インバウンド依存体質脱却のため、構造改革期間へ移行・松屋(8237)。 | なちゅの市川綜合研究所

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【8237】松屋(東証1部)  NT


現在値 875円/100株 PER30.9 PBR2.14 2月優待配当 8月配当

呉服店発祥の名門百貨店。銀座本店と浅草店の2店体制。独立路線。
配当金は2月末・8月末の年2回・合計8円で、配当利回りは0.91%となります。

松屋は株主優待制度を実施しており、100株以上を保有する2月末・3月末株主に対して、

利用上限のない10%割引買物カードを進呈しております。また、有料の催事が2人分まで

無料になりますので、入場料1,000円の催事に2人で年2回行った場合の配当優待利回り

を算出すると、およそ約5.48%となります。

業績を確認していきます。  
■2016年2月期 売上高 929億円、経常利益 28.9億円、EPS 22.4円
■2017年2月期 売上高 863億円、経常利益 12.6億円、EPS 14.6円 

■2018年2月期 売上高 905億円、経常利益 20.4億円、EPS 23.7円

■2019年2月期 売上高 925億円、経常利益 18.2億円、EPS 25.9円 

■2020年2月期 売上高 940億円、経常利益 20.0億円、EPS 28.3円 ce
□2019年8月中 売上高 460億円、経常利益 6.5億円、EPS 8.7円 四e

2019年2月期の売上高は前期比2.2%増の925億円、経常利益は同13.2%減の18.2億円となり、

売上は予算を上回ったものの、利益は未達となりました。地下食料品売り場の改装や限定

ショップ導入により買い回りが促進されたほか、引き続きインバウンドの持ち直しが業績を

下支えしました。銀座店の売上高は前期比4.9%増、浅草店は同▲3.5%増となり、2店舗

通算4.3%で着地し、予算前提の同4.6%とほぼ同水準となりました。利益未達となったのは、

飲食子会社の婚礼宴会受注の未達や、「イッタラ」を取り扱うインテリア子会社の事業再編

(撤退)絡みによる損失によるものであり、本業外事業が足を引っ張った格好となります。

進行期である2020年2月期の予算は、売上高が前期比1.6%増の940億円、経常利益は9.5%

増の20.0億円を見込んでいます。実績期で業績の重しとなった飲食子会社において、婚礼

受注を強化すべくマーケティング、ケータリング改革を実行するほか、百貨店業については

女性の社会進出に合わせたコンサルティングセールスを強化するほか、紳士服のパターン

オーダースーツ会員の獲得強化を進める計画です。既に店舗の改装は一巡しているため、

ソフト面での単価向上施策が中心となります。なお、足許1Q(3-5月)の月次売上高も、3ヶ月

累計期間で102~103%と堅調に推移しており、計画比でインラインの進捗とみられます。

 

実績期(2019年2月期)は売上高980億円・営業利益30億円を目指す3年中計の最終年度

となっておりましたが、当該中計自体がインバウンド一次ブームの華やかなりし頃に策定

されたバラ色の計画であったため、未達(営業利益の実績は18.4億円)で終わっています。

今期は創業150周年を迎えることもあり、新3年中計を策定しており、最終年度の2022年

2月期に売上高950億円、営業利益24億円を新たな目標値に置き換えています。

 

具体的取組として、「デザインの松屋」をスローガンに掲げ、上述のファッションコンサル

ティングセールスによる客単価底上げを推進するとともに、得意顧客であるハウスカード

所有者と外商客の取り込みを強化し、高いインバウンド依存比率を徐々に引き下げてい

く目論見です。そのため、従前中計よりも構造改革的な色合いの強い内容となっており、

数値設定もコンサバな印象であり、五輪特需も特に織り込んでいないものとみられます。

(要は普通にやれば十分達成出来得る業績目標との認識です)

 

ちなみに株主還元については、本年11月に創業150周年を迎えることもあり、今期の配

当予想は2円の記念配を加えた年間8円を予想しています。業績のわりに配当が大して

増えないのは、2017年に文房具販売の伊東屋から銀座店借地権建物の取得に伴って

有利子負債が激増したことが要因とみられ、ちょいちょい返済が進んではいるものの、

来期は記念配の2円を維持せずに、6~7円の普通配に減配する可能性もありそうです。

 

*参考記事① 2018-06-15  1,662円 NT

業績V字回復も、まずは巨額の新規借入の返済優先か・松屋(8237)。

 

*参考記事② 2017-12-10  1,433円 NT

インバウンド再びで復調気配が強烈、松屋(8237)。

 

 

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特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に 

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