【8410】セブン銀行(東証プライム) BY
現在値 321円/100株 P/E 9.86 P/B 1.51 3月配当 9月配当 株主優待無し
提携金融機関からのATM手数料が柱。セブン‐イレブン店舗中心に2.5万台超、海外展開も。
配当金は年2回・合計11円のため、配当利回りは約3.42%となります。
セブン銀行は株主優待を実施しておりません。
業績を確認していきます。
■2021年3月期 経常収益 1,372億円、経常利益 356億円 EPS 22.0円
■2022年3月期 経常収益 1,366億円、経常利益 282億円 EPS 17.7円
■2023年3月期 経常収益 1,549億円、経常利益 289億円 EPS 16.0円
■2024年3月期 経常収益 1,985億円、経常利益 255億円 EPS 31.6円 ce修正(8/4)
□2023年6月1Q 経常収益 412億円、経常利益 77.5億円 EPS 4.5円(8/4)
□2023年9月2Q 経常収益 885億円、経常利益 120億円 EPS 24.8円 ce修正(8/4)
2023年3月期の経常収益はYoY+13.4%の1,549億円、経常利益はYoY+2.3%の289億円となり、対前・対計画で増収増益となりました。“〇〇Pay”に代表されるコード決済チャージ利用の増加で利用件数は95.2件→101.5件/日と想定超となった一方、手数料の高いメガバンクや消費者金融系の利用減少によるミックス悪化基調が継続し、受入単価は109.8円→108.3円と1円超下落しました。なお設置台数は、期末比純増660台となり、期末の設置総数は26,913台となりました。
進行期である2024年3月期の通期予算は1Qで修正しており、経常収益がYoY+28.0%の1,985億円(期予:1,665億円)、経常利益はYoY▲11.8%の255億円(期予:245億円)に増額しています。通期予算諸元の利用件数は101.2件、受入単価は107.7円としており、足許実勢比でコンサバな前提であり、設置台数はYoY+3%の615台(27,597台)を見込んでいます。減益となるのは4G_ATMへのリプレイス進捗に伴う減価償却費増であり、1Qの修正は子会社化したセブン・カードサービス(※後述、7CS)の業績反映となります。
このたび当社は2026年3月期を最終年度とする5ヵ年中計をローリングしており、経常収益の増収額を+1,130億円(従予:+330億円)、経常増益額を+106億円(従予:▲10億円)に大きく増額修正しています。今次中計期間では、リプレイス中の4G_ATMの設置進捗に応じて減価償却費負担が加速度的に増加(▲30億円~▲50億円/年)するため、進行期までは利益の頭が押さえつけられる公算でしたが、グループ内再編による7CS買収で一転して大幅増額へと転じます。
当社は本年7月に320億円を投じて、グループのカード事業や電子マネーnanacoを手掛ける7CSを傘下に収めており、巡行ベースで年あたり営業収益400億円&経常利益30億円程度の上乗せが見込まれます。また、グループ共通IDである“7iD”の活用により、既存の決済履歴を活用した与信プロセス簡略化等でシナジー強化を図る方針であり、向こう3年のKPIとして、口座数を270万→500万、ローン残高350億円→800億円、カード会員360万人→700万人を掲げています。
主力のATM機能拡張については、新型の4G_ATMのKYC(本人確認)機能による金融機関の口座開設に代表されるBPOの拡大、行政手続き代行(納税、公金受取)といった取組をこの9月にいよいよ本格開始させます。海外展開についても、全米で8,600台程を擁する米国子会社のFCTIにくわえ、フィリピン・インドネシアでの台数拡大を図ります。参入したばかりのフィリピンは2,300台で黒字化が見えているほか、インドネシアは5,500台と稼働台数が指数関数的に増加しており、金利上昇により苦戦が続く米国を除けば概ね順調とみられます。
株主還元は「配当性向40%水準の堅持」、「安定的かつ継続的な配当」という還元ポリシーを据え置いています。他方、会社側アナウンスによれば、7CS買収によるテクニカル計上の負ののれん特益215億円も配当原資として考慮する方針としているため、現状は横引きの年11円配を予想しているものの、実際は増配公算が高いものと解されます。
*参考記事① 2022-09-22 264円 BY
【8410】セブン銀行/米国金利負担増は重いが、アジア圏ATM設置が加速度的に進捗。
*参考記事② 2022-02-10 265円 BY
【8410】セブン銀行/海外中心に設置台数は計画超で進む、受入単価の底入れを確認したい。
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