【8237】松屋/銀座エリアの訪日客戻り強烈で、中計は1年前倒しで大幅超過達成へ。 | なちゅの市川綜合研究所

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【8237】松屋(東証プライム)  NT


現在値 1,107円/100株  P/E 27.9  P/B 2.37 2月優待配当 8月配当

呉服店発祥の名門百貨店。銀座本店と浅草店の2店体制。独立路線。
配当は2月末・8月末、合計7円50銭のため配当利回りは0.68%です。

松屋は株主優待制度を実施しており、100株以上を保有する2月末・3月末株主に対して、利用上限のない10%割引買物カードを進呈しております。また、有料の催事が2人分まで無料になりますので、入場料1,000円の催事に2人で年1回行った場合の配当優待利回りを算出すると、およそ約2.48%となります。

業績を確認していきます。  
■2021年2月期 売上高 527億円、営業利益▲39.0億円、EPS▲83.2円 

■2022年2月期 売上高 650億円、営業利益▲22.8億円、EPS 18.9円

■2023年2月期 売上高 344億円、営業利益 3.4億円、EPS 82.6円 

■2024年2月期 売上高 410億円、営業利益 23.0億円、EPS 39.5円(1/12)

□2024年8月2Q 売上高 195億円、営業利益 8.8億円、EPS 20.4円 
□2024年11月3Q 売上高 301億円、営業利益 20.7億円、EPS 39.2円(1/12)

2023年8月中間期の売上高はYoY+25.9%の195億円、経常利益は同+17.2億円の8.8億円となり、対前・対計画で大幅な増収増益となりました。新型肺炎禍の5類移行や「SPY×FAMILY」といった企画展の実施で全般入客増となったほか、化粧品売り場の改装効果や円安による免税売上増と高額品好調によるミックス良化等もあり、
銀座店の売上高はYoY+45%、平時比でも+25%と高水準となりました。

なお2024年2月期の通期見通しについては、3Q時点で再増額しており、売上高はYoY+19.2%の410億円(期予:355億円)、営業利益はYoY*6.6倍の23.0億円(期予:12.0億円)に修正しています。訪日客の回復傾向で銀座エリアの人流が顕著に増加しているほか、国内も外商の高額品が好調に推移しており、書き入れ時の12月まで算入した累計10ヶ月分の銀座店売上高はYoY+30%を大きく超える水準で推移しています。なお、会社側では主力の中国人の戻りを保守的にみており、再増額後なお上振れ余地がある状況です。

 

進行期は2025年2月期を最終年度とする3年中計の中間年度の位置付けであり、3ヵ年で(総額)売上高を650億円→830億円、営業利益を▲22億円→16億円に其々引き上げる計画としていますが、1年前倒しかつ大幅超過達成となる公算です。今次中計では事業戦略として①百貨店事業の収益力強化、②事業ポートフォリオの見直しの2点を掲げています。

 

①については、化粧品やラグジュアリー/高額品強化といったMD施策にくわえ、ID会員と呼ばれるハウスカード所持客へのCRM強化を推進し、会員売上比を47%→60%まで引き上げる方針です。特に外商分野に注力する方針であり、コンサルティング営業の強化や銀座近隣路面店のラグジュエリーブランドとの提携を促進し、顧客送客&当社消化仕入取引で売上拡大を目論みます(※神戸大丸と近隣の旧居留地路面店の面的な営業施策に近い)。

 

➁は主に保有不動産の活用を進める方針であり、他地権者及びヒューリックとともに銀座コアビルの再開発を手掛けています。再開発竣工時期は2027年になるものの、容積は大きく拡大し、延床8,000坪弱のテナントビルに生まれ変わり、賃収増が期待されます。なお建替費用対価として、ヒューリックに敷地一部を売却しており、44億円の譲渡益を計上しています。不動産以外では、フィンテックグローバルからムーミンの国内ライセンス会社を買収したほか、足許ではB4F社のEC事業の譲受を公表しています。

 

株主還元については、期初時点から前期比倍増となる年5円配を見込んでいたものの、中間時点で更に増額しており、同3倍となる年7円50銭(配当性向18.9%)に配当予想を修正しています。自己資本比率は36.8%と引き続き良化傾向にあるものの、不動産再開発の資金需要を考慮して、配当性向を2割程に絞っているものとみられます。


*参考記事① 2020-07-03 667円 NT

【8237】松屋/国内客への再シフトは道半ば、催事見送りなら集客厳しい。

 

*参考記事② 2019-07-10  875円 NT

インバウンド依存体質脱却のため、構造改革期間へ移行・松屋(8237)。

 

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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