【1605】国際石油開発帝石(現INPEX/東証一部) OP
現在値 951円/100株 P/E 8.17 P/B 0.47 12月配当優待 6月配当
原油・ガス開発生産国内最大手。政府が黄金株保有。豪州でLNG案件(イクシス)操業。
今期予想配当金は年2回・合計40円のため、配当利回りは約4.21%となります。
国際石油開発帝石は株主優待制度を実施しており、12月末に4単元を1年以上保有する株主に対して1,000円分のクオカードを進呈しておりますので、4単元保有時の配当優待利回りは約4.46%となります。なお、2年以上保有の場合は進呈額が2倍、3年以上保有の場合は3倍となりますので、同利回りはそれぞれ約4.73%、約4.99%となります。
業績を確認していきます。
■2019年3月期 売上高 9,713億円、最終利益 961億円 EPS 65.8円
■2019年12月変 売上高 10,000億円、最終利益 1,235億円 EPS 84.6円
■2020年12月期 売上高 7,710億円、最終利益▲1,116億円 EPS▲76.5円
■2021年12月期 売上高 1兆1,134億円、最終利益 1,700億円 EPS 116.4円 ce修正(8/10)
★2021年12月期 売上高 1兆1,861億円、最終利益 1,757億円 EPS 120.4円 cons.
□2021年6月2Q 売上高 4,983億円、最終利益 519億円 EPS 35.6円(8/10)
2021年6月中間期の売上高は前期比27.2%増の4,983億円、最終利益は同黒転の519億円で進捗し、対前期・対予算で大幅な増収増益となりました。各種指標の前提については、当初想定油価はバレル53$、為替(¥/$)は103円で設定していましたが、経済活動の再開等による想定超の油価上昇となり、実績はバレル65.2$、為替も107.8円と何れも有利方向に振れました。収益柱の”イクシス”の計画修繕及び延長修繕もあり、油換算したネット生産量(日量)は同9.3%減の52.8万バレルまで減少したものの、油価上昇による単価効果と前年同期の低油価由来の減損剥落等が業績を押し上げた格好となります。
2021年12月期の通期見通しについては、1Qに続いて再増額しており、売上高が前期比47.1%増の1兆1,134億円(期予:8,830億円)、最終利益は黒転の1,700億円(期予:1,000億円)に修正しています。通期の油価前提を“Mark to Market”により、バレル53$→65.1$、為替(¥/$)を103円→108.9円に修正しています。元より前期の一過性損失剥落により1,600億円の損益が良化するほか、昨年実施したコスト削減効果の通期貢献、越サオバンガス田の引当金戻入益110億円、“イクシス”の利益寄与も期初より300億円多い950億円程度を見込んでいます。また、足許油価はOPECプラスの(実質的な)減産基調が継続によりバレル80$超で推移しているため、再増額予算に沿った着地が見込まれます。
今期は5ヵ年中計の4年度目となっており、最終年度である翌2022年12月期に売上高9,337億円→13,000億円、最終利益403億円→1,500億円(前提油価バレル60$、為替(¥/$)110円)を目指しています。本中計最大目標である総事業費4兆円の豪州沖・大型LNGプロジェクト“イクシス”は一昨年に無事完工しており、足許ベースの生産量は当社権益分で日量20.3万バレルと安定的に推移しています。また周辺に17つの探鉱鉱区を保有しており、“クラウン”“ラセタ”“ミセタ”“バーンサイド”など9つの鉱区のガス構造が発見されているため、今後の鉱区拡大が目されます。
“イクシス”同様に大型PJである“アバディ”については、LNG生産量年間1,050万t、コンデンセート日量3.5万バレルもの生産量が見込まれており、2019年に尼政府と締結した生産分与契約を2055年に30年延長するなどしているものの、目下では新型肺炎禍で調査が中断している状況です。然しながら、“アバディ”の収益寄与は2020年代後半以降であり、翌中計期間に入るかどうかというPJのため、ひとまず今次中計については足許で想定超に堅調な油価を背景に、超過達成のとなる公算が高そうです。
他方、当社株のバリュエーションの重しとなっている所謂“脱炭素対策”については、本年早々にCO2純ゼロ(Scope1+2)、再エネ、水素事業、カーボンリサイクル等に年200~300億円を投じることを公表しています。当社はMSCI環境格付はAAA格で、石油他社比では先行しているものの、今後天然ガスを水素とCO2を分離し、CO2を地下貯留することでカーボンフリー水素の供給を目指すほか、アブダビでのグリーンアンモニア事業の検討を開始するなど、足許で更にESG周りの取組を強化しています。
株主還元方針については、本中計期間では配当性向30%水準&年24円配当をフロアとしているものの、足許の好調な油価を背景とした業績急浮上により期中増配を公表しており、前期比16円もの増配となる年40円配当へ修正しています。過去最高の配当水準となるものの、計算上の配当性向は34.4%に達していることから、更なる増配があっても年42~43円程度と考えています。
*参考記事① 2021-04-23 735円 BY
【1605】INPEX(国際石油開発帝石)/油価反転で一気に好転、配当性向引上げで追加増配も。
*参考記事② 2020-11-13 557円 OP
【1605】国際石油開発帝石/劇的な油価安の影響大きいが、最悪期は脱しつつあるか。
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