【3655】ブレインパッド(東証プライム) OP
現在値 949円/100株 P/E 25.9 P/B 4.38 6月配当(無配) 株主優待なし
AI活用した企業データ分析コンサルが主。売上高が人員数に比例。開発ソフト販売も。
配当基準日は6月末ですが、配当実績はなく今期も無配予想となっています。
ブレインパッドは株主優待制度を導入しておりせん。
業績を確認していきます。
■2020年6月期 売上高 66.2億円、営業利益 10.6億円 EPS 40.2円
■2021年6月期 売上高 71.0億円、営業利益 8.5億円 EPS 27.0円
■2022年6月期 売上高 85.6億円、営業利益 11.4億円 EPS 36.5円
■2023年6月期 売上高 103.0億円、営業利益 11.0億円 EPS 36.4円 ce
□2022年9月1Q 売上高 22.6億円、営業利益 1.9億円 EPS 6.8円(11/11)
□2022年12月2Q 売上高 47.5億円、営業利益 3.4億円 EPS 11.8円 ce
2022年6月期の売上高はYoY+20.6%の85.6億円、営業利益はYoY+36.0%の11.4億円となり、計画通りの2割超の増収・増益を確保しました。主力のデータ活用事業については、案件の長期化にともなって期末で期ズレ案件が複数発生したものの、旺盛なデータ活用ニーズを背景に大型案件割合が増加(45.5%)したほか、プロダクト事業も大型案件の剥落や非主力製品の販売終了を新規増で埋めて増収とりました。利益面については、海外製品の仕入高やクラウド利用料が為替影響を受けたものの、計画していた大量採用(106名)が実際は76名止まりとなったため、結果的に若干上振れました。
進行期である2023年6月期の予算は、売上高がYoY+20.3%の103億円、営業利益はYoY▲4.0%の11.0億円を見込んでおり、年2割の増収基調を継続するものの、減益予想となります。主力のデータ活用事業は、期ズレ案件の算入があるほか、高いデータ活用ニーズを背景に全QonQで増収を見込みます。プロダクト事業も主力3製品へのフォーカス部門連携強化により、ストック売上高(構成比75%)の積み上げが見込まれます。利益面については、期末比+21%の106名の大量採用による人件費増加のほか、為替による海外製品・クラウド利用料の高騰、買収会社(*後述)ののれん代も重しとなり、減益想定となります。
当社はこの2023年6月期を最終年度とする4年中計を推進しており、売上高を56.7億円→115.0億円(CAGR19.3%)へ、経常利益を12.1億円→20.0億円(CAGR13.3%)へ、其々引き上げる計画ですが、進行期予算に照らせば大幅未達となる公算です。中計取組事項としては、①事業間連携強化、②人材採用拡大、③国内外Tech企業との外部提携強化、の3点を掲げています。
①・②に関し、当社は人員増が売上に直結する構造のため、競争が激化するデータ活用人材の採用が想定以下で推移しているため、トップライン成長が小甘いほか、足許では為替による仕入原価高騰影響を受けているような状況です。他方、③は比較的進捗しており、2020年に電通と合弁会社を設立したほか、以前より業務関係性の深い伊藤忠商事と2021年に資本提携(3%)したほか、本年にはりそなHDとも資本提携(2.5%)しています。
また、本年7月にはLINE特化型の広告運用SaaS「Ligla」を手掛けるTimeTechnologiesを10.5億円で買収しています。同社業績は売上高は3億円強/経常利益0.5億円ながら純資産1億円に満たないため、のれん(9億円)の定期償却で利益寄与はマイナスか僅少となるものの、当社主力の顧客管理プロダクトである「Rtoaster」のマーケティング施策部分において、LINE顧客9,200万人に対するリーチ機能の拡張が期待されます。
財務状況については、先述のTimeTechnologiesを手金で買収して、多額の“のれん”に置き換わるなどしているものの、自己資本比率は80.4%と盤石な状態です。依然配当は実施していないものの、会社側ではROE指標を意識しているフシがあり、昨年の7億円(1.75%)の自社株買いに続き、直近でも3億円分(1.37%)を買い込んでいます。
*参考記事① 2021-11-01 1,820円*分割遡及修正後 NT
【3655】ブレインパッド/伊藤忠商事の強力なDX推進で、当面は年率2割成長が期待されよう。
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