【7893】プロネクサス/最繁忙期の1Qを無事通過で、予算未定も業績ビジビリティは高い。 | なちゅの市川綜合研究所

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【7893】プロネクサス(東証1部) OP

現在値 1,120円/100株 PER--.- PBR1.26 3月配当優待 9月配当

上場企業のディスクロージャー、IR支援大手。開示用システムに強み。
配当金は3月末・9月末の年2回合計32円のため、配当利回りは2.86%となります。

プロネクサスは株主優待制度を導入しており、3月末時点で単元株を保有する株主に対して500円分のクオカードを進呈しておりますので、配当優待利回りは約3.30%となります。なお、長期保有優待を導入しており、1年以上の場合は+500円分、3年以上の場合は+1,000円分、5年以上の場合は+1,500円分のクオカードを追加で進呈していますので、最長となる5年以上保有した場合の配当優待利回りは約4.64%まで膨れ上がります。

業績を確認していきます。

■2017年3月期 売上高 215億円、経常利益 25.4億円 EPS 62.1円 
■2018年3月期 売上高 224億円、経常利益 28.8億円 EPS 66.3円
■2019年3月期 売上高 231億円、経常利益 27.7億円 EPS 71.1円 

■2020年3月期 売上高 244億円、経常利益 27.1億円 EPS 68.5円 

■2021年3月期 売上高(未定)億円、経常利益(未定)億円 EPS(未定)円 ce

□2020年6月1Q 売上高 94.3億円、税前利益 27.1億円 EPS 64.8円(7/31) IFRS

□2020年9月2Q 売上高 135億円、経常利益 24.5億円 EPS 62.0円 四e

2020年3月期の売上高は前期比5.6%増の244億円、経常利益は同11.1%増の27.1億円となり、予算を多少上振れして着地しました。開示領域については、前期計上の大型IPOの剥落や、POの減少というマイナス要因があったものの、招集通知のカラー化による単価増や、アウトソーシング関連の受注が堅調に推移しました。IR領域についてもガバナンス強化の潮流を受け、IRサイト関連業務や総会運営支援関連業務の受注が増加しました。その一方、金融商品分野はJ-REIT市場におけるIPOやPOの減少により届出書・目論見書等が伸び悩んだほか、国内の投信設定が低調に推移したこともあり、同セグは連続で減収となりました。なお、2018年11月にみずほ情報総研らから買収したデータベース業者のアイ・エヌ情報センター(年商約4億円・経常利益約0.5億円)が通期で寄与しています。


進行期である2021年3月期の通期予算については、新型肺炎の影響で期初から未定としています。ただ最繁忙期にあたる1Q(IFRS)については、既に7月末に開示されており、売上高が前年同期比微減の94.3億円、税前利益は同2.6%減の27.1億円とほぼ例年並みとなる底堅い数字を残しています。開示分野は新型肺炎影響による有報提出遅れによる2Q以降への売上後ろ倒しがあったものの、総会招集通知のカラー化の進展、アウトソーシングの受注堅調により微増となりました。同様にIR分野も底堅く推移したものの、金融商品分野については、国内投信新規設定の大幅な減少や、J-REITのIPO/POの減少による目論見書減少が響き、同セグは2桁の減収となっています。足許でも通期予算は開示されていませんが、最繁忙期の1Qを無事クリアしているため、通期で横ばい程度の数字は確保出来る公算が高そうです。

 

今期は2022年3月期を最終年度とする3年中計の中間年度となっており、売上高を231億円→250億円、営業利益は25億円→26.5億円に其々伸長させる計画でしたが、今般の新型肺炎禍によりこの数値目標は一旦取り下げています。本中計では総会招集通知の電子化をはじめとする紙媒体の発行減少を一部織り込むほか、データベース・Webの拡充やBPO等の周辺領域へと事業ドメインを移す構造改革的な性格が強く、そもそもの業績目標値もかなり甘いものであり、同じく公表していたROE目標についても、本中計前(9.1%)より低い8.2%を計画しているような有様でした。そのため、数値目標を取り下げはしたものの、まだ十分に当初公表値を達成出来る状況にあるとみています。

 

構造改革の状況については、2008年時点での紙媒体を除く“非印刷比率”が37%だったところ、2020年時点では54%にまで伸長させており、以前(亜細亜証券印刷時代)の様な印刷会社然とした業容ではなくなってきています。金融商品分野では投信開示書類システムのファンドシェアを4年前の13%→38%まで伸長させたほか、Webサービスについては昨年10月にWeb制作会社のレインボー・ジャパン(年商5億円)をMAで買収しています。やや毛色の違う海外進出支援サービスについては、有力子会社である日本財務翻訳の活用や内装会社のラックランドとの提携により、台湾に続き2019年10月にはベトナム現法を開設するなど、証券印刷業の趨勢減に抗うべく、急速に周辺領域に手を広げており、この辺の業容拡大策については必要な手打ちが出来ている印象です。


当社は財務的に極めて良好な状態が継続しており、3億円程の有利子負債に対して、120億円もの手元現金を抱えており、じゃぶじゃぶの財務状況となっています。同業の宝印刷と並び市場では実質2強の寡占状態となっているものの、飽和業種であることから、両社ともに積極的な株主還元へと舵を切っています。当社については直近8期で発行済株式の約30%弱にも及ぶ74億円相当の自社株を買い上げており、期当たり平均80~90%水準のほぼフル還元状態が続いています。今期の配当予想は2円増配となる32円を既に公表している状況のため、もはや残る興味は自社株買いの発動時期と買い入れ規模くらいかと思われます。

 

*参考記事① 2019-07-17  1,122円 NT

市場縮小気味も、超高還元性向基調が続く・プロネクサス(7893)。

 

*参考記事② 2018-07-26  1,310円 NT

宝印刷の増配観測で脚光?6期連続の「フル還元」続く・プロネクサス(7893)。

 

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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