【1605】国際石油開発帝石(東証一部) OP
現在値 557円/100株 PER--.- PBR0.30 12月配当優待 6月配当
原油・ガス開発生産国内最大手。政府が黄金株保有。豪州でLNG案件(イクシス)操業。
今期予想配当金は年2回・合計24円のため、配当利回りは約4.30%となります。
国際石油開発帝石は株主優待制度を実施しており、12月末に4単元を保有する株主に対して、1,000円分のクオカードを進呈しておりますので、4単元保有時における配当優待利回りは約4.75%となります。なお、2年以上保有の場合は進呈額が2倍、3年以上保有の場合は3倍となりますので、同利回りはそれぞれ約5.20%、約5.65%となります。
業績を確認していきます。
■2017年3月期 売上高 8,744億円、最終利益 461億円 EPS 31.6円
■2018年3月期 売上高 9,337億円、最終利益 403億円 EPS 27.6円
■2019年3月期 売上高 9,713億円、最終利益 961億円 EPS 65.8円
■2019年12月変 売上高 10,000億円、最終利益 1,235億円 EPS 84.6円
■2020年12月期 売上高 7,540億円、最終利益▲1,360億円 EPS▲93.1円 ce修正
□2020年6月2Q 売上高 3,916億円、最終利益▲1,207億円 EPS▲82.7円
□2020年9月3Q 売上高 5,927億円、最終利益▲1,254億円 EPS▲85.9円(11/6)
2020年6月中間期の売上高は前年同期間比30.5%減の3,916億円、最終利益は赤転となる▲1,207億円で着地し、期初予算・1Q時点の減額予算を更に下回って着地し、大赤字となりました。各種指標の前提については、当初想定油価はバレル60$、為替(¥/$)は110円で設定していましたが、世界的な新型肺炎拡大による石油需要の減少が大きく響いて上期実績はバレル42.1$、為替(¥/$)は108.3円となりました。2019年に出荷を開始した”イクシス”については各種新型肺炎対策を強いられたものの順調な生産増を続けており、これに“プレリュード”のランプアップや、米州シェールガスの“イーグルフォード”の生産増も加わり、原油換算したネット生産量(日量)は前年同期比9%増の58.2万バレルまで増加したものの、件の油価安が大きく響いた格好となります。
2020年12月期の予算については、足許3Q時点で再度修正しており、売上高が前期比24.6%減の7,540億円(従予:7,300億円)、最終利益は同赤転の▲1,360億円(従予:UNCH)とし、通期の油価前提についても実勢を鑑みバレル41.9$、為替(¥/$)は106.9円で設定しなおしています。収益改善要素として、期初の計画から2割の開発投資減、4割の炭鉱投資減によるコスト削減を合わせて200億円程度見込んでおり、これらは想定超で良化しているものの、油価下落のインパクトが大きく補いきれない格好です。また、ボトムラインで油価下落を背景に各PJで減損認識しており、“イクシス”の▲1,308億円を皮切りに合計▲1,924億円の減損を計上し、通期で最終大赤字となる公算です。それでも11月6日に開示された3Qでは市場予想を上回って僅かながらも上方修正したほか、“イクシス”は単独四半期で黒転したとみられることから、最悪期は脱したような印象を受けます。
今期は5ヵ年中計の3年度目となっており、最終年度の2022年12月期に売上高9,337億円→13,000億円、最終利益403億円→1,500億円(前提油価バレル60$、為替(¥/$)110円)を目指しています。本中計最大の目標であり、20余年の歳月と4兆円の総事業費を投じた豪州沖・大型LNGプロジェクトである“イクシス”については、昨年既に財務的完工を達成しています。“イクシス”は足許時点においても順調な生産が出来ており、今後2~3年でフル生産となることから、バレル60$前提であればほぼこの“イクシス”等のいくつかの大型プロジェクトだけで最終利益目標は達成可能な目算でしたが、新型肺炎の影響により油価はバレル40$を挟んだ状況に留まっていることから数値達成は全て油価次第、という状況となっています。なお、会社側のアナウンスによれば、翌2021年12月期の油価がもし仮にバレル40$水準の低油価で推移したとしても、黒字の確保が可能である模様です。
“イクシス”については、周辺に18つの探鉱鉱区を保有し、目下では“クラウン”“ラセタ”“ミセタ”“バーンサイド”など9つの鉱区のガス構造の発見が進んでおり、今後は“イクシス”の既存施設を利用して生産を進めることが期待されています。また同様に大型PJである“アバディ”についても、昨年10月にインドネシア政府と締結している生産分与契約を従来の2025年期限から2055年に延長する契約更新を果たしたほか、本年2月にはインドネシア国営電力会社、国営肥料会社との間で国内向けLNG・天然ガスの供給契約を締結し、先だつ準備が進んでいます。ただ生産については、2020年代後半になる見通しであり、本中計期間にFEED(基本設計)を開始するとみられるものの収益貢献については早くて翌中計期間となる公算です。
株主還元方針については、本中計期間では配当性向30%水準を下限としており、“イクシス”が無事に出荷を開始したことから、“イクシス”記念配当分の6円をベースアップし、配当額下限を年18円から年24円に引き上げた配当フォーミュラを採用しています。今期の期初配当予想は年36円でしたが、上記のとおり大幅な下方修正となったため、下限値採用で年24円を予想しています。
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