【3048】ビックカメラ/コジマの白物家電軟調継続も、単体都心店の訪日客増加で穴埋め。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3048】ビックカメラ(東証プライム) NT

現在値 1,376円/100株  P/E 31.1  P/B 1.72 8月配当優待 2月配当優待

家電量販大手。ターミナル駅周辺で大型店。傘下にソフマップ・コジマ。
配当実績は2月末・8月末の合計18円のため、配当利回りは約1.31%となります。

ビックカメラは株主優待を実施しており、2月末・8月末に100株以上を保有する株主に対し、年3,000円分の優待券を進呈しておりますので、配当優待利回りは約3.48%となります。なお1年以上の長期保有で+1,000円、2年以上の長期保有で+2,000円が追加されるため、配当優待利回りは最大で約4.94%まで上昇します。

業績を確認していきます。 2022年8月期より新収益基準に移行しています。

■2021年8月期 売上高 8,340億円、経常利益 216億円、EPS 49.8円 

■2022年8月期 売上高 7,923億円、経常利益 208億円、EPS 33.2円 

■2023年8月期 売上高 8,155億円、経常利益 165億円、EPS 17.1円 

■2024年8月期 売上高 8,975億円、経常利益 182億円、EPS 44.1円 ce
□2023年11月1Q 売上高 2,104億円、経常利益 30.7億円、EPS 7.6円(1/12) 

□2024年2月3Q 売上高 4,450億円、経常利益 84.0億円、EPS 22.4円 ce

2023年8月期の売上高はYoY+2.9%の8,155億円、経常利益はYoY▲20.4%の165.6億円となり、3Qの減額見通しを更に下回って着地しました。都心中心の単体店舗はSSSは105.7%、郊外中心のコジマは同95.3%となり、コジマの“巣ごもり”反動減が継続しました。商品別ではエアコンに代表される高マージンの白物家電が全般的に軟調に推移した一方、ゲームやスマホといった低採算商材が好調となり、利益面についても商品ミックス悪化による採算性低下のほか人件費・水光熱費の上昇が押し下げ要素となりました。


進行期である2024年8月期の予算については、売上高がYoY+10.0%の8,975億円、経常利益はYoY+9.9%の182億円を予想しています。ビッグ単体の訪日客売上高はYoYで約1割増の430億円程を織り込んでおり、中国旅行客は全盛期に戻っていないものの、それでも実勢回復比で保守的な見立てと解されます。また、買収したTDモバイル(豊田通商とデンソーの合弁の携帯販社)も期初からほぼ通期貢献します。1月12日に開示済の1Qは売上高210億円&営業益25.4億円と回復の兆しがみられ、軟調続くコジマをビック単体が穴埋めしています。

 

当社は2022年より秋保徹氏が新社長に就任しており、当面の注力事項として①実店舗強化、②EC強化、の2店を挙げています。新型肺炎禍でのEC傾注で実店舗のケアが手薄になってしてしまったことから、“プロパー叩き上げ社員”の秋保氏が連携の再強化を進めるとともに、現場への権限移譲で実店舗の底上げを図ります。売り場責任者制導入による専門性特化や、EC化で減員してきた旗艦店人員の再増員で、回復中の訪日客取り込みを図ります。

 

②のEC化率は、新型肺炎禍で7%から18%まで上昇したものの、正常化による実店舗回帰で16%弱に低下しています。ECで先行するヨドバシ追撃のためのカードであった、顧客粘着性の高い水宅配事業“puhha”は既に減損済であり、撤退を視野に入れているものと解されます。そのため、当面の手打ちはMDのロングテール化や全国に実店舗網を持つコジマでのEC品取り置きといった地味な梃入れに限られます。

 

財務面については、目下の自己資本比率は27.4%と一定水準をキープしています。配当予想は3円増配となる年18円(配当性向は40.8%)を予想しており、本来的な巡行水準である年20円配当まであと一歩という状況です。
 

*参考記事①  2023-07-22 1,073円 OP

【3048】ビックカメラ/コジマの反動減長引く、宅配水事業先行投資も重く微減額。

 

*参考記事② 2022-12-28 1,248円 OP

【3048】ビックカメラ/元日興証券副社長の木村氏が退任、水宅配事業“puhha”の強化へ。

 

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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