【1662】石油資源開発/英シーガル油田生産遅れで減額も、見通しは実勢比コンサバと解される。 | なちゅの市川綜合研究所

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【1662】石油資源開発(東証プライム) OP 

現在値 4,680円/100株  P/E  7.46  P/B 0.58  3月配当 9月配当優待なし

原油・ガス開発専業。国内の天然ガス田創業が基盤。カナダ・重油事業は売却。

 

今期予想配当金は年2回・合計200円のため、配当利回りは約4.27%となります。
石油資源開発は株主優待制度を実施していません。

業績を確認していきます。

■2021年3月期 売上高 2,400億円、営業利益 42億円 EPS ▲47円 

■2022年3月期 売上高 2,491億円、営業利益 198億円 EPS ▲545円

■2023年3月期 売上高 3,364億円、営業利益 620億円 EPS 1,236円

■2024年3月期 売上高 3,061億円、営業利益 389億円 EPS 627円ce修正(8/9)

□2023年6月1Q 売上高 613億円、営業利益 129億円 EPS 239円(8/9)

□2023年9月2Q 売上高 1,100億円、営業利益 150億円 EPS 239円 四e

 

2023年3月期の売上高はYoY+35.1%の3,364億円、営業利益はYoY*3.1倍の620億円となり、3Q時点の再増額修正を更に上回って着地しました。E&P事業は海外の加オイルサンド事業、シェールガス事業への参画終了で大幅な数量減となったものの、WTI油価前提(/bbl)が当初予算73.75$vs実績94.4$、為替前提(¥/$)が予算110.0円vs実績132.8円と大きく有利方向に振れたため、主に国内事業の単価効果で大幅増益となりました。またI/U事業についても、数量増に加えて、LNGスポット市況の高騰により調達差益拡大し、同様に大幅増益となりました。

 

進行期である2024年3月期の予算は1Q時点で微修正しており、売上高はYoY▲9.0%の3,061億円(期予:3,006億円)、営業利益はYoY▲37.3%の389億円(期予:412億円)に修正しています。E&P事業におけるWTI油価前提(/bbl)を、実勢見合いで75.0$→75.6$、為替前提(¥/$)を125.0円→131.1円に有利方向に置き直しして売上を増額する一方、英領北海シーガルPJの生産遅れにより利益を減額しています。なお、1Q自体は売上高613億円&営業益129億円で進捗しているため、コンサバな減額修正と解されます。

 

進行期は9ヵ年の中長期計画の2年度目となっており、中間年度の2027年3月期に事業利益(≒本社経費控除後経常利益)300億円、最終年度には2031年3月期に500億円の達成を目標とするほか、ROEは同5%→8%への段階的な引き上げ、E&P比率は同60%→50%へ段階的な引き下げを目指し、資源依存度低下を志向しています。また、中長計期間の想定キャッシュイン5,000億円は、成長投資に4,500億円、株主還元に500億円を振り向ける計画です。

 

当社は2022年にE&P事業で加シェールガス事業売却と、加オイルサンド事業撤退で大損失を計上して不採算事業の整理を済ませていることから、積極的な新規投資を推進しており、この2年度目で早くも1,000億円弱の(成長)投資額に達する見込みです。新規投資は米タイトオイル開発に650億円を投じ、進行期の生産量は86万バレルで104億円の営業益貢献が見込まれるものの、翌期の生産減少が想定されることから、追加権益の獲得に乗り出しています。これ以外にも、ペトロナスJVのイラク・ガラフ油田(既存)の追加開発、英北海のシーガルPJの原油・ガス田開発を推進していますが、上述のとおりシーガルPJは生産が遅れています。

 

カーボンニュートラル分野のCCS/CCUSについては、三菱ガス化学(新潟)とCO2活用協業や、出光興産・北海道電力(苫小牧)とのCCUS協業、JFEエンジニアリングとはCO2やアンモニア等の輸送・供給インフラの共同検討を進めています。なお、ロシア懸念のあったサハリンI(SODECOに30%出資、Net4.59%)も無事に権益が維持されており、足許の産油量も日量20万バレルと既にピーク時水準を回復している模様です。

 

株主還元方針については、配当性向30%をベースに還元しており、終わった期で一過性の最終利益が多かったこともあり、YoY▲170円の年200円配(配当性向32%)を予想しています。当社は大株主の保有割合維持等の観点から、配当による還元を原則としているため、市況高が配当額にストレートに反映されやすい特性があり、保守的なガイダンスを鑑みれば、復元配の上積みも想定されます。

 

*参考記事① 2023-02-28 5,050円 OP

【1662】石油資源開発/サハリンⅠは権益維持で安堵、配当は6.6倍の年330円に巨額増配。

 

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