【9001】東武鉄道/3Q持ち直しで減額予算を再増額、当初予算水準を奪回か。 | なちゅの市川綜合研究所

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【9001】東武鉄道 (東証1部) OP

 

現在値 2,927円/100株 P/E 66.3  P/B 1.36  3月配当優待 9月優待

 

関東民鉄で路線最長、北関東地盤。東京スカイツリー軸に再開発推進。日光など沿線観光注力。

配当は3月末・9月末合計年20円を予想しているため、配当利回りは約0.68%となります。

 

東武鉄道は株主優待制度を導入しており、3月末と9月末の年2回、2単元を保有する株主に対して電車全線乗車証を2枚進呈しているほか、東武グループ各社で使える各種割引券を進呈しております。そのため、全線乗車証を1枚1,390円で換算した場合の2単元保有時の配当優待利回りは約1.15%となります。なお、1単元保有の場合は優待が年1回に制限されますが、その場合でも利回りは表記のとおりとなります。

 

業績を確認していきます。会計基準第29号の新収益認識基準に切り替えています。

■2018年3月期 売上高 5,695億円、営業利益 666億円、EPS 168円 

■2019年3月期 売上高 6,175億円、営業利益 672億円、EPS 132円 

■2020年3月期 売上高 6,538億円、営業利益 626億円、EPS 168円

■2021年3月期 売上高 4,963億円、営業利益▲135億円、EPS▲119円 

■2022年3月期 売上高 5,032億円、営業利益 200億円、EPS 44.1円ce修正、新収益

□2021年9月2Q 売上高 2,238億円、営業利益 66.7億円、EPS 7.98円 

□2021年12月3Q 売上高 3,677億円、営業利益 202億円、EPS 58.3円(2/4)

 

2021年9月中間期の売上高はYoY+1.8%の2,238億円、営業利益はYoY+233億円の66.7億円となり、大幅に損益改善したものの、対予算未達となりました。主力の運輸事業は、新型肺炎禍の長期化により、定期FY2018比79%(計画82%)、定期外同67%(計画67%)と伸び悩んだほか、レジャー事業のホテル・スカイツリーも低調でした。ホテルは成田東武こそ稼働率60%台で健闘したものの、CY銀座、AC銀座、錦糸町は同20~30%となり、スカイツリータウン来場者数も856万人(計画1,048万人)に留まっています。他方、不動産事業については、流山おおたかの森の分譲マンションや、清水公園の分譲戸建等が好調に推移し、セグメントでは売上・利益ともに5割増となっています。

 

2022年3月期通期の見通しについては、中間での減額後に3Qで再増額しており、売上高はYoY+1.4%の5,032億円(期予:5,200億円)、営業利益は同黒転の200億円(期予:194億円)に修正しています。下期の前提KPIも見直しており、運輸事業では定期FP2018比82%・定期外同74%と実態見合いで微修正する一方、レジャー事業におけるホテル稼働率やスカイツリー来場者数は更に厳しい数字に置き直しています。他方、2月4日に開示の3Qにより、秋口の感染者数の抑制で運輸事業や百貨店業の持ち直しが確認されるほか、直近の見通しには足許4Qの再悪化影響を一定程度織り込んでいることから、概ね最新の見通し水準で落着するものとみられます。なお、新収益基準移行影響によるトップライン影響が▲500億円ありますが、内容は流通事業の“消化仕入”方式の純額移行や、レジャー事業の年パス等のため、利益影響は殆どなしとなります。

 

当社は新型肺炎禍のこの2ヵ年については“事業構造改革期”として中計を策定せず、下地作りを進める方針であり、経常利益の確保と有利子負債の削減を経営の主要課題に挙げています。鉄道事業については、ワンマン運転区間の拡大や、大師線の無人運転化、奥日光バスの高度自動運転といった省人化やICT活用によるコスト削減により損分点引き下げを図ります。レジャー事業も同様に、ホテルの宴会・婚礼部門の統合や、婚礼営業部門の廃止、料飲部門の効率化やマルチタスク化により人件費を削減するとともに、スカイツリーもQRコードや券売機の導入等よりコスト削減を図ります。


コスト削減以外の成長戦略としては、不動産活用が主となり、東武動物公園駅西口の複合再開発や、岩槻駅前のペット共生型賃貸マンション開発といった典型的な私鉄沿線開発だけでなく、2022年5月には南栗橋で産官学(トヨタホーム、イオンリテール、久喜市、早稲田大)複合開発の街びらき予定となっており、三井不動産の柏の森キャンパスを意識したとみられる新手の沿線再活性化にも取り組んでいます。また、重要観光拠点の日光地区のMaaSを2021年10月に開始したほか、2023年には新型の特急スペーシアも投入予定であり、Re-openingの観光需要確保に備える計画です。

 

他方、財務状況については、自己資本比率は26.4%と1年前と同水準を維持しており、2011年のスカイツリー建設時に40年振りの公募増資で900億円の調達を済ませておいたことが奏功しています。配当については従来水準の半分となる年20円を予想しているものの、当面はこの20円が維持される公算が高そうです。

 

*参考記事① 2021-08-02 2,836円 NT

【9001】東武鉄道/新型肺炎禍でこの2ヵ年は中計端境期、予算はやや保守的な印象。

 

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