【9658】ビジネスブレイン太田昭和 (東証1部) OP
現在値 1,772円/100株 P/E 15.4 P/B 1.96 3月配当優待 9月配当
コンサルやシステム開発受託。会計システムに強み。情報セキュリティも。
配当は3月末・9月末の年2回・計32円配当のため、配当利回りは1.81%となります。
ビジネスブレイン太田昭和は株主優待制度を導入しており、3月末時点で単元株を1年超保有する株主に対して、1,000円分のクオカードを進呈しておりますので、配当優待利回りは約2.37%となります。
業績を確認していきます。
■2018年3月期 売上高 235億円、営業利益 11.5億円、EPS 64.1円
■2019年3月期 売上高 248億円、営業利益 17.2億円、EPS 85.4円
■2020年3月期 売上高 283億円、営業利益 21.3億円、EPS 122.0円
■2021年3月期 売上高 290億円、営業利益 24.0億円、EPS 140.2円
■2022年3月期 売上高 310億円、営業利益 21.0億円、EPS 114.6円 IFRS ce
□2021年9月2Q 売上高 145億円、営業利益 8.5億円、EPS 42.4円 ce
2021年3月期の売上高は前期比2.5%増の290億円、営業利益は13.0%増の24.0億円となり、9月公表の見通しを超過して着地しました。主力のコンサル/SIer事業に関しては、前期末に受注した会計回りの大型案件の計上が寄与したほか、情報・セキュリティ分野についてもテレワーク需要の増加により大幅増収となりました。また、BPO事業についても、浜松・新潟で受託している主力のペイロールが受注拡大で増収となったほか、熊本・沖縄で受託しているグローバルBPO分野も前年並みを確保しました。また、全社的には不振子会社や不採算案件が粗方整理されたため、利益率が向上した一方、先行き不透明感により受注高はやや低調に推移しました。
進行期の2022年3月期の見通しについては、IFRSへの移行により単純比較出来ないものの、売上高は6.6%増の310億円、営業利益は実態ベースで3.7%減の23.2億円(IFRSでは21.0億円)と増収減益を予想しています。期初受注残高は、1年前と同水準の109億円となっており、コンサル/SIer分野については原価管理システムが続落する見通しも、顧客の危機意識の高まりを背景にセキュリティ分野の好伸が期待されるほか、BPO事業も不採算案件の一巡により復調が見込まれます。他方、本年7月移行に本社移転を予定しており、▲4.5億円の一過性費用を見込むほか、IFRS移行により役職員への株式報酬費用▲2.2億円が減益要素となるため、見えがかり上は大幅な減益となります。
当社は従来中長期的な業績目標値を開示しておりませんでしたが公表に踏み切っており、長期目標として2030年(2031年3月期)に売上高1,000億円&営業利益100億円を設定するほか、その手前の3ヵ年である2023年(2024年3月期)については、売上高400億円&営業利益34億円を目指すこととしています。主力ドメインであるコンサル/SIer事業と、BPO事業の割合を現行ままの7対3としたままで、全社戦略としてシナジー強化やMAとアライアンス強化、ブランディング強化を挙げており、実際に本年7月からコーポレートロゴやタグラインも一新しています。
事業別の取組としては、コンサル/SIer事業については、基盤となる会計分野を軸に手薄だった西日本エリアへの面的拡大を推進するとともに、得意先業種の深耕(会計だけでなく管理系業務全般やシステム、セキュリティ)のよる受注拡大を志向しています。特に成長著しい傘下のセキュリティ会社(GSX)もシグマクシスとの合弁を解消して完全子会社化に戻していたものの、今度はNRIと兼松エレクトロニクスに持分を譲渡し、パートナー連携の強化を図っています。
BPO事業については、セゾン情報システム(9640)からBPO事業を買収したほか、安定したコンサル/SIer事業の収益と顧客基盤を土台に、周辺領域で事業ドメインを拡張させていますが、今後は高付加価値化と技術戦略による高度化を進めます。具体的には高度人材の採用によるコンサル機能により、AIやRPAの導入を図って高単価化を目指すとみられます。これら両事業における取組もさることながら、当面は新型肺炎禍に端を発したDX化潮流により市場拡大による成長が見込まれるものの、会社側が中計で掲げる目標はやや過大な印象であり、現時点では達成の可視性はさほど高くないと考えています。
他方、当社は抜群の財務体質を誇っており、有利子負債をネットして80億円程の現金抱えしているような状態です。そのため期初より11期連続増配となる2円増の32円配を見込んでいるものの、一過性費用増の影響が比較的大きいにも限らず予想配当性向は20%台に過ぎず、なお還元余力を持て余している状況であるため、更なる増配か自社株買いが期待されるところではあります。
*参考記事① 2020-08-05 1,323円 OP
【9658】ビジネスブレイン太田昭和/ BPO需要拡大で、新型肺炎禍でも“勝ち残り“が濃厚か。
*参考記事② 2019-07-20 1,135円*分割修正済 OP
高単価BPOの拡大続き、安定成長が見込まれる・ビジネスブレイン太田昭和(9658)。
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