【9769】学究社 (東証1部) OP
現在値 1,122円/100株 PER--.- PBR3.69 3月配当優待 9月配当
東京西部で小中学生向け塾「ena」展開。都立中高一貫校受験に強み。
配当(実績)は3月末・9月末合計で60円配当のため、配当利回りは5.34%となります。
学究社は株主優待制度を導入しており、3月末に100株以上を保有する株主に対して、1,000円分のクオカードを進呈しておりますので、配当優待利回りは約6.23%となります。
業績を確認していきます。
■2017年3月期 売上高 99.2億円、経常利益 15.1億円、EPS 91.3円
■2018年3月期 売上高 103億円、経常利益 15.8億円、EPS 91.0円
■2019年3月期 売上高 105億円、経常利益 13.1億円、EPS 74.5円
■2020年3月期 売上高 109億円、経常利益 16.0億円、EPS 84.1円
■2021年3月期 売上高(未定)億円、経常利益(未定)億円、EPS(未定)円 ce
□2020年6月1Q 売上高 20.4億円、経常利益▲2.1億円、EPS▲20.5円(8/11)
□2020年9月2Q 売上高 51.0億円、経常利益 7.5億円、EPS 37.8円 四e
2020年3月期の売上高は前期比3.3%増の109億円、経常利益は21.8%増の16.0億円となり、ほぼ期初予算通りの着地となりました。新設校は同3校減の11校に留まったものの着実増となったほか、主戦場である都立中高一貫校の合格数は同6.7%増となる771名→823名を確保し、合格者占有率も同3pts.増の50→53%、と引き続き圧倒的な実績を残しました。また、日比谷高や西高、戸山高をはじめとする都立難関7高の合格者数についても353名と前期並みを確保し、人数ベースではNo.1となっています。なお利益面については、市進HDの株式追加取得(※後述)により持分法投資利益が営業外でオンされていることにより、トップライン比の伸び率が良くなっています。
進行期の2020年3月期の通期予算については、新型肺炎の影響により合理的な算出が出来ないことから、現時点でも公表を見送っています。8月11日に開示済の1Qによれば、売上高が前年同期比1.0%減の20.4億円、経常利益は赤字拡大の▲2.1億円で進捗していますが、春期/夏期/冬季講習のかからない1Qは通常寄与度が薄いため、殆ど参考になりません。新設校については、実績期並みの10校を計画しており、前年の新設校の巡航化により、本来的には生徒数の増加により増収となる局面ですが、新型肺炎禍による生徒数獲得の見通しが不透明です。当社はそもそも都立一貫高狙いであったり、数年前に授業料を値下げしていたりと、バリュー志向の強い客層を得意としており、白鷗中高や両国中高といった城東地区の一貫校での実績積み増しを狙い、城北~城東での開校を進めています。一応、全授業のオンライン配信体制を整えているため、例年通り季節講習をフックに新規生徒数を確保出来るかどうかが2Q以降の注目点となりそうです。
当社は創業者の河端氏が2017年3月に社長から会長へ退き、コンサル上がりの副社長の大久保氏が社長へと昇任し、河端氏と同氏資産管理会社のケイエスケイは2016年2月に株券を放出してることから、個人で新規取得した代々木の本社ビルの大家兼会長となって一線を退くような雰囲気がありましたが、大久保氏は僅か半年で退任となり、結局河端氏が会長兼社長として出張っています。
新規開校以外の成長策として、2017年5月にケイエスケイを相手先とする三者割当増資(6.3億円、@1,589円)と大和証券を相手先とするMSCB(12.4億円、当初@1,668円)を発行して、河端氏が個人で保有する市進HD(4645)株の持分15.1%を当社が引き取っています。また翌2018年11月には河端氏が個人で保有する市進株の持分3.70%を共同所有方式により追加取得し、2割強の持分法適用会社に収めています。市進はその名の通り市川市を中心とする千葉県西部を地盤にする企業のため、エリア的な補完性は強いものの、既に持分37.6%を握る筆頭株主である学研HD(9470)の色が付いた会社であり、今春には学研出身者が社長に代わっているため、自社の映像教育を売り込みたい学研側の思惑もあり、シナジー効果を生み出すのは難しいとみられます。
財務の状況については、足許水準においても自己資本比率38.8%をキープしており、資金繰りには問題ないものと考えています。それどころか、今年は延べ3億円(3%弱)の自社株買い枠を設定しており、この上限まで買っているわけではないものの、株主還元への意欲を感じさせます。創業者と資産管理会社が大株主であり、上述の通り2017年には高い値段で当社株の増資を再度引き受けた経緯もあることから、現状未定である配当についてもそうした(創業者への資金還流ニーズという)背景により、年60円配が維持される可能性が高いと考えています。
*参考記事① 2018-09-07 1,808円 NT
創業者から代わった新社長は僅か半年で交代、ガバナンスに疑問も・学究社(9769)。
*参考記事② 2017-08-12 1,621円 NT
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