【1605】INPEX/PBR1.0倍割れ脱却を志向し、事実上の年間配当下限74円をガイド。 | なちゅの市川綜合研究所

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【1605】INPEX(東証プライム) OP 

現在値 2,085円/100株  P/E 7.99  P/B 0.62  12月配当優待 6月配当

原油・ガス開発生産国内最大手。政府が黄金株保有。豪州でLNG案件(イクシス)操業。
今期予想配当金は年2回・合計74円のため、配当利回りは約3.55%となります。

国際石油開発帝石は株主優待制度を実施しており、12月末に4単元を1年以上保有する株主に対して1,000円分のクオカードを進呈しておりますので、4単元保有時の配当優待利回りは約3.66%となります。なお、2年以上保有の場合は進呈額が2倍、3年以上保有の場合は3倍となりますので、同利回りはそれぞれ約3.78%、約3.90%となります。

業績を確認していきます。

■2020年12月期 売上高 7,710億円、最終利益▲1,116億円 EPS▲76.5円

■2021年12月期 売上高 1兆2,443億円、最終利益 2,230億円 EPS 153.8円 

■2022年12月期 売上高 2兆3,346億円、最終利益 4,382億円 EPS 320.6円

■2023年12月期 売上高 2兆1,550億円、最終利益 3,400億円 EPS 262.5円ce修正

□2023年6月2Q 売上高 1兆787億円、最終利益 2,542億円 EPS 194.6円

□2023年9月3Q 売上高 1兆6,018億円、最終利益 2,803億円 EPS 215.1円(11/9) 

 

2023年6月中間期の売上高はYoY▲1.8%の1兆787億円、最終利益はYoY+38.1%の2,542億円となり、1Qの増額見通しを上振れて推移しました。油価($/bbl)は予想80.0$vs実績79.9$とやや弱含んだものの、為替(¥/$)は予想130円vs実績135円と有利方向に振れたほか、旗艦の“イクシス”は65カーゴを出荷するなど順調な生産となり、探鉱費用減少も収益押し上げに寄与しました。

 

なお2023年12月期の通期見通しは3Q時点で再修正しており、売上高はYoY▲7.3%の2兆1,550億円(期予:1兆8,850億円)、最終利益はYoY▲26.3%の3,400億円(期予:2,700億円)に修正しています。4Q3ヵ月間の油価前提を“Mark to Market”し、バレル85.0$(期予:75.0$)、為替前提(¥/$)を140円(期予:125円)に置き直しています。“プレリュード”減損▲529億円計上も、“イクシス”関連費用の改善(+350億円)で打ち返し、最終益見通しを2Q予想から更に200億円上積みしています。

 

当社は翌2024年12月期を最終年度とする3年中計で、油価バレル70.0$&為替110円(¥/$)を前提とした上で、最終利益を2,230億円→2,400億円に引き上げる計画ながら過達状態となっています。総事業費4兆円の豪州沖・大型LNG-PJ“イクシス”は安定稼働しており、当初生産量890万t(日本の年間LNG輸入量の約1割)を930万tに引き上げる計画でしたが、増産の前倒しと油価&円安影響で全社計数をカバーしています。生産井の追加掘削と周辺未開発田の権益取得で更なる増産を進めるものの、次回中計期間では豪州政府の石油資源利用税改定や大規模メンテがリスク要因となります。

 

次世代大型PJとして期待される“アバディ”は、クリーンLNG生産量年間950万t、コンデンセート日量3.5万バレルが見込まれ、尼政府と生産分与契約を2055年まで延長済ながらCCS対策(CO2の回収&貯蔵)が発生したため見直し中であり、PJの収益寄与は早くても2030年となります。そのため、上述の“イクシス”の追加探鉱や、既存のアブダビ海上油田の再増産、大ガス&住商より持分取得した、出光合弁のノルウェー“スノーレ油田”といった案件に頼ることになります。

 

非化石燃料(ネットゼロ5分野)への移行については、2030年までに1兆円を投じる計画です。今次中計期間においては水素・アンモニア(700t→10万t/y)、CCUS(柏崎6,000t→250万t/y)、再エネ(500MW→1‐2GW)、メタネーション(2,400t→6万t/y)、森林(REDD+事業150万t→200万t)をそれぞれKPIと定め、これら5分野の増強で全社CFの1割を稼ぐ計画です。本年7月には伊電力大手のエネルより、太陽光や風力発電・蓄電池など再エネに強みを持つ豪州現法を買収しています(持分50%)。

 

株主還元方針については、今次中計で総還元性向を40%に切り上げたほか、2Qの業績見直し時にPBR1.0倍割れの脱却と、YoY12円増配となる年74円(配当性向28.1%)の予想配当を事実上のフロアとする旨をガイドしました。別途実施済の1,000億円(3.65%)の自社株買いを含めた進行期の総還元性向は57%に上るものの、資本効率改善のために翌期以降も還元拡充が見込まれます。

 

*参考記事① 2023-05-19  1,475円 OP

【1605】INPEX/足許油価軟調だが為替でカバー可能とみられる、追加増配&自社株買い待ち。

 

*参考記事② 2022-11-24 1,506円 OP

【1605】INPEX/自社株買い1,200億円は想定超の規模、追加的な増配も期待されよう。

 

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。

 

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