【2695】くら寿司/同業の動画風評影響や、「ちいかわ」等の積極販促策で採算性の悪化続く。 | なちゅの市川綜合研究所

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【2695】くら寿司(東証プライム) OP

現在値 3,165円/100株  P/E 114.3  P/B 2.59  10月配当 4月株主優待

関西・関東軸にロードサイド中心の回転寿司「くら寿司」を直営展開。2位級。
配当金は10月末の年1回・20円配のため、配当利回りは約0.63%となります。

 

くら寿司は株主優待制度を導入しており、4月に単元株以上を保有する株主に対し、アプリ利用を前提に5,000円分のクーポン(※1,000円につき500円利用可)を進呈しておりますので、配当優待利回りは約2.21%となります。

業績を確認していきます。  

■2020年10月期 売上高 1,358億円、営業利益 3.5億円 EPS▲6.7円 

■2021年10月期 売上高 1,475億円、営業利益▲26.7億円 EPS 48.0円

■2022年10月期 売上高 1,830億円、営業利益▲11.3億円 EPS 18.7円

■2023年10月期 売上高 2,090億円、営業利益 30.0億円 EPS 27.7円ce

□2023年1月1Q 売上高 512億円、営業利益▲6.7億円 EPS▲15.7円(3/10) 

□2023年4月2Q 売上高 1,000億円、営業利益 13.0億円 EPS 12.6円 四e

 

2022年10月期の売上高はYoY+23.9%の1,830億円、営業利益はYoY▲22.6%の▲11.3億円となり、3Q時点の減額見通し並みで着地しました。年初の“まん防”期間に営業時間を短縮したものの、「ワンピース」「鬼滅の刃」「BT21」など有力IPとのコラボ企画の奏功で国内SSSは107.7%を確保したほか、北米・アジアも営業規制の撤廃や「サンリオ」「クレヨンしんちゃん」等のコラボにより好伸し、展開各域で売上高は過去最高となりました。他方、利益面は魚介類を中心とした原材料価格や水光熱費の上昇により営業利益は赤字留まりとなり、助成金31億円が計上される経常利益でやっと黒転しています。


2023年10月期の予算については、売上高がYoY+14.2%の2,090億円、営業利益はYoY+41.3億円の30.0億円を見込んでいます。国内はスシローの“迷惑動画”騒動の影響で期初より低調な推移を強いられているだけでなく、昨年10月の価格改定では110円皿を115円に値上げする一方、220円皿を165円に値下げするといった所謂“一斉値上げ”とは異なる値付け策を採っているため、採算性が急悪化しています。また、米国・アジアも原材料費や人件費の高騰が継続しており、同様の傾向がみられます。3月10日既開示の1Qは売上高512億円&営業利益▲6.7億円と弱含みで進捗しています。

 

当社は2021年にローリング中計を公表しており、向こう10年程先となる2030年10月期を目途に売上高を1,361億円(*FY19実績)→3,600億円、内外店舗数を485店(*同)→1,100店まで其々引き上げる計画とし、出店の加速化により計画値を増額した格好となります。また、翌2024年10月期までの3ヵ年中期目標として、売上高2,200億円&海外売上高比率20%、経常利益率5%(110億円)をガイドしています。

 

取組事項は①年25店+の出店、②SSS100%+の継続、③海外積極展開の3軸が挙げられています。①は従来型のロードサイド店舗から、高い価格受容性やインバウンドの戻りが見込める渋谷や新宿・道頓堀といったピン立地へでの大型出店を進めています。②は特許を保有する抗菌カバーの“鮮度くん”や、スマホを活用した“スマートくら寿司”の機能拡充による付加価値訴求を志向しているものの、実態は「SPY×FAMILY」や「ちいかわ」といった強力IPのコラボ起用や、これに合わせた大量TV広告投入といった“力技”の販促策がいまなお継続しており、採算度外視でSSSを維持しているような状況です。

 

③の海外展開については、進行期も米国で10店・台湾で5~10店を出店する計画であり、引き続き出店による外部成長を志向しています。現状、米国子会社(NQ上場)が40店を展開しているほか、台湾子会社(TW上場)が48店を展開しており、スシロー(FOOD&LIFE Co.)をやや先行している状況です。他方、海外でも魚介原価が高騰しているほか、親子上場による持分利益喪失というデメリットが存在しているため、内外親子上場ならではの出店スピード感が期待通りに出力されるかどうかが中長期的な投資論点となります。

 

財務面については、ネット現金100億円超&自己資本比率44.5%と潤沢な水準を維持しています。そのため、進行期においても計算上の配当性向は7割超の高水準となるものの、予想の年20円配当は問題なく吐き出される公算が高いとみられます。

 

*参考記事① 2022-10-17  3,160円 OP

【2695】くら寿司/売上健闘だが原材料高騰影響で下方修正、海外展開に改めて期待。

 

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