【9001】東武鉄道/定期外運輸・ホテル・スカイツリーとも想定超で回復、はや通期増額圏。 | なちゅの市川綜合研究所

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【9001】東武鉄道 (東証プライム) OP

 

現在値 3,856円/100株 P/E 27.7  P/B 1.61  3月配当優待 9月優待

 

関東民鉄で路線最長、北関東地盤。東京スカイツリー軸に再開発推進。

配当は3月末・9月末合計年30円配予想のため、配当利回りは約0.78%となります。

 

東武鉄道は株主優待制度を導入しており、3月末と9月末の年2回、2単元を保有する株主に対して電車全線乗車証を2枚進呈しているほか、東武グループ各社で使える各種割引券を進呈しております。そのため、全線乗車証を1枚1,390円で換算した場合の2単元保有時の配当優待利回りは約1.49%となります。なお、1単元保有の場合は優待が年1回に制限されますが、その場合でも利回りは表記のとおりとなります。

 

業績を確認していきます。会計基準第29号の新収益認識基準に変更しています。 

■2021年3月期 売上高 4,963億円、営業利益▲135億円、EPS▲119円 

■2022年3月期 売上高 5,060億円、営業利益 247億円、EPS 64.4円 新収益

■2023年3月期 売上高 5,920億円、営業利益 410億円、EPS 111.6円 ce修正(11/2)

■2023年3月期 売上高 5,920億円、営業利益 410億円、EPS 111.6円

□2022年9月2Q 売上高 2,854億円、営業利益 240億円、EPS 62.4円

□2022年12月3Q 売上高 4,473億円、営業利益 454億円、EPS 135.5円(2/8) 

 

2023年3月期の売上高はYoY+21.5%の6,147億円、営業利益はYoY+129.2%の566億円となり、2Qの増額見通しを更に上回って着地しました。主力の運輸事業の予算前提は、定期内外・平時比85%程度を見込んでいたものの、定期YoY105%&定期外同113%と顕著に回復しました。レジャー事業については、CY銀座、AC銀座ほか各ホテルがインバウンドの急激な戻りを受けて稼働率・ADRともに計画超となったほか、スカイツリー入場者数も285万人(計画270万人)に上振れ、旅行業も大幅増となりました。他方、不動産事業は、おおたかの森、草加マンションや清水公園戸建の分譲があったものの、大型案件剥落で減益となりました。

 

進行期である2024年3月期の予算については、売上高YoY▲1.5%の6,050億円、営業利益YoY▲18.0%の465億円と減収減益を予想しています。運輸事業は定期YoY101%&定期外同103%を見込み、レジャー需要の回復から定期外がやや強く戻る想定です。レジャー事業は、各種支援策の剥落から旅行分野の反落するものの、インバウンド回復恩恵の強いホテルやスカイツリーは顕著な回復が見込まれます。なお8月2日開示済の1Qについては、売上高1,573億円&営業益235億円と強含みの推移が確認され、早くも増額濃厚と解されます。

 

当社は2025年3月期まで“事業構造改革期”として中計を策定せず、経常利益確保と有利子負債の削減を経営の主要課題に挙げています。一応の参考計数として、2025年3月期までに売上高5,060億円→6,042億円、営業利益274億円→538億円まで引き上げる目標感を示しています。計数諸元は終期にかけて運輸事業が平時比9割、ホテルは同完全復元、スカイツリーは同8割、百貨店は同9割まで戻っていく想定ですが、平常化の進展が想定超で進んでおり、終わった期で既に営業利益566億円を叩き出して過達状態となっています。

 

取組事項としては、①事業構造改革(コスト削減)、②新ビジネスモデル構築、③社会課題解決型収益拡大の3点が掲げられています。①はワンマン運転拡大や、大師線の無人運転化、“Remote”という省エネ・省人化システムといったICT活用によるコスト削減により損分点(固定費8割→7割)の引き下げを図ります。同様にレジャー事業についても、ホテルの宴会・婚礼部門の統合や、婚礼営業部門廃止、料飲部門効率化とマルチタスク化で人件費を削減(損分点▲15%引き下げ)するとともに、スカイツリーもQRコードや券売機の導入等によりコスト削減を図ります。

 

②の新モデルについては、2025年3月までにハウスアプリ会員50万人獲得を目指し、ポイント経済圏による“囲い込み”でデジタル関連売上高400億円を見込むほか、観光業派生のソーシャルイノベーション(地方支援)事業による観光客誘致や商店街支援、商品券発行等で進行期で140億円の売上を見込みます。このほか、本年7月の新型スペーシアの導入や、SL投入増による鬼怒川路線の観光路線化、日光・川越・浅草~スカイツリーMaaSといった取組で沿線観光資源のマネタイズを強化するほか、池袋西口の再開発は2024年度中の都市計画決定を予定しています。

 

財務状況については、自己資本比率は29.2%と引き続き回復していますが、上記の池袋駅西口の再開発で莫大な資金需要(事業費1,000~2,000億円)が見込まれるため、スカイツリー開発時以来の公募増資可能性を孕んでいます。なお配当については、進行期は更に年5円復元して年30円配を予想しているものの、会社側では早々に年40円配の復元意向を示しています。

 

*参考記事①  2022-09-16  3,375円 NT

【9001】東武鉄道/インバウンド復活で定期外収入増加期待、1Q順調進捗で上振れか。

 

*参考記事②  2022-02-15 2,927円 NT 

【9001】東武鉄道/3Q持ち直しで減額予算を再増額、当初予算水準を奪回か。

 

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