【9658】ビジネスブレイン太田昭和/ BPO需要拡大で、新型肺炎禍でも“勝ち残り“が濃厚か。 | なちゅの市川綜合研究所

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「別に勝たなくてもいいので、負けないこと」を志向しております。
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【9658】ビジネスブレイン太田昭和 (東証1部) OP

現在値 1,323円/100株 PER--.- PBR1.57 3月配当優待 9月配当 

コンサルやシステム開発受託。会計システムに強み。情報セキュリティも。
配当は3月末・9月末の年2回・計30円配当のため、配当利回りは2.27%となります。

ビジネスブレイン太田昭和は株主優待制度を導入しており、3月末時点で単元株を1年超
保有する株主に対して、1,000円分のクオカードを進呈しておりますので、配当優待利回りは約3.02%となります。

業績を確認していきます。
■2017年3月期 売上高 230億円、経常利益 7.5億円、EPS 39.6円 

■2018年3月期 売上高 235億円、経常利益 11.3億円、EPS 64.0円

■2019年3月期 売上高 248億円、経常利益 16.5億円、EPS 85.0円 

■2020年3月期 売上高 283億円、経常利益 17.0億円、EPS 85.5円 ce

■2021年3月期 売上高(未定)億円、経常利益(未定)億円、EPS(未定)円 ce

□2020年6月1Q 売上高 69.6億円、経常利益 5.3億円、EPS 26.8円 (7/31) 
□2020年9月2Q 売上高 140億円、経常利益 9.3億円、EPS 46.8円 ce (7/31) 

2020年3月期の売上高は前期比14.2%増の283億円、経常利益は36.5%増の22.5億円となり、
期初予算を大幅に超過して着地しました。主力のコンサル/SIer事業に関しては、会計回りにおける顧客の設備投資需要が引き続き旺盛であり、大型案件の計上も寄与したほか、情報・セキュリティ分野についてもホワイトハッカー育成事業や標的型メールの引き合いが好調に推移して大幅増となりました。一方、BPO事業については、浜松・新潟で受託している主力のペイロール分野が横ばいも、熊本・沖縄で受託しているグローバルBPO分野が大きく増収したほか、外資系向けの人事・総務系BPOも“働き方改革”の進展により売上が拡大しました。なお、大幅増益となった全社利益については、その殆どを好採算のコンサル/SIer事業で叩き出した格好となり、この辺の入り繰りの構造は従来どおりとなります。


進行期の2021年3月期の予算については、新型肺炎による影響を合理的に算定出来ないことから通期予算を未定する一方、上期予算を3割強の減益を見込む形で公表していました。然しながら、期初時点における受注残高を1年前と比べて12.2%多い109億円を確保していたことも奏功し、去る7月31日に上期予算を増額しており、売上高140億円(従来上予:130億円)、経常利益9.3億円(従来上予:6.0億円)まで修正しています。これは在宅勤務への移行がスムーズに進み、追加の人材補強費用が不要となったことや、出張等の営業経費が浮いたため、結果的に前年同期比並みの数字を確保出来る見通しとなりました。通期予算は現時点でも依然未定としており、一部で失注もあるものの、コンサル/SIer分野・セキュリティ分野の引き合いが強いため、横ばいが微減程度での着地になるものと予想されます。

 

当社は中長期的な業績目標値を開示しておりませんが、旧昭和監査法人(EY新日本監査法人)から独立した監査法人発祥のSIerながら業容拡大意向は強く、セゾン情報システム(9640)からBPO事業を買収したほか、シグマクシス(6088)との合弁であったセキュリティ会社(GSX)も完全子会社に戻し、安定したコンサル/SIer事業の収益と顧客基盤を土台に、周辺領域で事業ドメインを順調に拡張しています。旧EY系(現在は日立寄りの独立系)ならでは高い顧客信頼度と、会計知見を活かした高付加価値BPOの提供により、顧客企業の会計コスト削減ニーズを取り込むとともに、解約の少ないストック型収入を中心に成長しています。

 

目下、直近5年間の売上高CAGR8%/営業利益CAGR24%という比較的高いモメンタムで成長を果たしており、この新型肺炎禍でその伸びの鈍化が懸念されるものの、GSXの手掛けるセキュリティ分野が時流に乗って引き合いが増加しているほか、中長期的には会計・人事等のアウトソーシングニーズの一段増が見込まれるため、BPO事業の成長軌道維持も期待されるような状況です。そのため、中長期的には新型肺炎禍でも十分に“勝ち残る会社”であると判断しています。

 

なお、当社は抜群の財務体質を誇っており、ほぼ無借金であり、ネットして60億円超の現金を丸抱えしているような状態です。そのため案件の出物次第でいつでもMAが検討出来る状況にあるほか、株主還元も強化しており、【7.5→9.5→11→14→15→17.5→20→27.5→30円/予】と、連続増配基調を継続させるとともに、今期は業績予想を未定とする一方で期初から増配を予想しているような状況です。そのため、会社側は先行きに相応の自信があるものと考えており、仮に今期減収減益で着地するようなことがあっても、この配当予想の30円はまず守られるものと考えています。

 

*参考記事① 2019-07-20 1,135円*分割修正済 OP

高単価BPOの拡大続き、安定成長が見込まれる・ビジネスブレイン太田昭和(9658)。

 

*参考記事② 2018-06-29  1,154円*分割修正済 OP

業績順調推移も、株価水準訂正で割安感は薄れる・ビジネスブレイン太田昭和(9658)。

 

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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