【7893】プロネクサス/電子化による業容縮小で外部買収を積極化、株主還元はやや後退か。 | なちゅの市川綜合研究所

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【7893】プロネクサス(東証プライム) OP

現在値 1,053円/100株  P/E 16.2  P/B 1.00 3月配当優待 9月配当

上場企業のディスクロージャー、IR支援大手。開示用システムに強み。
配当金は3月末・9月末の年2回合計36円のため、配当利回りは3.42%となります。

プロネクサスは株主優待制度を導入しており、3月末時点で単元株を保有する株主に対して500円分のクオカードを進呈しておりますので、配当優待利回りは約3.89%となります。なお、長期優遇を導入しており、1年超+500円分、3年超+1,000円分、5年超+1,500円分、10年超+2,500円分のクオカードを追加進呈していますので、最長となる10年超保有の場合は同5.79%まで膨れ上がります。

業績を確認していきます。

■2021年3月期 売上高 249億円、営業利益 21.3億円 EPS 62.9円 

■2022年3月期 売上高 261億円、営業利益 24.8億円 EPS 68.1円 

■2023年3月期 売上高 268億円、営業利益 22.1億円 EPS 63.4円 

■2024年3月期 売上高 300億円、営業利益 24.0億円 EPS 64.6円 ce

□2023年6月1Q 売上高 118億円、営業利益 32.2億円 EPS 87.8円(7/31) 

□2023年9月2Q 売上高 171億円、営業利益 26.3億円 EPS 71.3円 ce

2023年3月期の売上高はYoY+2.5%の268億円、営業利益はYoY▲10.9%の22.1億円となり、増収ながらも対予算で減収減益となりました。開示領域は招集通知カラー化による単価増や、個人投資家増による数量増で増収したほか、IR領域についても改定CGコード対応で英文翻訳やWebサービスだけでなく、バーチャル総会関連の受注が増加しました。他方、金融商品分野については利上げ影響や急速な円安を背景に、J-REITのPO・IPOが減少したほか、外債関連需要も減少しました。


進行期である2024年3月期の予算については、売上高がYoY+11.9%の300億円、営業利益はYoY+8.5%増の24.0億円を見込んでいます。最繁忙期にあたる1Q決算が7月31日に開示されており、売上高YoY+7.5%の118億円、営業利益が+7.5%の32.2億円で進捗しています。開示分野は総会資料の電子化に伴う頁数減少があったものの、従来通り印刷する会社が7割留まったほか、開示領域は買収による上乗せ(※後述)がありました。他方、金融商品分野は外国債券が依然軟調なものの、J-REITに回復基調がみられます。利益は例年通り、通期予算過達となっており、2Q以降の“食い潰し”を考慮しても予算達成が濃厚です。

 

当社は本年5月に3年中計の目標値(*初年度は数値非公表だった)を公表しており、最終年度である2025年3月期までに売上高268億円→300億円、営業利益22.1億円→24.0億円に其々引き上げる目標としています。本年3月からの総会招集通知の電子化と“アクセス通知”と云われる簡易書面化影響が発現しており、この3月は従来比7割程度のボリュームに減少したほか、更に同35%程度まで落ち込む想定です。このほか、四半期報告書開示の短信一本化影響も見込まれるため、確保していたストック収益が削られて、そこを埋め戻して微増益を目指す計画です。

 

そのため、従来型事業の業容拡充を進めており、開示支援システムの拡充やWebサイトの更新・英文翻訳に代表される“非印刷”のBPO等周辺領域の取り込みにより、収益基盤の底上げを図っています(※非印刷の構成比は10年前比45%→55%)。こうした取り組みにくわえて、市場が拡大しているサステナビリティ/統合報告書系の情報開示といった付随的なコンサル系業務の受注拡大を目指します。

 

また、事業基盤の急速な縮小を受け、“非印刷”領域へのシフトを進める必要があり、2019年にWebサイト構築を手掛けるレインボー・ジャパンを皮切りに、2020年にディスクロージャー・プロも子会社化しています。昨年はシステム会社のFRAIM、IPO支援サービスのブリッジコンサルティングと資本業務提携を実施したほか、本年3月にはイベント向け映像支援業務を手掛けるシネHD(年商23億円、経常益2億円)に52億円を投じて傘下に収めています。こうしたMAや資本提携により、矢継ぎ早に業容拡大を進めている状況です。


なお当社は財務的に良好な状態が継続しており、ほぼ無借金ながらも、シネHD買収資金52億円控除後でなお70億円程の手元現金を抱えています。この潤沢な財務を原資に過去10年で発行済株式数の4割強の自己株式を取得・消却しており、配当性向も50%基準にまで引き上げています。進行期の配当は据置となる年36円を予想しており、最終的には増配期待がかかるものの、昨今は買収等で資金需要が相次いでいるため、従来のような積極還元路線は一服となる可能性があります(終わった期では自社株買いを見送った)。

 

*参考記事① 2022-10-03 967円 OP

【7893】プロネクサス/招集通知電子化と四半期開示一本化はインパクト大、影響注視したい。

 

*参考記事② 2021-08-07 1,023円 OP

【7893】プロネクサス/撤回した中計値も奪回圏、自社株買いでROE低下も配当性向は引き上げ。

 

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。

 

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