【9001】東武鉄道/インバウンド復活で定期外収入増加期待、1Q順調進捗で上振れか。 | なちゅの市川綜合研究所

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【9001】東武鉄道 (東証プライム) NT

 

現在値 3,375円/100株 P/E 39.1  P/B 1.53  3月配当優待 9月優待

 

関東民鉄で路線最長、北関東地盤。東京スカイツリー軸に再開発推進。日光など沿線観光注力。

配当は3月末・9月末合計年25円配予想のため、配当利回りは約0.74%となります。

 

東武鉄道は株主優待制度を導入しており、3月末と9月末の年2回、2単元を保有する株主に対して電車全線乗車証を2枚進呈しているほか、東武グループ各社で使える各種割引券を進呈しております。そのため、全線乗車証を1枚1,390円で換算した場合の2単元保有時の配当優待利回りは約1.56%となります。なお、1単元保有の場合は優待が年1回に制限されますが、その場合でも利回りは表記のとおりとなります。

 

業績を確認していきます。会計基準第29号の新収益認識基準に変更しています。 

■2020年3月期 売上高 6,538億円、営業利益 626億円、EPS 168円

■2021年3月期 売上高 4,963億円、営業利益▲135億円、EPS▲119円 

■2022年3月期 売上高 5,060億円、営業利益 247億円、EPS 64.4円 新収益

■2023年3月期 売上高 5,580億円、営業利益 330億円、EPS 86.2円 ce,新収益

□2022年6月1Q 売上高 1,390億円、営業利益 143億円、EPS 43.1円(8/3) 

□2022年9月2Q 売上高 2,617億円、営業利益 134億円、EPS 25.4円 ce

 

2022年3月期の売上高はYoY+2.0%の5,060億円、営業利益はYoY+382億円の247億円となり、3Qの再増額見通しを更に上振れて着地しました。主力の運輸事業は、新型肺炎禍の長期化影響を受けるも、定期FY2019比80%超(計画82%)、定期外同75%(計画74%)と概ね計画並みを確保しました。また、レジャー事業については、スカイツリー入場者数が104万人(計画96万人)と上振れた一方、ホテルについては稼働率が70%まで回復した東武成田を除き、CY銀座、AC銀座、錦糸町は軒並み同30%台となりました。不動産事業については、流山おおたかの森の分譲マンションや、清水公園の分譲戸建等が好調に推移し、利益は2桁増となりました。

 

2023年3月期通期予算については、売上高YoY+10.3%の5,580億円、営業利益YoY+33.4%の330億円を見込んでいます。緊急事態宣言等の発出無しと収束を前提に、運輸事業を定期FP2019比82%・定期外同87%、レジャー事業のホテルを同71%、スカイツリーを同53%、流通事業の百貨店を同95%を予算諸元とする一方、不動産事業は商業施設の改装と大型分譲案件の剥落で反落を見込みます。なお8月4日に開示済の1Q決算についてが、売上高1,390億円&営業益143億円で進捗しており、運輸・レジャー事業の顕著な回復が確認されるほか、今後はインバウンド回復による上乗せも見込まれます。

 

当社は向こう3ヵ年については“事業構造改革期”として中計を策定せず、経常利益確保と有利子負債の削減を経営の主要課題に挙げています。一応の参考計数として、2025年3月期までに売上高5,060億円→6,042億円、経常利益274億円→500億円まで引き上げる目標感を示しています。計数の前提諸元は運輸事業が平時の9割水準まで回復、ホテルは同完全復元、スカイツリーは同8割、百貨店は同9割となっており、インバウンドがある程度戻る前提であれば、そこまで楽観的な前提ではない印象です。

 

そのため当面の取組事項はコスト削減が主となり、鉄道事業におけるワンマン運転拡大や大師線の無人運転化、“Remote”という省エネ・省人化システムといったICT活用によるコスト削減により損分点(固定費8割→7割)の引き下げを図ります。同様にレジャー事業についても、ホテルの宴会・婚礼部門の統合や、婚礼営業部門の廃止、料飲部門効率化とマルチタスク化で人件費を削減(損分点▲15%引き下げ)するとともに、スカイツリーもQRコードや券売機の導入等によりコスト削減を図ります。


コスト削減以外の成長戦略としては、不動産活用が主となり、本年5月には南栗橋で産官学(JV:トヨタホーム、イオンリテール、久喜市、早稲田大)複合開発の“BRIDGE LIFE Platform 南栗橋”の街びらきを行ったほか、池袋駅西口の複合再開発も本年度中に都市計画を決定し、次期中計期間となる2026年度以降の着工を目指しています。沿線の重要観光拠点である日光・鬼怒川地区については、導入済のMaaSにくわえ、2023年に新型の特急スペーシアも投入予定となっており、インバウンド回復の際には早々の収益貢献が見込まれます。

 

他方、財務の状況については、自己資本比率は27.3%と若干回復しています。2011年のスカイツリー建設時の公募増資で900億円調達したことが奏功していますが、今後は池袋駅西口の再開発でも莫大な資金需要が見込まれます。配当については、ここ2年間は従来水準の半分となる年20円配を実施していましたが、記念配を含め更に5円分を復元し、年25円配を予想しています。

 

*参考記事① 2022-02-15 2,927円 NT 

【9001】東武鉄道/3Q持ち直しで減額予算を再増額、当初予算水準を奪回か。

 

*参考記事② 2021-08-02 2,836円 NT

【9001】東武鉄道/新型肺炎禍でこの2ヵ年は中計端境期、予算はやや保守的な印象。

 

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