【1605】INPEX(東証プライム) OP
現在値 1,478円/100株 P/E 8.17 P/B 0.47 12月配当優待 6月配当
原油・ガス開発生産国内最大手。政府が黄金株保有。豪州でLNG案件(イクシス)操業。
今期予想配当金は年2回・合計54円のため、配当利回りは約3.65%となります。
国際石油開発帝石は株主優待制度を実施しており、12月末に4単元を1年以上保有する株主に対して1,000円分のクオカードを進呈しておりますので、4単元保有時の配当優待利回りは約3.82%となります。なお、2年以上保有の場合は進呈額が2倍、3年以上保有の場合は3倍となりますので、同利回りはそれぞれ約3.99%、約4.16%となります。
業績を確認していきます。
■2019年12月変 売上高 10,000億円、最終利益 1,235億円 EPS 84.6円
■2020年12月期 売上高 7,710億円、最終利益▲1,116億円 EPS▲76.5円
■2021年12月期 売上高 1兆2,443億円、最終利益 2,230億円 EPS 153.8円
■2022年12月期 売上高 1兆8,510億円、最終利益 3,000億円 EPS 216.3円ce修正
★2022年12月期 売上高 1兆8,988億円、最終利益 3,530億円 EPS 257.0円 cons.
□2022年3月1Q 売上高 4,853億円、最終利益 940億円 EPS 67.8円(5/11)
□2022年6月2Q 売上高 1兆190億円、最終利益 2,000億円 EPS 144.2円 ce修正
2021年12月期の売上高はYoY+61.4%の1兆2,443億円、最終利益はYoY+3,346億円の2,230億円となり、相次ぐ期中の増額修正見通しを更に上回って着地しました。世界的なLNG急騰による代替需としての油価高騰にくわえ、米国の金利上昇によるドル高効果で、期初予算前提との比較では、油価はバレル53$vs実績71$、為替(¥/$)は103円vs実績109円といずれも有利方向に振れました。収益柱の”イクシス”の計画・計画外修繕もあったものの、油換算したネット生産量(日量)はYoY+1.9%の58.4万バレルに増加し、これに単価効果がフルに効いた格好です。
2022年12月期の通期見通しについては、1Qにはや増額しており、売上高がYoY+48.8%の1兆8,510億円(期予:1兆5,410億円)、最終利益はYoY+34.5%の3,000億円(期予:2,500億円)に修正しています。通期の油価前提を“Mark to Market”で、バレル75.0$→85.0$、為替前提(¥/$)を110円→120円に修正しています。“イクシス”の利益寄与も2,400億円程度を見込む一方、期初より想定していた計画修繕にくわえ、他PJの生産不調や資産除去債務計上など▲330億円を追加的に織り込んで、ネット500億円の増額修正となりますが、足許の油価や為替を考慮すればなお保守的な想定と解されます。
進行期は本来であれば5ヵ年中計の最終年度の位置付けでしたが、計数目標の売上高9,337億円→13,000億円、最終利益403億円→1,500億円については、1年前倒しで達成となったため計画を切り上げています。最大目標であった総事業費4兆円の豪州沖・大型LNGプロジェクト“イクシス”は経済的完工しており、安定操業に入っています。そのため、今回2024年12月期を最終年度とする新3年中計にロールしており、油価70$・為替110円(¥/$)前提とした上で、最終利益2,400億円と減益を予想しており、“イクシス”の立ち上げからネットゼロ・株主還元等のキャッシュフローマネジメントに焦点が移ります。
ネットゼロ5分野で2030年までに1兆円を投じる計画であり、今次中計期間においては水素・アンモニア(700t→10万t/y)、CCUS(柏崎6,000t→250万t/y)、再エネ(500MW→1‐2GW)、メタネーション(2,400t→6万t/y)、森林(REDD+事業150万t→200万t)をそれぞれKPIと定め、これら5分野の増強で全社CFの1割を稼ぐ計画です。現状では実証実験中ではあるものの、柏崎のカーボンフリー水素・アンモニア、アブダビでのクリーンアンモニア事業が注力事業となっています。
従来型エネルギー事業としては、次世代大型PJとして期待される“アバディ”は、LNG生産量年間1,050万t、コンデンセート日量3.5万バレルが見込まれ、尼政府と生産分与契約を2055年まで延長しているものの、現状では計画見直し中となっています。また、“アバディ”の収益寄与は早くても2030年のため、今次中計どころか次期中計にも入らない投資先行のPJのため、現段階で織り込むにはやや時期尚早の印象です。ただそれでも油価前提が保守的なため、足許実勢から鑑みるに、中計に掲げる計数目標自体は達成蓋然性の高いものと解されます。
株主還元方針については、今次中計期間においては総還元性向を40%に切り上げるとともに、年30円配当をフロアとしており、現段階では6円増配の年54円配当を見込んでいます。ただ1Qで通期増額している経緯もあり、株主還元のうち配当性向30%強と仮定すれば、年65円~70円配当(+自社株買い)までは既定路線と考えられます。
*参考記事① 2021-10-25 951円 OP
【1605】INPEX(国際石油開発帝石)/イクシス出荷減も、油価前提引き上げで再増額。
*参考記事② 2021-04-23 735円 BY
【1605】INPEX(国際石油開発帝石)/油価反転で一気に好転、配当性向引上げで追加増配も。
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