【3837】アドソル日進/中計は連続で前倒達成、新型肺炎は影響なしの勢い。 | なちゅの市川綜合研究所

なちゅの市川綜合研究所

「別に勝たなくてもいいので、負けないこと」を志向しております。
本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報等に基づき、作成されています。
当ブログの情報に全面的に依拠することはお控えいただき、最終的なご判断はご自身でお願いいたします。

IMG_0700.jpg

【3837】アドソル日進(東証一部) NT

現在値 2,483円/100株 PER27.6 PBR4.96 3月配当優待 9月配当優待

大企業向け大規模システムの開発に強み持つ。技術水準に定評。
配当は3月末・9月末の年2回で、合計33円のため配当利回りは1.33%となります。

アドソル日進は株主優待制度を導入しており、3月末・9月末時点で200株以上を保有する株主に対して、500円分のクオカードを進呈しておりますので、配当優待利回りは約1.53%となります。なお長期優遇制度もあり、1年以上の保有で500円分のクオカードが追加進呈されますので、その場合の配当優待利回りは、約1.73%まで利回りが上昇します。

業績を確認していきます。
■2017年3月期 売上高 116億円、営業利益 7.6億円 EPS 59.1円 

■2018年3月期 売上高 109億円、営業利益 8.3億円 EPS 61.3円 

■2019年3月期 売上高 121億円、営業利益 10.1億円 EPS 75.9円 

■2020年3月期 売上高 133億円、営業利益 12.1億円 EPS 89.9円 

■2021年3月期 売上高 135億円、営業利益 12.2億円 EPS 89.6円 ce

□2020年6月1Q 売上高 34.3億円、営業利益 3.4億円 EPS 28.4円(8/6)
□2020年9月2Q 売上高 66.8億円、営業利益 5.7億円 EPS 45.0円 ce

 

2020年3月期の売上高は前期比9.2%増の133億円、営業利益は同19.9%増の12.1億円となり、期初予想を上回り約2割の増益となりました。期初の受注残高は過去最高の24.9億円を確保していましたが、上期受注高も67億円と高水準を維持し、主力の社会インフラ事業については、電力・ガス分野の自由化後保守案件、通信分野の5G案件が好調に推移しました。一方、先進インダストリー事業については、メディカル分野・決済分野のシステム基盤が好調を維持したものの、セキュリティソリューション分野で大手公益企業向け案件の契約終了が響き、セグメント減収となっています。また、両セグ横断事業のIoXエンジ(ニアリング)事業の売上高は34億円となり、4分の1程度となりました。


進行期である2021年3月期の通期予算については、期初時点から予想を公表しており、売上高が1.4%増の135億円、営業利益は同0.5%増の12.2億円と11期連続の営業増益を予想しています。社会インフラ事業の電力・ガス分野において分社化案件(電気は発送電分離、ガスは導管分離)の好調継続が見込まれる一方、先進インダストリー事業ついては、新型肺炎の影響で先進EV・自動運転分野の低調推移が想定されます。然しながら、期初時点の受注残高は1年前を9.4億円上回る31.6億円を確保しているほか、8月6日に公表されている1Q決算によれば、売上高が前年同期比8.6%増・営業利益は同17.8%増と、予算に対して大幅超過ペースでの進捗が確認されるため、今期も上振れ濃厚気配と言えます。

 

今期は本来であれば3年中計の最終年度の位置付けであり、売上高126億円(CAGR5%)・営業利益12億円(CAGR13%)を目標としていましたが、業績数値自体は実績期である2020年3月期に1年前倒しで達成しており、前回中計に続いて連続での前倒しを果たしています。本中計期間の具体的な取り組みは「IoTからIoX」への移行であり、当社が得意とするIoT技術とセキュリティ技術を高度融合させ、業容拡大していく方針です。社会インフラ事業では、宇宙システムや高度道路情報システム等の開拓を目指すほか、先進インダストリー事業に関しては、先進EV自動車・自動運転領域を拡大させ、これらの注力領域に対して当社のセキュリティを掛け合わせ、最終的なIoXソリューションとして複合的に提供していく目論見となっています。

 

会社側では前倒達成を受け、現状のステータスとしては2023年3月期を最終年度とする新中計を策定中という状況になっています。新型肺炎の影響により、売上依存度の高い三菱電機(売上構成比20~25%、最終エンドは三菱自動車とみられる)向けの先進的自動車関連の受注減少が想定されるものの、東京ガスG(同15~20%)向けを中心とするエネルギー、インフラ系の事業投資意欲が強く大きく下支えされるほか、宇宙・安全保障分野における提携先の米リンクス社のセキュリティ関連商品の伸びが見込まれるため、向こう数期は現状の年2桁水準での成長が期待されます。また、ヘルスケア分野ではバリューHR(6078)と資本業務提携を締結するなどしており、中長期の成長ネタは十分出揃っている印象を受けます。

 

他方、財務状況については実質無借金状態であり、自己資本比率も6割弱の水準を維持しているため盤石な状態となっています。株主還元については、配当性向35%以上としており、今期の配当金は【4.1→6→9.5→13→20→21→27→32→33円(予】、と11期連続の増配を予定しており、33円の場合の配当性向は36.8%となるものの、上振れ着地の場合は35円程度までの増配が想定されます。

 

*参考記事① 2020-02-14 2,584円 NT

【3837】アドソル日進/今期も大幅上振れ圏、興味の中心は次期中計に移行。

 

*参考記事② 2019-08-28 2,017円 NT

バリューHRと資本業務提携を締結、業績好伸が続く・アドソル日進(3837)。

 

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


このエントリーをはてなブックマークに追加にほんブログ村