【8410】セブン銀行/米国金利負担増は重いが、アジア圏ATM設置が加速度的に進捗。 | なちゅの市川綜合研究所

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【8410】セブン銀行(東証プライム) BY

現在値 264円/100株  P/E 15.9  P/B 1.25  3月配当 9月配当 株主優待無し

提携金融機関からのATM手数料が柱。セブン‐イレブン店舗中心に2.5万台超、海外展開も。

 

配当金は年2回・合計11円のため、配当利回りは約4.17%となります。
セブン銀行は株主優待を実施しておりません。

業績を確認していきます。

■2020年3月期 経常収益 1,485億円、経常利益 398億円 EPS 22.1円 

■2021年3月期 経常収益 1,372億円、経常利益 356億円 EPS 22.0円 

■2022年3月期 経常収益 1,366億円、経常利益 282億円 EPS 17.7円 

■2023年3月期 経常収益 1,490億円、経常利益 280億円 EPS 16.5円 ce

□2022年9月2Q 経常収益 738億円、経常利益 145億円 EPS 8.3円

□2022年12月3Q 経常収益 1,142億円、経常利益 228億円 EPS 13.0円(2/3)  

2022年9月中間期の経常収益はYoY+9.5%の738億円、経常利益はYoY▲3.6%の145億円となり、予算比で上振れました。“〇〇Pay”に代表されるコード決済チャージ利用の増加で利用件数は95.2件→99.7件/日と想定超となった一方、手数料の高いメガバンクや消費者金融系の利用減少によるミックス悪化基調が継続し、受入単価は109.8円→109.0円と続落となりました。なお設置台数は、期末比純増272台に留まっており、上期末の設置総数は26,525台となりました。

 

2023年3月期の通期見通しは期初のものを据え置いており、経常収益がYoY+9.0%の1,490億円、経常利益はYoY▲0.9%の280億円を見込んでいます。通期予算諸元の利用件数は97.7件、受入単価は109.5円のため、単価減少を件数増加で相殺している状況であり、新型肺炎禍前の8掛け水準に留まっている消費者金融向けが伸び悩んでいる状況です。設置台数については、YoY+3%の700台(26,935台)を見込んでおり、4G_ATMの導入費用と減価償却費(+25億円)の増加で減益想定ですが、新規設置がビハインドしているため、利益横ばい圏まで上振れる可能性が高そうです。

 

当社は2026年3月期を最終年度とする5年中計を策定しており、進行期はその2年度目となります。経常収益+330億円と増収を見込む一方、経常利益は▲10億円のマイナス成長を前提とし、規模拡大を優先します。取組事項は①ATM機能拡張、②海外展開、③700億円規模の成長領域投資、の3点が挙げられていますが、4G_ATMの設置進捗に応じて減価償却費負担が加速度的に追加(▲30億円~▲50億円/年)されるため、翌2024年3月期頃迄は利益の頭が押さえつけられる格好となります。

 

取組①のATM機能拡張は、新型の4G_ATMのKYC(本人確認)機能による金融機関の口座開設に代表されるBPOの拡大、行政手続き代行(納税、公金受取)のほか、セブン&アイのグループ連携が本格化するため、いよいよ可視化規模の売上計上が目されます。取組②の海外展開は、全米で8,600台程を擁する米国子会社のFCTIにくわえ、フィリピン・インドネシアでの台数拡大を図ります。参入したばかりのフィリピンは2,300台、インドネシアは5,500台と稼働台数が指数関数的に増加しているほか、利用件数も好調なため計画超とみられます。

 

③の700億円投資は、①の機能拡張に300~400億円、②の海外ATM増設に200億円を投じる計画です。これらの資金需要にくわえ、米国の利上げ影響(ATM充填現金の調達コスト増)が想定超の負担となっているため、株主還元は「配当性向40%水準の堅持」、「安定的かつ継続的な配当」という還元ポリシーを据え置いています。減益計画となる今次中計においても、専ら減価償却費の増大による非現金支出が主因のため、年11円配の継続を見込んでいます。

 

*参考記事①  2022-09-22 265円 BY

【8410】セブン銀行/海外中心に設置台数は計画超で進む、受入単価の底入れを確認したい。

 

*参考記事② 2022-02-10  258円 BY

【8410】セブン銀行/受入手数料単価のミックス悪化続くも、アジア圏の設置台数増加が顕著。

 

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