【2695】くら寿司/各種原価増やはま寿司への流出が痛打、業績は未達公算が高い。 | なちゅの市川綜合研究所

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【2695】くら寿司(東証プライム) OP

現在値 3,255円/100株  P/E 117.5  P/B 2.48  10月配当 4月株主優待

関西・関東軸にロードサイド中心の回転寿司「くら寿司」を直営展開。2位級。
配当金は10月末の年1回・20円配のため、配当利回りは約0.61%となります。

 

くら寿司は株主優待制度を導入しており、4月に単元株以上を保有する株主に対し、アプリ利用を前提に5,000円分のクーポン(※1,000円につき500円利用可)を進呈しておりますので、配当優待利回りは約2.15%となります。

業績を確認していきます。  

■2020年10月期 売上高 1,358億円、営業利益 3.5億円 EPS▲6.7円 

■2021年10月期 売上高 1,475億円、営業利益▲26.7億円 EPS 48.0円

■2022年10月期 売上高 1,830億円、営業利益▲11.3億円 EPS 18.7円

■2023年10月期 売上高 2,090億円、営業利益 30.0億円 EPS 27.7円 ce

□2023年4月2Q 売上高 1,018億円、営業利益▲11.8億円 EPS▲27.5円 

□2023年7月3Q 売上高 1,550億円、営業利益▲3.7億円 EPS▲16.3円(9/8) 

 

2023年4月中間期の売上高はYoY+14.0%の1,018億円、営業利益はYoY▲15.0億円の▲11.8億円となり、増収ながら大幅減益となりました。「鬼滅の刃」「ちいかわ」など有力IPとのコラボ企画や、かにやまぐろ等の人気商材フェアの奏功で国内SSSは111.9%を確保したほか、北米・アジアも同様に「BT21」「リラックマ」等のコラボで好伸し、売上は大幅増となりました。他方、利益面は原材料価格や水光熱費、海外を中心とした人件費など原価が軒並み増となり、大幅減益となりました。


2023年10月期の通期見通しは売上高がYoY+14.2%の2,090億円、営業利益はYoY+41.3億円の30.0億円を据え置いています。国内は昨年10月の価格改定(値上げ/値下げ両方)効果が通期影響するものの、下期も「にじさんじ」コラボや「逸品シリーズ」の導入により、9月分までが既開示のSSSは116.1%と堅調に推移しているものの、原価増をはじめとした各種店舗運営経費の増加が重く、利益が圧迫されています。米国・アジアでも同様の傾向がみられ、9月8日に開示済の3Qは売上高1,550億円&営業益▲3.7億円と未達ペースで推移しています。

 

当社は2021年にローリング中計を公表しており、およそ10年後の2030年10月期を目途に売上高を1,361億円(*FY19実績)→3,600億円、内外店舗数を485店(*同)→1,100店まで其々引き上げる計画であり、主に増店による成長を志向しています。その手前の翌2024年10月期迄は3ヵ年の中期目標として、売上高2,200億円&海外売上高比率20%、経常利益率5%(110億円)を公表しているものの、達成は極めて困難な状況となっています。

 

取組事項としては①年25店+の出店、②SSS100%+の継続、③海外積極展開の3軸が挙げられています。①は従来のロードサイド出店から、高い価格受容性やインバウンドの戻りが見込まれる都心繁華立地へシフトしており、実勢ベースでは年40~50店出店しています。②は強力IPのコラボと大量TV広告投入の併用といった“力技”の販促策を駆使して、採算度外視でSSSを維持してきたものの、価格を引き上げた当社とスシローは据え置いたはま寿司に顧客を奪われているような状況です。

 

③の海外展開については、進行期も米国で10店・台湾で5~10店を出店する計画であり、引き続き出店による外部成長を志向しています。現状、米国子会社(NQ上場)が40店を展開しているほか、台湾子会社(TW上場)が48店を展開しており、スシロー(FOOD&LIFE Co.)を先行しています。他方、元気寿司や英国で同業を買収したはま寿司(ゼンショー)が勢いを増しているほか、当社は親子上場特有の利益流失も重しとなるため、目論見どおりの出店が進んでも、期待通りの業績が出力しない可能性があります。

 

財務面については、ネット現金100億円超&自己資本比率41.8%と潤沢な水準を維持しています。そのため、進行期の配当性向は7割超の高水準となるものの、配当予想の年20円が問題なく吐き出される公算が高そうです。

 

*参考記事① 2023-03-29 3,165円 OP

【2695】くら寿司/同業の動画風評影響や、「ちいかわ」等の積極販促策で採算性の悪化続く。

 

*参考記事② 2022-10-17  3,160円 OP

【2695】くら寿司/売上健闘だが原材料高騰影響で下方修正、海外展開に改めて期待。

 

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