【7893】プロネクサス/招集通知電子化と四半期開示一本化はインパクト大、影響注視したい。 | なちゅの市川綜合研究所

なちゅの市川綜合研究所

「別に勝たなくてもいいので、負けないこと」を志向しております。
本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報等に基づき、作成されています。
当ブログの情報に全面的に依拠することはお控えいただき、最終的なご判断はご自身でお願いいたします。

image

【7893】プロネクサス(東証プライム) OP

現在値 967円/100株  P/E 13.7  P/B 1.00 3月配当優待 9月配当

上場企業のディスクロージャー、IR支援大手。開示用システムに強み。
配当金は3月末・9月末の年2回合計36円のため、配当利回りは3.72%となります。

プロネクサスは株主優待制度を導入しており、3月末時点で単元株を保有する株主に対して500円分のクオカードを進呈しておりますので、配当優待利回りは約4.23%となります。なお、長期優遇を導入しており、1年超+500円分、3年超+1,000円分、5年超+1,500円分、10年超+2,500円分のクオカードを追加進呈していますので、最長となる10年超保有の場合は同6.82%まで膨れ上がります。

業績を確認していきます。

■2020年3月期 売上高 244億円、営業利益 25.7億円 EPS 67.4円 

■2021年3月期 売上高 249億円、営業利益 21.3億円 EPS 62.9円 

■2022年3月期 売上高 261億円、営業利益 24.8億円 EPS 68.1円 

■2023年3月期 売上高 270億円、営業利益 26.0億円 EPS 70.5円 

□2022年6月1Q 売上高 109億円、営業利益 29.9億円 EPS 80.6円(7/29) 

□2022年9月2Q 売上高 157億円、営業利益 28.0億円 EPS 75.6円 ce

2022年3月期の売上高はYoY+4.6%の261億円、営業利益はYoY+16.6%の24.8億円となり、対前・対予算で増収増益となりました。開示領域は招集通知カラー化による単価増や、個人投資家増による数量増で増収となったほか、IR領域についても改定CGコード対応を受けにより英文翻訳やWebサービスの受注が増加したほか、イベントやセミナーの復活も寄与しました。また金融商品分野についても投資信託市場の回復や、J-REITのPO・IPOの増加により反発し、主要セグメントは全て増収しました。


進行期である2023年3月期の予算については、売上高がYoY+3.3%の270億円、営業利益はYoY+4.7%増の28.0億円を見込んでいます。最繁忙期にあたる1Q決算が7月29日に開示されており、売上高YoY+5.1%の109億円、営業利益が▲1.5%の29.9億円で進捗しています。開示分野は総会資料の電子化に伴う定款変更と頁数増加による単価増が寄与したほか、IR領域も英文翻訳が続伸となりました。他方、金融商品分野はJ-REITのPO減少と外国債券の発行減少により目論見書等が減少しました。利益は通期予算過達となっており、2Q以降の“食い潰し”期間を考慮しても、通期で達成公算が高いとみられます。

 

終わった期は従前3年中計の最終年度であり、新型肺炎禍により途中で数値目標を取り下げた経緯があるものの、当初の目標額である売上高250億円&営業利益26.5億円については、売上は過達・利益は未達となりました。総会招集通知の電子化等による紙媒体発行減少を見込んでいたものの、実際は未導入で持ち越しとなった一方、開示支援システムの拡充やWebサイトの更新・英文翻訳に代表される“非印刷”のBPO等周辺領域の拡大により、収益基盤の底上げが図られました(※非印刷の構成比は10年前比45%→55%)。

 

なお進行期を始期とする2025年3月期までの新3年中計については、招集通知電子化の影響と四半期報告書開示の短信一本化の業績影響を合理的に見積もることが出来ないことから、現時点では数値公表を見送っています。特に2023年3月総会から発効する招集通知電子化は証券印刷業を“生業”とする当社業容を揺るがす程の影響が見込まれ、究極的には総会開催告知とURLの掲載内容だけを株主に通知すれば良いことから、印刷量の激減も想定されます。また四半期開示の一本化も、程度はともかくマイナス方向となります。

 

かような状況を踏まえ当社は従来以上に“非印刷”領域へのシフトを進める必要があり、2019年にWebサイト構築を手掛けるレインボー・ジャパンを皮切りに、2020年にディスクロージャー・プロも子会社化しています。また2022年にはシステム会社のFRAIM、IPO支援サービスのブリッジコンサルティングと資本業務提携に踏み切るなど、MAや資本提携を駆使して矢継ぎ早に業容拡大を進めています。


なお当社は財務的に極めて良好な状態が継続しており、3億円程の有利子負債に対して、120億円程の手元現金を抱えており、じゃぶじゃぶ状態となっています。この潤沢な財務を原資に過去10年で発行済株式数の4割強の自己株式を取得・消却しており、配当性向も既に50%基準にまで引き上げています。進行期の配当も1円増配の年36円を予想していますが、かような大規模還元状況にも拘わらず、足許ではオーナーの上野氏が230万株にも及ぶ大規模売り出しを実施したため、株価需給が大きく緩んでいるような状況です。

 

*参考記事① 2021-08-07 1,023円 OP

【7893】プロネクサス/撤回した中計値も奪回圏、自社株買いでROE低下も配当性向は引き上げ。

 

*参考記事② 2020-08-19  1,120円 OP

【7893】プロネクサス/最繁忙期の1Qを無事通過で、予算未定も業績ビジビリティは高い。

 

 

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。

 

にほんブログ村 株ブログ 株主優待へ にほんブログ村 株ブログ IPO・新規公開株へ にほんブログ村 株ブログ サラリーマン投資家へ