待望の“リデンプション”導入で、中国事業の底入れ期待・イオンファンタジー(4343)。 | なちゅの市川綜合研究所

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【4343】イオンファンタジー(東証1部)  OP

現在値 2,301円 PER21.1 PBR1.67 2月配当優待 8月配当優待

イオン系。大型SC内に遊戯施設。時間制遊具など幼児部門向け強化。
配当金は2月末・8月末の年2回で合計50円で、配当利回りは2.17%となります。

イオンファンタジーは株主優待制度を実施しており、100株以上を保有する2月末・8月末の

株主に対して、2,000円の施設利用券を進呈しているほか、2月末の株主に対しては別途

お米(魚沼産コシヒカリ3㎏.)を進呈しているため、お米を1,500円で計算した場合の配当優

待利回りは約4.56%となります。

業績を確認していきます。
■2016年2月期 売上高 588億円、経常利益 26.3億円 EPS 76.7円 

■2017年2月期 売上高 650億円、経常利益 34.9億円 EPS 86.1円  

■2018年2月期 売上高 721億円、経常利益 55.9億円 EPS 151円 

■2019年2月期 売上高 742億円、経常利益 42.9億円 EPS 94.5円 

■2020年2月期 売上高 780億円、経常利益 47.5億円 EPS 109円 ce

□2019年5月1Q 売上高 179億円、経常利益 0.9億円 EPS▲15.9円(7/5)
□2019年8月2Q 売上高 390億円、経常利益 27.0億円 EPS 71.0円 ce

2019年2月期の売上高は前期比2.9%増の742億円、経常利益は同23.2%減の42.9億円と

なり、7%程の増収増益を見込んでいた予算から一転して20%超の大幅減益となりました。

予算前提の既存店売上高は国内103%、海外105%のだったところ、いずれも100%水準に

留まっており、国内事業については台風・豪雨による天候不順の影響を受けたほか、好

採算のカードゲームやメダルゲームが伸び悩んだ一方、人件費の嵩むプライズが好調に

推移したことによる商品ミックス変化で採算性が悪化しました。また海外事業については、

主に中国における競争激化により、ディスカウントセールを乱発したことで国内と同様に

採算性が悪化したほか、出店抑制策によりトップラインの伸長も限定的となりました。

 

進行期である2020年2月期の予算については、売上高が5.1%増の780億円、経常利益は

10.5%増の47.5億円を計画しています。予算前提となる既存店売上高については、国内が

101%、中国104%、アセアン105%、出店については国内が12店、中国30店、アセアン48店を

予定しており、出店数については直近数期と同程度の水準を予定しています。但し、足許

5月分まで開示されている既存店売上3ヵ月累計期間の数字については、国内が107.4%と

順調に推移しているものの、海外が86.0%とかなり苦戦しているほか、特に中国だけを切り

取ると77.4%(一過性要因を含む)と大苦戦しています。中国事業は、引き続き競争激化の

影響を色濃く受けているものとみられるほか、アセアン事業についてもポケモンの反動減

や麻疹の流行などにより苦戦を強いられており、去る7月5日に開示済の1Qも全く見栄え

のしない内容となっており、通期予算の達成は早くも不透明な状況となっています。

 

今期は2021年2月期を最終年度とする3年中計の中間年度となっており、翌期に売上高

888億円(CAGR7%)、経常利益72億円(CAGR9%)を目標としているほか、当初10年長

標として、2026年2月期に売上高2,500億円・営業利益200億円を目指しています。

当社は他のイオン系の上場子会社と比較すると、親の持株比率が約65%と比較的高く、

イオン本体とイオンモールのアジアシフトに合わせて出店を果たしてきましたが、既述の

とおり足許では競合激化に見舞われており、海外成長は踊り場の局面を迎えています。

 

これまでのような海外出店が難しくなったこともあり、次なる成長ドライバーとして、1月に

中国の大手ゲームメーカーである世宇社に中国現法の株式を一部譲渡することで合弁

会社に切り替え、外資規制のあるリデンプション方式(メダル等のゲームの結果に応じて

景品交換が出来る)のゲームセンターを展開出来る体制を整えました。まだ同方式による

展開店舗数は10店弱と少ないものの、既展開店舗では10%の売上良化がみられるため、

今後はこのリデンプション切替による梃入効果で、依然下げ止まりの兆候がみられない

中国事業の底入れをまずは見守る格好となります(月次売上で確認が可能)。

 

一方、株主還元については、今期も50円配当の据置を見込んでいます。足許の業績が

明確に足踏み状態となってしまったこともあり、今期の計算上の配当性向は約46%水準

にも及ぶことから、今期は増配せずに50円配当を据え置く公算が高そうです。

 

*参考記事① 2018-05-21 6,360円 NT

3年中計は初年度で大幅上振れ、破竹の業績伸長続く・イオンファンタジー(4343)。

 

*参考記事② 2017-12-13 4,730円  NT

3年中計は初年度で達成の勢い、イオンファンタジー(4343)。

 

 

会社四季報 2019年3集夏号

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基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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