【1605】INPEX/自社株買い1,200億円は想定超の規模、追加的な増配も期待されよう。 | なちゅの市川綜合研究所

なちゅの市川綜合研究所

「別に勝たなくてもいいので、負けないこと」を志向しております。
本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報等に基づき、作成されています。
当ブログの情報に全面的に依拠することはお控えいただき、最終的なご判断はご自身でお願いいたします。

image

【1605】INPEX(東証プライム) OP 

現在値 1,506円/100株  P/E 5.20 P/B 0.51  12月配当優待 6月配当

原油・ガス開発生産国内最大手。政府が黄金株保有。豪州でLNG案件(イクシス)操業。
今期予想配当金は年2回・合計60円のため、配当利回りは約3.98%となります。

国際石油開発帝石は株主優待制度を実施しており、12月末に4単元を1年以上保有する株主に対して1,000円分のクオカードを進呈しておりますので、4単元保有時の配当優待利回りは約4.15%となります。なお、2年以上保有の場合は進呈額が2倍、3年以上保有の場合は3倍となりますので、同利回りはそれぞれ約4.31%、約4.48%となります。

業績を確認していきます。

■2019年12月変 売上高 10,000億円、最終利益 1,235億円 EPS 84.6円

■2020年12月期 売上高 7,710億円、最終利益▲1,116億円 EPS▲76.5円

■2021年12月期 売上高 1兆2,443億円、最終利益 2,230億円 EPS 153.8円 

■2022年12月期 売上高 2兆3,020億円、最終利益 4,000億円 EPS 292.5円ce修正

□2022年6月2Q 売上高 1兆0,984億円、最終利益 1,844億円 EPS 133.0円 

□2022年9月3Q 売上高 1兆6,987億円、最終利益 2,674億円 EPS 193.5円(11/8)

 

2022年6月中間期の売上高はYoY+120.4%の1兆0,984億円、最終利益はYoY*2.5倍の1,844億円となり、1Q時点の増額見通し比で若干未達となりました。新型肺炎禍の一巡による世界景気復調下での石油・LNG需要の回復や米国金利上昇によるドル高効果により、1Q修正前提との比較では、油価($/bbl)は予想85.0$vs実績104.9$、為替(¥/$)は予想120.0円vs実績123.2円といずれも有利方向に振れました。他方で、“イクシス”借入の再評価で▲198億円、“プレリュード”ストライキによる一部PJの生産不調で▲120億円が重荷となりました。

 

2022年12月期の通期見通しについては、3Qで改めて再増額しており、売上高はYoY+85.0%の2兆3,020億円(期予:1兆5,410億円)、最終利益はYoY+79.3%の4,000億円(期予:2,500億円)に修正しています。期末までの油価前提を“Mark to Market”し、バレル98.1$(期予:75.0$)、為替前提(¥/$)を131.1円(期予:110円)に置き直しています。“イクシス”の一部計画停止による減産や、“イーグルフォード”の減損▲183億円があるものの、“ルシウス油田”の売却益+333億円が寄与し、3Q時点で見通しを500億円増額していますが、足許の油価や為替を考慮すればやや保守的な想定と解されます。

 

進行期は本来であれば5ヵ年中計の最終年度でしたが、目標の売上高9,337億円→13,000億円、最終利益403億円→1,500億円については、1年前倒し達成したため計画をロールしています。社運を賭けた総事業費4兆円の豪州沖・大型LNGプロジェクト“イクシス”も既に安定稼働入りしていることから、油価70$・為替110円(¥/$)前提とした上で、最終利益を2,400億円とする新予想を置いています。それでも足許油価・為替ともにこの前提を大幅に超過しているため、ロール後数値も既に形骸化している状況です。

 

柱の“イクシスは”日本の年間LNG輸入量の約1割に当たる890万t程ですが、これを2024年までに930万tに引き上げるべく生産井掘削が進んでおり、前提レートがそのままであれば“イクシス”だけで、年3,000億円超の純益貢献が見込まれます。また、次世代大型PJとして期待される“アバディ”は、LNG生産量年間1,050万t、コンデンセート日量3.5万バレルが見込まれ、尼政府と生産分与契約を2055年まで延長しているものの、別途CO2回収が必要となったため、計画見直し中となっています。また、“アバディ”の収益寄与は早くても2030年のため、今次中計どころか次期中計にも入らない投資先行のPJとなっています。

 

非化石燃料(ネットゼロ5分野)への移行については、2030年までに1兆円を投じる計画です。今次中計期間においては水素・アンモニア(700t→10万t/y)、CCUS(柏崎6,000t→250万t/y)、再エネ(500MW→1‐2GW)、メタネーション(2,400t→6万t/y)、森林(REDD+事業150万t→200万t)をそれぞれKPIと定め、これら5分野の増強で全社CFの1割を稼ぐ計画です。現状では実証実験中ではあるものの、柏崎のカーボンフリー水素・アンモニア、アブダビでのクリーンアンモニア事業が注力事業となっています。

 

株主還元方針については、今次中計期間で総還元性向を40%に切り上げたほか、年30円配当を下限にとして、12円増配の年60円配当を見込んでいます。株主還元のうち配当性向30%強と仮定すれば、あと10円増配して年75円配当が射程に入るほか、別途1,200億円(8.65%)規模の巨額自社株買いを実行しているため、現状ベースでも出来上がりの総還元性向は57%強となります。


*参考記事① 2022-05-13  1,478円 OP 

【1605】INPEX/1Qから増額も油価前提なお保守的、配当は年65~70円まで増配含み。

 

*参考記事② 2021-10-25  951円 OP

【1605】INPEX(国際石油開発帝石)/イクシス出荷減も、油価前提引き上げで再増額。

 

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。

 

にほんブログ村 株ブログ 株主優待へ にほんブログ村 株ブログ IPO・新規公開株へ にほんブログ村 株ブログ サラリーマン投資家へ