はYoY+47.6%の285億円となり、予想比は無いものの市場予想を上回りました。E&P事業はアメリカのオイルサンド事業とイラク・ガラフPJの数量増が寄与したほか、WTI油価前提(/bbl)が計画並み(予算75$vs実績74.9$)だった一方、為替前提(¥/$)が予算125.0円vs実績137.6円と大きく有利方向に振れました。またI/U事業についても、原料スライドタイムラグ影響で同様に大幅増益となりました。

 

なお2024年3月期の通期見通しは3Qで再修正しており、売上高はYoY▲1.7%の3,307億円(期予:3,006億円)、営業利益はYoY▲18.3%の507億円(期予:412億円)に増額しています。E&P事業におけるWTI油価前提(/bbl)を、実勢見合いで75.0$→75.6$、為替前提(¥/$)を125.0円→141.4円に置き直すほか、英領北海シーガルPJの販売開始による上乗せを織り込みます。他方、最終利益に関しては英国税金費用の増加を見込み、450億円を据え置いています。

 

進行期は9ヵ年の中長期計画の2年度目となっており、中間年度の2027年3月期に事業利益(≒本社経費控除後経常利益)300億円、最終年度の2031年3月期に同500億円の達成を目標とするほか、ROEの段階的引き上げ(5%→8%)、E&P比率の段階的な引き下げ(60%→50%)を目指し、資源依存度低下を志向します。なお、中計前提のWTI油価は50.0$であり、足許市況比でかなりバッファを含んだ状態となっています。

 

今次中長計期間における想定キャッシュイン5,000億円は成長投資に4,500億円・株主還元に500億円を振り向けます。2022年にE&P事業で加シェールガス事業売却と、加オイルサンド事業撤退で“膿出し”を済ませ、この2年度目で早くも1,300億円程の投資額に達する見込みです。米タイトオイル開発では昨年末に坑井権益を更に追加取得しており、投資額は延べ10億ドルの上ります(営業益貢献は100億円/y)。

 

カーボンニュートラルのCCS/CCUSについては、三菱ガス化学(新潟)とCO2活用協業や、出光興産・北海道電力(苫小牧)とのCCUS協業、JFEエンジニアリングとはCO2やアンモニア等の輸送・供給インフラの共同検討を進めています。また昨年10月には米ワイオミング州の原油・ガス会社であるBlue Spruce Operatingを持分法適用会社化し、CO2貯留・回収事業に進出しています。

 

株主還元方針については、配当性向30%をベースに還元しており、終わった期で一過性の最終利益が多かったこともあり、YoY▲120円の年250円配(配当性向30%)を見込んでいます。当社は大株主の保有割合維持等の観点から、配当による還元を原則としているものの、所謂“PBR1.0倍割れ対策”もあり、200億円(5.53%)と規模感のある自社株買いを実施しています。なお買入は満額ペースで進捗しているため、期末にかけてEPS切り上げ等による配当引き上げが見込まれます。

 

*参考記事① 2023-08-25  4,680円 OP

【1662】石油資源開発/英シーガル油田生産遅れで減額も、見通しは実勢比コンサバと解される。

 

*参考記事② 2023-02-28 5,050円 OP

【1662】石油資源開発/サハリンⅠは権益維持で安堵、配当は6.6倍の年330円に巨額増配。

 

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