【8410】セブン銀行/受入手数料単価のミックス悪化続くも、アジア圏の設置台数増加が顕著。 | なちゅの市川綜合研究所

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【8410】セブン銀行(東証一部) BY

現在値 258円/100株  P/E 15.3 P/B 1.28 3月配当 9月配当 株主優待無し

提携金融機関からのATM手数料が柱。セブン‐イレブン店舗中心に2.5万台超、海外展開も.。

 

配当金は年2回・合計11円のため、配当利回りは約4.26%となります。
セブン銀行は株主優待を実施しておりません。

業績を確認していきます。

■2018年3月期 経常収益 1,276億円、経常利益 383億円 EPS 21.2円 

■2019年3月期 経常収益 1,472億円、経常利益 407億円 EPS 11.1円 

■2020年3月期 経常収益 1,485億円、経常利益 398億円 EPS 22.1円 

■2021年3月期 経常収益 1,372億円、経常利益 356億円 EPS 22.0円 

■2022年3月期 経常収益 1,376億円、経常利益 283億円 EPS 16.7円 ce
□2021年9月2Q 経常収益 674億円、経常利益 150億円 EPS 9.2円  

□2021年12月3Q 経常収益 1,031億円、経常利益 235億円 EPS 13.5円(2/4) 

2021年9月中間期の経常収支はYoY▲1.2%の674億円、経常利益はYoY▲19.7%の150億円となり、減収減益となったものの予想比で上振れしました。手数料単価の低い“〇〇Pay”のようなコード決済チャージ利用増加もあり、利用件数/1日はYoY+8%の95.2件と増加した一方、手数料の高いメガバンクや消費者金融系の利用が減少するミックス悪化が継続し、受入単価はYoY▲12%の109.8円まで下落しました。他方、利益面については新型の第4世代(4G)ATMリプレイスによる設置工事費用が増加しているものの、半導体供給不足で設置が遅れているため、対予算で上振れとなりました。

 

2022年3月期の通期の見通しは据え置いており、経常収益はYoY+0.2%の1,376億円、経常利益はYoY▲20.5%減の283億円を予想しています。コード決済利用の増加と、消費者金融やメガバンク利用の減少によるミックス悪化が継続しており、通期前提の受入単価110.9円に対し、3Q時点で同109.4円のため想定超の下落しています。他方、利用件数/1日については新型肺炎一巡による人流回復やPayPay等コード決済の販促増加もあり、通期前提の95.5件に対し、3Qで100.1件と想定超で回復しています。また、4G_ATMの設置が遅れていることから、期末時点の稼働台は計画(YoY+550台の26,226台)に届かないものの、費用未消化で予算は過達となる見通しです。

 

今期は2026年3月期を最終年度とする新中計の初年度となっており、向こう5年間で経常収益+330億円と大幅な増収を見込む一方、経常利益は▲10億円とマイナス成長を予定しており、あくまで規模拡大を優先する方針となっています。具体な取組としては、①ATMビジネスの機能拡張、②海外展開、③700億円規模の成長領域投資を軸としていますが、リプレイス中の4G_ATMの減価償却費負担の累計増が極めて重く、年間▲30億円~▲50億円ものコスト増が予想されるため、ATM新設(純増)による増収ではカバーしきれない見通しです。

 

なお①のATM機能拡張については、マイナンバー対応の4G_ATM置き換わりによるKYC(本人確認)領域の進展や、口座開設等の金融機関のBPO拡大等の多角化で収益基盤の拡大を図るとともに、②の海外展開については、全米で9,300台程を展開する米国子会社のFCTIにくわえ、フィリピン・インドネシアでの台数拡大により成長を目指します。特に本年2月に設置を開始したフィリピンで既に1,200台が稼働を開始しているほか、インドネシアの設置台数もこの3Q時点でYoY+1,800台の2,500台と稼働台数を爆発的に増加させています。③の700億円投資は、主として①の多角化に300~400億円、海外のATM増設に200億円、その他CXや組織変革に100億円を投じ、総額ベースでは過去5年より500億円増の1,500億円規模の投資を実行します。

 

かかる積極投資策による資金需要もあり、株主還元については「配当性向40%水準の堅持」、「安定的かつ継続的な配当」というポリシーを変えていないものの、減益計画となる5年中計も専ら減価償却費の増大による非現金支出が原因のため、年11円の配当が当分据え置かれるものと考えています。

 

*参考記事① 2021-08-05 241円 BY

【8410】セブン銀行/新型ATM置換えで減価償却費増大も、非現金支出で高配当維持の公算。

 

*参考記事② 2021-01-22 224円 BY

【8410】セブン銀行/第4世代ATM置換えで当面はマイナス成長想定も、年11円配を堅持か。

 

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