【1605】INPEX/足許油価軟調だが為替でカバー可能とみられる、追加増配&自社株買い待ち。 | なちゅの市川綜合研究所

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【1605】INPEX(東証プライム) OP 

現在値 1,475円/100株  P/E 4.34  P/B 0.49  12月配当優待 6月配当

原油・ガス開発生産国内最大手。政府が黄金株保有。豪州でLNG案件(イクシス)操業。
今期予想配当金は年2回・合計64円のため、配当利回りは約4.34%となります。

国際石油開発帝石は株主優待制度を実施しており、12月末に4単元を1年以上保有する株主に対して1,000円分のクオカードを進呈しておりますので、4単元保有時の配当優待利回りは約4.50%となります。なお、2年以上保有の場合は進呈額が2倍、3年以上保有の場合は3倍となりますので、同利回りはそれぞれ約4.67%、約4.84%となります。

業績を確認していきます。

■2020年12月期 売上高 7,710億円、最終利益▲1,116億円 EPS▲76.5円

■2021年12月期 売上高 1兆2,443億円、最終利益 2,230億円 EPS 153.8円 

■2022年12月期 売上高 2兆3,346億円、最終利益 4,382億円 EPS 320.6円

■2023年12月期 売上高 1兆9,940億円、最終利益 3,000億円 EPS 229.7円ce修正

□2023年3月1Q 売上高 5,784億円、最終利益 1,514億円 EPS 115.0円(5/10) 

□2023年6月2Q 売上高 1兆7,100億円、最終利益 2,180億円 EPS 166.9円(5/10)

 

2022年12月期の売上高はYoY+86.8%の2兆3,246億円、最終利益はYoY+96.5%の4,382億円となり、3Qの再々増額見通しを更に上振れました。新型肺炎禍の一巡による世界景気復調下での石油・LNG需要の回復や米国金利上昇によるドル高効果で、油価($/bbl)は期初予想85.0$vs実績99.0$、為替(¥/$)は予想120.0円vs実績131.6円といずれも大きく有利方向に振れ、“イクシス”の計画停止による減産をこなし、“イーグルフォード”の追加減損▲257億円等の一過性損失を打ち返して大幅な増収増益となりました。

 

進行期の2023年12月期の予算については、1Q時点ではや再増額しており、売上高はYoY▲14.2%の1兆9,940億円(期予:1兆8,850億円)、最終利益はYoY▲38.4%の3,000億円(期予:2,700億円)に修正しています。期末までの油価前提を“Mark to Market”し、バレル80.0$(期予:75.0$)、為替前提(¥/$)を130円(期予:125円)に置き直しています。諸元前提差異で“イクシス”の利益貢献は2,900億円→2,400億円に減少するものの、計画停止を予定していないため、数量自体は930万t水準まで増産となる見込みです。

 

当社は2024年12月期を最終年度とする3年中計で、油価バレル70.0$&為替110円(¥/$)を前提とした上で、最終利益を2,230億円→2,400億円に引き上げる計画です。社運を賭けた総事業費4兆円の豪州沖・大型LNG-PJ“イクシス”は既に安定稼働入りしており、生産井の追加掘削により、当初生産量890万t(日本の年間LNG輸入量の約1割)を2024年までに930万tに引き上げる予定でしたが、1年前倒しで増産が進捗しているため、(油価&為替に振らされるものの)、この“イクシス”だけで全社利益がほぼほぼ賄えるような状況に達しています。

 

次世代大型PJとして期待される“アバディ”は、LNG生産量年間1,050万t、コンデンセート日量3.5万バレルが見込まれ、尼政府と生産分与契約を2055年まで延長しているものの、CO2回収の必要性が発生したため見直し中であり、PJの収益寄与は早くても2030年となります。そのため、“イクシス”の周辺炭鉱探索や、既存のアブダビ海上油田の再増産、2022年に大ガス・住商連合から持分を取得した、出光合弁のノルウェー“スノーレ油田”といったPJが目先の寄与案件として見込まれます。

 

非化石燃料(ネットゼロ5分野)への移行については、2030年までに1兆円を投じる計画です。今次中計期間においては水素・アンモニア(700t→10万t/y)、CCUS(柏崎6,000t→250万t/y)、再エネ(500MW→1‐2GW)、メタネーション(2,400t→6万t/y)、森林(REDD+事業150万t→200万t)をそれぞれKPIと定め、これら5分野の増強で全社CFの1割を稼ぐ計画です。現状では実証実験中ではあるものの、柏崎のカーボンフリー水素・アンモニア、アブダビでのクリーンアンモニア事業が注力事業となっています。

 

株主還元方針については、今次中計で総還元性向を40%に切り上げたほか、年30円配当をフロアに2円増配の年64円配を見込んでいます。増額修正後の配当性向は28%に過ぎないため、追加増配余地があるほか、目標総還元性向とのカイ離分は前期同様に1,000億円程度の自社株買いで埋めてくるものとみられます。


*参考記事① 2022-11-24 1,506円 OP

【1605】INPEX/自社株買い1,200億円は想定超の規模、追加的な増配も期待されよう。

 

*参考記事② 2022-05-13  1,478円 OP 

【1605】INPEX/1Qから増額も油価前提なお保守的、配当は年65~70円まで増配含み。

 

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