【3837】アドソル日進(東証一部) NT
現在値 1,690円/100株 P/E 18.8 P/B 2.7 3月配当優待 9月配当優待
大企業向け大規模システムの開発に強み持つ。技術水準に定評。
配当は3月末・9月末の年2回で、合計36円のため配当利回りは2.13%となります。
アドソル日進は株主優待制度を導入しており、3月末・9月末時点で200株以上を保有する株主に対して、500円分のクオカードを進呈しておりますので、配当優待利回りは約2.42%となります。なお長期優遇制度もあり、1年以上の保有で500円分のクオカードが追加進呈されますので、その場合の配当優待利回りは、約2.72%まで利回りが上昇します。
業績を確認していきます。
■2018年3月期 売上高 109億円、営業利益 8.3億円 EPS 61.3円
■2019年3月期 売上高 121億円、営業利益 10.1億円 EPS 75.9円
■2020年3月期 売上高 133億円、営業利益 12.1億円 EPS 89.9円
■2021年3月期 売上高 135億円、営業利益 12.2億円 EPS 89.6円
■2022年3月期 売上高 125億円、営業利益 12.0億円 EPS 89.3円 ce修正
□2021年9月2Q 売上高 62.2億円、営業利益 6.0億円 EPS 47.1円
□2021年12月3Q 売上高 92.0億円、営業利益 8.7億円 EPS 66.6円(2/7)
2021年9月期中間の売上高はYoY▲8.3%の62.2億円、営業利益はYoY▲11.7%の6.0億円となり、微増収・微増益だった期初予算を下回って進捗しました。前期の新型肺炎禍のあおりで、そもそもの期初受注残高がYoY▲10億円減の21.5億円と発射台から低調だったほか、主力の社会インフラ事業における電気・ガスの大型案件においてICTシステム開発の遅延があり、先延ばしになったことが響きました。また先進インダストリー事業についても、先進EV・自動車関連や決済関連が堅調に推移したものの、メディカル関連が失速し、同様に減収減益となっています。
2022年3月期の通期見通しも減額しており、売上高がYoY▲7.5%の125億円(期予:142億円)、営業利益はYoY▲6.6%減の12.0億円(期予:13.5億円)に修正し、12期連続の営業増益予想から一転して減益見通しとなります。社会インフラ事業では、電力分野の大型案件先送りの影響や、前期に計上したガス分野の“導管分離”大型案件剥落の影響が大きく、堅調な5G基地局等の通信分野の伸びでは補えない見通しです。また、先進インダストリー事業も、新型肺炎禍の影響でメディカル関連が依然として低調推移となっていることから、全社ベースでの減収減益が避けられない格好です。
今期は2024年3月期を最終年度とする中計の初年度となっており、向こう3年で売上高170億円(CAGR8%)・営業利益17億円(CAGR10%)まで其々引き上げる計画です。コア領域である大規模SIerサービスに、先進的なデジタル要素や高速開発・クラウド等を組み合わせた所謂DX化により既存ビジネスを深堀りする計画です。重点取組施策として、「エネルギーICT戦略」を掲げ、電力分野における自由化・分社化を契機にEMSや電力取引システム、新電力向けシステム開発や、脱炭素関連・各種スマートメーター、需給調整関連といったエネルギー系の新商材を投入しています。
当社の顧客割合は三菱電機(売上構成比18.7%)、東京ガス系(同17.1%)の順になっており、依然としてエネルギー関連顧客が多くを占めていることから、昨年9月には新たなアライアンスとして仏大手電機企業のシュナイダー社(売上高3.7兆円)と日本初となるSIパートナー契約を締結しています。今後は5年程で同社のIoT基盤である「エコストラクチャー」を100社程度に売り込む目論見としているほか、本年2月にはフィンランドのQuuppaの屋内位置情報システムを販売する日本電産とも提携を発表しており、日本電産らの機器が取得した位置情報を管理するアプリの開発やGPS・RFIDとの連携、セキュリティを当社が担う形となります。
目下、エネルギー関連企業は資源高による調達コスト高騰やサプライチェーン乱れにより設備投資がスタックしている部分はあるものの、自由化や脱炭素の潮流により確実に太い資金が回ってくる分野であることから、今般シュナイダーや日本電産といったネームの強い会社と提携出来たことが中計後半にかけて結実してくることが期待されます。
財務状況については実質無借金を継続しており、自己資本比率も73%水準と盤石な状態となっています。株主還元は配当性向35%以上としており、配当金は12期連続の増配となる年36円配(1円増配、配当性向36.6%)を見込んでいますが、今期は増益基調が一旦止まる公算が高いことから、公表の36円水準でストップするとみられます。
*参考記事① 2021-02-09 2,959円 NT
【3837】アドソル日進/自治体向けテレワークの実証実験を開始、成長ドライバーは豊富。
*参考記事② 2020-08-31 2,483円 NT
【3837】アドソル日進/中計は連続で前倒達成、新型肺炎は影響なしの勢い。
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