【3655】ブレインパッド/人件費先行ながら利益重視転換で初配、生成AI関連の需要が増加。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3655】ブレインパッド(東証プライム) OP

現在値  1,066円/100株  P/E 30.5  P/B 4.65  6月配当(無配) 株主優待なし

AI活用した企業データ分析コンサルが主。売上高が人員数に比例。開発ソフト販売も。


配当は6月末一括の年8円配当のため、配当利回りは約0.75%となります。

ブレインパッドは株主優待制度を導入しておりせん。


業績を確認していきます。

■2021年6月期 売上高 71.0億円、営業利益 8.5億円 EPS 27.0円

■2022年6月期 売上高 85.6億円、営業利益 11.4億円 EPS 36.5円

■2023年6月期 売上高 97.9億円、営業利益 6.8億円 EPS 23.7円 

■2024年6月期 売上高 110.0億円、営業利益 11.0億円 EPS 34.9円 ce

□2023年9月1Q 売上高 25.3億円、営業利益 2.8億円 EPS 9.2円(11/10)

□2023年12月2Q 売上高 52.0億円、営業利益 4.0億円 EPS 13.0円 ce
 

2023年6月期の売上高はYoY+14.4%の97.9億円、営業利益はYoY▲40.6%の6.8億円となり、2桁増収も計画比で大幅未達となりました。主力のデータ活用事業については、想定しなかった特定の大型案件が縮小したほか、期中の受注も想定以下となったものの、プロダクト事業については買収効果の一部寄与で増収を確保しました。他方で利益面については、積極採用により従業員数がYoY+19%の600名体制となったほか、引当金計上やのれん償却費用が膨らんで大幅減益となりました。


進行期である2024年6月期の予算は、売上高がYoY+12.3%の110億円、営業利益はYoY+61.6%の11.0億円を見込んでいます。データ活用事業については、売上成長から採算性重視への転換を志向し、“選択と集中”による大型顧客へのフォーカスで既存人員の有償稼働率向上に取り組みます。利益面については、積極採用取り止めによる人件費の抑制のほか、終わった期の一過性費用剥落により大幅増益を見込みます。なお11月10日に開示済の1Qは、売上高25.3億円&営業益2.8億円と生成AI関連の引き合い増で強含みの進捗が確認されます。

 

終わった従来中計は顧客の入れ替わりや競合激化、PJ難易度の上昇にくわえ、人材採用先行によるコスト増で大幅未達の結果となりました。そして今般2026年6月期を最終年度とする新中計を公表しており、向こう4ヵ年で売上高を97.9億円→140.0~150.0億(CAGR15%程度)へ、EBITDAを11%弱→16%超を改めて目指す計画としています。今次中計での取組事項としては、①高利益体質への転換、②提供価値の再構築、③産業ポートフォリオの見直し、の3点を掲げています。

 

①は有償稼働率向上、SaaS利益率向上、営業の選択・集中等を掲げており、大型顧客のLTV向上にフォーカスします。顧客業界単位で営業体制を整備して効率化を図るほか、長期の関係構築と業界深堀りによるSaaSのアップセルを狙います。②は経営問題の一気通貫型支援はフロー型であり、顧客企業による内製化推進策には対抗しきれないことから、ストック型の“伴走方式“によりDX人材育成やSaaS導入を進めます。

 

③は業界PFの見直しであり、2021年に資本提携した伊藤忠商事(2.9%)と業務関連性の強い小売・消費者サービス業界の顧客基盤が大きかったものの、2022年に資本提携したりそなHD(2.5%)や、当社がDXパートナーとして採用されたゆうちょ銀行との協業を契機に金融業界への本格進出を図ります。

 

また昨年7月にはLINE特化型の広告運用SaaS「Ligla」を手掛けるTimeTechnologies(売上高3億円強/経常利益0.5億円/純資産1.0億円)を10.5億円で買収しています。当社主力の顧客管理プロダクトである「Rtoaster」のマーケティング施策部分において、LINE顧客9,200万人に対するリーチ機能の拡張が期待されます。当社シナジーもあり既にのれん等償却額を上回る利益を計上しており、僅少額ながらも利益貢献しています。

 

財務状況については、先述のTimeTechnologiesを手金で買収し、多額ののれん等に置き換わるなどしているものの、自己資本比率は75.1%と盤石な状態です。また利益重視への転換により、終わった期から配当も開始しており、進行期は横ばいとなる8円配当(配当性向22.9%)を見込んでいます。

 

*参考記事①  2022-11-30 949円 OP

【3655】ブレインパッド/4年中計は未達公算も、売上高の年率2割成長基調は維持されよう。

 

*参考記事② 2021-11-01 1,820円*分割遡及修正後 NT

【3655】ブレインパッド/伊藤忠商事の強力なDX推進で、当面は年率2割成長が期待されよう。

 

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