市場縮小気味も、超高還元性向基調が続く・プロネクサス(7893)。 | なちゅの市川綜合研究所

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【7893】プロネクサス(東証1部) OP

現在値 1,122円/100株 PER16.7 PBR1.40 3月配当優待 9月配当

上場企業のディスクロージャー、IR支援大手。開示用システムに強み。
配当金は3月末・9月末の年2回合計30円のため、配当利回りは2.67%となります。

また、プロネクサスは株主優待制度を導入しており、3月末時点で単元株を保有する株主
に対して500円分のクオカードを進呈しておりますので、配当優待利回りは約3.11%となり

ます。なお、長期保有優待を導入しており、1年以上の場合は+500円分、3年以上の場合

は+1,000円分、5年以上の場合は+1,500円分のクオカードを追加で進呈していますので、

最長となる5年以上保有した場合の配当優待利回りは約4.45%まで膨れ上がります。

業績を確認していきます。
■2016年3月期 売上高 209億円、経常利益 22.5億円 EPS 56.3円 

■2017年3月期 売上高 215億円、経常利益 25.4億円 EPS 62.1円 
■2018年3月期 売上高 224億円、経常利益 28.8億円 EPS 66.3円
■2019年3月期 売上高 231億円、経常利益 27.7億円 EPS 71.1円 

■2020年3月期 売上高 237億円、経常利益 26.5億円 EPS 67.0円 ce

□2019年9月中 売上高 137億円、経常利益 25.5億円 EPS 64.8円 ce

2019年3月期の売上高は前期比3.1%増の231億円、経常利益は同4%減の27.7億円となり、

予算をやや割り込んで着地しました。招集通知カラー化による単価増や、大型IPOの受注が

あったほか、コーポレートガバナンス強化の流れもあり、総会運営支援関連の受注が増加し、

上場企業向けは堅調に推移しました。その一方で、金融商品向けはJ-REIT市場における

活発なPOにより、届出書・目論見書等が伸びたものの、国内の投信設定が低調に推移した

ため、同セグメントが減収となり足を引っ張りました。なお、前期に営業外で投資事業組合の

運用益2.4億円が計上された点を踏まえると、その剥落はある程度埋めた格好となります。


進行期である2020年3月期の予算については、売上高が2.3%増の237億円、経常利益は

4.4%減の26.5億円と減益を予想していますが、営業利益までは2%の増益となっています。

上場企業向けにおける開示分野は総会招集通知のカラー化や、アウトソーシングの受注が

堅調に推移することが見込まれるほか、IR分野についても総会運営支援関連・英文翻訳等

の受注増加が見込まれています。然しながら、金融商品向けについてはJ-REIT・インフラF

関連のPO受注が見込まれるものの、国内投信が依然低調に推移しているため、当該セグ

は続落となる見通しです。なお、昨年11月にみずほ情報総研らから買収したデータベース

業者のアイ・エヌ情報センター(年商約4億円・経常利益約0.5億円)が通期で寄与します。

 

実績期は3年中計の最終年度となっており、売上高230億円・営業利益率12.2%(≒28.0億円)

を目標値に置いていましたが、売上高は達成したものの、営業利益は未達(25億円)となり、

最後にMAで帳尻を合わせた部分はあるものの、実態としてはやや未達の仕上がりとなりま

した。新中計については3年後の2022年3月期を最終年度とし、売上高は231億円→250億円

営業利益は25億円→26.5億円にそれぞれ伸長させる計画です。伸び率がかなり甘い計画

ではあるものの、前提として総会招集通知の電子化による発行減少を一部織り込んでおり、

従来のように“紙媒体”な趨勢減となっていることから、データベース・Webの拡充やBPO等

の周辺領域へと事業ドメインを移していく計画であるため、中計の数値上の見栄えがしない

ものと判断されます。また、ROE目標についても現状(9.1%)より低い8.2%を予想しています。


当社は財務的に極めて良好な状態が継続しており、3.5億円の有利子負債に対して、133

億円もの手元現金を抱えており、じゃぶじゃぶの財務状況となっています。同業の宝印刷と

並び市場では実質2強の寡占状態となっているものの、飽和業種であることから、積極的な

株主還元へと舵を切っています。直近7期で発行済株式の約30%弱にも及ぶ77億円相当の

自社株を買い上げており、期当たり平均80%~90%水準のほぼフル還元が続いています。

また、今期についても期跨ぎで発行済株式の3%にあたる10億円を全て買い上げていること

から、当社における投資論点である非常に手厚い株主還元策は継続されるものと判断して

おり、次なる興味は配当と自社株買いのバランス見直しとかそのくらいかと思います。

 

*参考記事① 2018-07-26  1,310円 NT

宝印刷の増配観測で脚光?6期連続の「フル還元」続く・プロネクサス(7893)。

 

*参考記事② 2015-08-20 905円 NT

自社株買い連発で高還元性向、プロネクサス(7893)のレビュー。

 

会社四季報 2019年3集夏号

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特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に 

基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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