【9001】東武鉄道 (東証1部) OP
現在値 2,836円/100株 P/E 120.3 P/B 1.33 3月配当優待 9月優待
関東民鉄で路線最長、北関東地盤。東京スカイツリー軸に再開発推進。日光など沿線観光注力。
配当は3月末・9月末合計年20円を予想しているため、配当利回りは約0.71%となります。
東武鉄道は株主優待制度を導入しており、3月末と9月末の年2回、2単元を保有する株主に対して電車全線乗車証を2枚進呈しているほか、東武グループ各社で使える各種割引券を進呈しております。そのため、全線乗車証を1枚1,390円で換算した場合の2単元保有時の配当優待利回りは約1.68%となります。なお、1単元保有の場合は優待が年1回に制限されますが、その場合でも利回りは表記のとおりとなります。
業績を確認していきます。会計基準第29号の新収益認識基準に切り替えています。
■2018年3月期 売上高 5,695億円、営業利益 666億円、EPS 168円
■2019年3月期 売上高 6,175億円、営業利益 672億円、EPS 132円
■2020年3月期 売上高 6,538億円、営業利益 626億円、EPS 168円
■2021年3月期 売上高 4,963億円、営業利益▲135億円、EPS▲119円
■2022年3月期 売上高 5,200億円、営業利益 194億円、EPS 23.4円 ce新収益
□2021年6月1Q 売上高 1,119億円、営業利益 49億円、EPS 13.3円(7/29)
□2021年9月2Q 売上高 2,450億円、営業利益 75億円、EPS▲2.4円 ce
2021年3月期の売上高は前期比24.1%減の4,963億円、営業利益は同赤転の▲135億円(762億円の損益悪化)となりました。主力の運輸事業については、新型肺炎禍により定期が約2割強・定期外が約3割強の減収となレジャー事業についてはホテル・スカイツリーともに約6割減となりました。特にホテルについては、成田東武こそ稼働率30%台を確保したものの、主力のCY銀座、AC銀座、錦糸町は軒並み10%台と壊滅的な数字となったほか、スカイツリーも来場者数が2,889万人→1,626万人に大幅に減少しました。他方、不動産事業についてはテナント賃料の一部減免があったものの、テレワーク需要の高まりにより沿線分譲が好調に推移し、横ばい圏を堅持しました。
進行期である2022年3月期の見通しについては、売上高が4.8%増の5,200億円、営業利益は同黒転の億円を予想しています。予算前提のKPIについては、新型肺炎前となる2019年3月期との比較で鉄道事業が定期およそ15%減、定期外30%減で見込む一方、レジャー事業についてはホテルが57%減、スカイツリーが74%減と鉄道比でかなり戻りが鈍い前提としています。なお、新収益基準移行が500億円程度の減収要素となり、主に流通事業(消化仕入等)とレジャー事業(年パス等)が影響するものとみられますが、“入り繰り”により利益段階へのインパクトは無しとなります。
新型肺炎禍のこの2ヵ年については“事業構造改革期”として中期経営計画を策定せず、下地作りを進める方針としており、経常利益確保と有利子負債の削減を主要課題に挙げています。鉄道事業については、ワンマン運転区間の拡大や、大師線の無人化運転、奥日光バスの高度自動運転といった省人化やICT活用によるコスト削減により損分点の引き下げを図ります。レジャー事業についても同様に、ホテルの宴会・婚礼部門の撤退や料飲部門の効率化により人件費を削減し、宿泊特化型に寄せて効率化するとともに、スカイツリーもDX化によりコスト削減を図ります。
それ以外の今後の成長戦略としては、重点開発エリアである日光地区のMaaSを2021年度中に開始する予定であり、マイカー代替としての特急(リバティ・スペーシア)を軸に、EVバスやカーシェア、レンタサイクルを活用した二次交通と、日光の観光資源の組み合わせによる日本初の環境配慮型の観光MaaSの導入を目指しています。また、新型肺炎禍の長期化による所謂“郊外化”により、比較的不動産価格が手ごろな当社沿線の人気が出ていることから、ワークスペース付の賃貸マンションの開発や、流山おおたかの森といった既開発済の人気エリアでの分譲マンションの開発を進める方針であり、こうした不動産事業が一番早く収益貢献してくるものと期待されます。
他方、財務の状況については、自己資本比率は1年前比1.5%減の26.4%となっており、スカイツリー建設時の2011年に実に40年振りとなる公募増資で900億円を調達していたこともあり、まずまずの水準を維持しています。そのため配当金については、従来の半分の水準でにはあるものの、横ばいの年20円を予定しており、此方については業績のいかんによらず配当されるものとみています。
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