【6061】ユニバーサル園芸社/中計は事実上の上方修正、ニコライ・バーグマンを買収。 | なちゅの市川綜合研究所

なちゅの市川綜合研究所

「別に勝たなくてもいいので、負けないこと」を志向しております。
本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報等に基づき、作成されています。
当ブログの情報に全面的に依拠することはお控えいただき、最終的なご判断はご自身でお願いいたします。

image

【6061】ユニバーサル園芸社(東証STD) OP

現在値 4,070円/100株 P/E 11.2  P/B 1.80  6月配当優待 12月優待

オフィスなどへの観葉植物レンタル大手。園芸・生花などの小売を拡大。
配当金は6月末の年1回24円のため、配当利回りは約0.59%となります。

 

ユニバーサル園芸社は株主優待制度を実施しており、単元株を保有する6月末の株主に対しての株主に対して2,000円分、12月末の株主に対して1,000円分のクオカードを進呈しておりますので、配当優待利回りは約1.32%となります。

業績を確認していきます。   

■2021年6月期 売上高 95.7億円、経常利益 13.4億円 EPS 152.5円 

■2022年6月期 売上高 115.9億円、経常利益 19.6億円 EPS 288.5円 

■2023年6月期 売上高 138.1億円、経常利益 21.8億円 EPS 315.3円 

■2024年6月期 売上高 158.8億円、経常利益 24.6億円 EPS 363.6円 ce

□2023年9月1Q 売上高 31.5億円、経常利益 2.7億円 EPS 32.7円(11/13) 

□2023年12月2Q 売上高 72.2億円、経常利益 10.6億円 EPS 160.3円 ce 

2023年6月期の売上高はYoY+19.1%の138.1億円、経常利益はYoY+11.2%の21.8億円となり、対前・対計画で増収増益となりました。主力のグリーン事業・国内については、正常化によるオフィス回帰でビル向け需要が復元したほか、ホテル(商業)向けも増勢となり、懸念の海外事業も大きく回復しました。他方、卸売事業・小売事業については“巣ごもり特需”剥落したほか、人件費・光熱費といった店舗運営経費の増加が利益を圧迫したものの、高単価商材が好調だったほか、関連商材の拡販により増収を確保しました。


進行期である2024年6月期の予算については、売上高がYoY+15.0%の158.8億円、経常利益はYoY+13.1%の24.6億円を予想しています。小売事業は需要後退、店舗コスト増で弱含みが見込まれるものの、主力のグリーン事業については、正常化継続でオフィス・商業向けの回復基調が持続するほか、7月開設の両国支店が新規貢献します。尚、11月にはブリザーブドフラワーの販売会社を買収(※後述)を公表しており、予算に織り込まれていないため、11月13日開示済の1Qは弱いものの、新規連結効果で計画線とみられます。

 

当社は中長期の目標として、2028年6月期までの向こう5年間で売上高300億円&営業利益30億円まで引き上げる計画としてきましたが、今次本決算で“最終利益”30億円目標(営業利益で42億円見当)に置き換えており、業績好調を背景とした事実上の上方ローリングと解されます。今次中計の取組事項については、①シェア拡大、②M&A、③新商材・販路拡大、④小売拡大、⑤海外事業展開の5本柱となっています。

 

当社は特に②のM&Aに特徴があり、2015年・2016年に米国で一部事業譲受を含む3社、2018年に園芸ネット、SGのミラージュを買収しています。また2020年には植木・花卉・種苗生産の小林ナーセリーを事業譲受したほか、2022年には江戸川区、横浜市、川口市で園芸店やカタログ販売会社を相次いで買収しています。

 

この度当社はフラワーボックスの“ハシリ”として大変有名なNicolai Bergmann(ニコライ・バーグマン)の買収を公表しています。本件買収により、理論上は売上高22億円/営業利益1.5億円がオンされるものの、被買収企業の純資産は4億円程であり、のれん償却で利益貢献は僅少と解されます。然しながら、既存の当社法人販路の商流に乗せることが出来れば相応のシナジー効果が見込まれることから、それを前提とした買収と解されます。

 

会社側では本業のグリーンレンタル市場の国内TAMを推計400億円として認識し、現状7%程度のシェアを引き上げる方針であり、園芸事業者の相続等を触媒に事業拡大を目指します。なお、④の小売事業については専ら新規出店による拡大を志向しており、此方も中長期的にはニコライ社の買収シナジーが見込まれます。

 

配当は2円増配の年24円配当を見込んでいます。当社は無借金で良好な財務状況を維持していることから、配当性向2割水準すら大きく下回っている現状(今期予想6.6%)は明らかな還元不足となっています。自己資本比率は80.9%という空前の高水準であり、6月には株主優待の拡充(従来基準に復元)を実施したものの、もう一段踏み込んだ株主還元が望まれます。
 

*参考記事①   2023-05-11  3,105円 OP

【6061】ユニバーサル園芸社/経済正常化で順調な回復進む、中計後ろ倒しはコンサバな印象。

 

*参考記事② 2022-11-19  3,390円 OP

【6061】ユニバーサル園芸社/レンタルグリーン回復強く増配も、株主還元の不足感は根強い。

 

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。

 

にほんブログ村 株ブログ 株主優待へ にほんブログ村 株ブログ IPO・新規公開株へ にほんブログ村 株ブログ サラリーマン投資家へ