【7893】プロネクサス(東証1部) OP
現在値 1,023円/100株 P/E 17.8 P/B 1.07 3月配当優待 9月配当
上場企業のディスクロージャー、IR支援大手。開示用システムに強み。
配当金は3月末・9月末の年2回合計32円のため、配当利回りは3.13%となります。
プロネクサスは株主優待制度を導入しており、3月末時点で単元株を保有する株主に対して500円分のクオカードを進呈しておりますので、配当優待利回りは約3.61%となります。なお、長期優遇を導入しており、1年超+500円分、3年超+1,000円分、5年超+1,500円分、10年超+2,500円分のクオカードを追加進呈していますので、最長となる10年超保有の場合はは同6.06%まで膨れ上がります。
業績を確認していきます。
■2018年3月期 売上高 224億円、営業利益 25.3億円 EPS 66.3円
■2019年3月期 売上高 231億円、営業利益 24.9億円 EPS 71.1円
■2020年3月期 売上高 244億円、営業利益 25.7億円 EPS 67.4円
■2021年3月期 売上高 249億円、営業利益 21.3億円 EPS 62.9円
■2022年3月期 売上高 255億円、営業利益 22.0億円 EPS 56.9円 ceIFRS
□2021年6月1Q 売上高 104億円、営業利益 30.4億円 EPS 79.3円(7/30) IFRS
□2021年9月2Q 売上高 147億円、営業利益 24.0億円 EPS 62.1円 ce
2021年3月期の売上高は前期比2.3%増の249億円、営業利益は同8.5%増の21.3億円となり、増収減益となったものの、期中開示の通期見通し水準を上振れして着地しました。開示領域については、新型肺炎一巡後のIPO銘柄数の回復や招集通知のカラー化による単価増や、連れてアウトソーシング関連の受注が増加しました。また、IR領域についてはCG強化潮流を受け、英文翻訳やWebサービスの受注が増加した一方、イベントやセミナーの中止により伸び悩んだほか、金融商品分野は前期の消費税率改定にともなう関連印刷物の一過性仮需の反動や、電子化の進展による目論見書印刷量の低下により続落となりました。
進行期である2022年3月期の通期予算については、売上高が2.0%増の255億円、営業利益は3.3%増の22.0億円を予想しています。ただ最繁忙期にあたる1Qの数字が既に7月30日に開示されており、売上高が前1Q比10.7%の104.4億円、営業利益は同12.3%増の30.4億円と2桁の増収増益と好調な滑り出しが確認されます。開示分野は前年の新型肺炎影響による有報提出遅れによる2Q以降への売上後ろ倒しが復元したほか、金融商品分野についても国内投信の新規設定や国内株及びJ-REITのPOの増加による目論見書の回復が寄与しました。利益ベースでは既に通期予算をかなり大きく超過しており、2Q以降の“食い潰し”があっても達成する見通しです。
この進行期は3年中計の最終年度としての位置付けであり、売上高を231億円→250億円、営業利益は25億円→26.5億円に其々伸長させる計画でしたが、今般の新型肺炎禍によりこの数値目標は一旦取り下げていますが、目標設定値それ自体が小甘かったこともあり、直近1Qの数字に照らせば当初中計並みの業績数値を達成する公算が高い状況です。本中計では総会招集通知の電子化等の紙媒体の発行減少を織り込み、データベース・Webの拡充やBPO等の周辺領域へと事業ドメインを移す構造改革的性格が強く、ROEも9.1%→8.2%まで下げることを許容する内容となっていますが、別途自社株買いによるマイナス影響を考慮しても、ターゲット内で収まる公算です。
構造改革の状況については、2011年時点での紙媒体を除く“非印刷比率”が42%だったところ、2021年時点では過去最高の55%と完全に逆転しており、既に印刷会社(旧・亜細亜証券印刷)のそれからの脱却に成功しています。Webサービスについては2013年のミツエーリンクスの持分法化に続き、2019年のレインボー・ジャパンの子会社化などはMAの活用により体制強化しているほか、本業に近い開示書類作成システムの「P-WORKS」や投信向けの「P-FDS」などははいずれも市場シェア首位級を握っており、働き方改革による決算・開示の効率化ニーズを捉えたオプション契約による高単価化が進んでいます。今後はESG潮流に合わせた非財務情報開示とそのコンサル業務に注力していく方針であり、次期中計で盛り込まれるものとみられます。
当社は財務的に極めて良好な状態が継続しており、3億円程の有利子負債に対して、130億円弱の手元現金を抱えており、じゃぶじゃぶとなっています。同業の宝印刷と市場を分け合う寡占・飽和状態となっており、両社ともに積極的な株主還元へと舵を切っています。当社についてはこの10年で発行済株式数の4割強もの自己株式を取得・消却しているほか、このタイミングで配当性向も40%→50%に引き上げており、配当も現時点では普通配ベースで1円増配となる32円を予想していますが、業績の上振れも濃厚なことから年35円程まで増配するものと考えています。
*参考記事① 2020-08-19 1,120円 OP
【7893】プロネクサス/最繁忙期の1Qを無事通過で、予算未定も業績ビジビリティは高い。
*参考記事② 2019-07-17 1,122円 NT
市場縮小気味も、超高還元性向基調が続く・プロネクサス(7893)。
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