【9384】内外トランスライン(東証プライム) OP
現在値 2,511円/100株 P/E 8.1 P/B 1.28 6月配当 12月配当優待
独立系の国際海上輸出混載首位。豊富な仕向け地と運航頻度が強み。
配当は6月末・12月末の年2回合計85円のため、配当利回りは約3.39%となります。
内外トランスラインは株主優待を実施しており、12月末現在の100株保有株主に対して、1,500円相当のカタログを進呈しているため、配当優待利回りは約3.98%となります。
業績を確認していきます。
■2020年12月期 売上高 222億円、経常利益 14.8億円 EPS 87円
■2021年12月期 売上高 352億円、経常利益 39.2億円 EPS 285円
■2022年12月期 売上高 473億円、経常利益 68.4億円 EPS 477円
■2023年12月期 売上高 320億円、経常利益 45.0億円 EPS 307円ce修正
□2023年6月2Q 売上高 162億円、経常利益 24.4億円 EPS 168円
□2023年9月3Q 売上高 243億円、経常利益 35.3億円 EPS 244円 (10/30)
2023年6月中間期の売上高はYoY▲31.3%の162億円、経常利益はYoY▲26.9%の24.3億円となり、期初予想を下回りました。港湾混雑緩和正常化のほか、コンテナ不足に起因したフルコンテナ(FCL)需要の滲み出し需要が喪失し、好採算の輸出混載(LCL)は取扱数量の減少と大幅な賃料下落に見舞われました。他方、現地通貨建てで賃料を収受する輸入混載は為替の有利影響やCFSチャージの値上げが寄与し、単価減は限定的となりました。海上輸送正常化と巣ごもり一巡で、航空貨物を取り扱うフォワーダー子会社も反落しました。
なお2023年12月期の通期見通しは2Q段階で減額しており、売上高はYoY▲32.4%の320億円(期予:427億円)、経常利益はYoY▲34.5%の45.0億円(期予:58.6億円)と減収減益幅が拡大します。主力の輸出入混載LCL及びFCLについては、海上運賃が下落基調に入っており、特に北米航路(20ft)賃料はピーク時の7分の1まで低下しており、数量減より単価減影響を色濃く受けます。10月30日公表済の3Qについては、売上高243億円&経常益35.3億円で推移しており、修正計画線の進捗と解されます。
当社は進行期より2025年12月期を最終年度とする第5次中計を策定しており、向こう5年で売上高473億円→700億円、最終利益46億円→50億円に引き上げる計画です。利益水準は終わった期の業績で既に達成圏にあったものの、一過性の海運市況の高騰で“ゲタ”を履いた状態だったため、正常化後の海上運賃への置換で逆算的に700億円のトップラインが必要となる前提です。
今次中計の取組事項としては、①国内混載の強化、②国内フォワード再編、③海外拡大の3点を掲げています。①の混載強化は、単体事業の地位維持を企図し、M&Aや業務提携により規模拡大や新規分野の進出を目指します。②のフォワードについては、買収してきた子会社が多いことから、グループ再編による収益改善を図ります。
③の海外については、代理店との関係強化や再編といった既存の延長だけでなく、新規代理店の開発や、対日ビジネス需要のあるベトナムにくわえ、台湾、欧州、中東、アフリカといった成長エリアの新規開拓を推進します。本年5月には韓国子会社の増資を26億円分引き受けを、同社は釜山で18億円を投じて9,000坪強の新物流倉庫を取得したほか、9月にはインドネシア子会社がスラバヤに新支店(ジャカルタに次ぐ2店目)を開設しています。
なお財務についてはかねてより無借金を継続しているほか、目下の空前の好業績も相俟って、企業規模に見合わないネットキャッシュ約135億円を丸抱えしています。会社側アナウンスによれば、新規投資のため相応の資金需要が存することを理由に、配当予想は据置となる年85円配(配当性向27.6%)を予想しているものの、財務余力を鑑みればなお還元余地があるものと考えます。
*参考記事① 2023-05-05 2,498円 OP
【9384】内外トランスライン/下落基調入りした海運市況の下げ止まりを確認したい状況。
*参考記事② 2022-11-15 2,076円 OP
【9384】内外トランスライン/海上運賃高騰で都合3度目の上方修正、手許現金の積み上がり顕著。
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