【3153】八洲電機/日立絡みの鉄道需要復調も、世界的なサプライチェーン混乱が痛打。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3153】八洲電機(東証1部)  NT

現在値 957円/100株  P/E 12.7  P/B 0.95 3月配当 9月株主優待

日立系商社。工場や企業向けに電気機器の納入・設置工事を一括提供。
配当は3月一括の年22円配当のため、配当利回りは約2.30%となります。

 

八洲電機は株主優待を導入しており、9月末現在の100株以上保有の株主に対して、500円分のジェフグルメカードを進呈しておりますので、配当優待利回りは約2.82%となります。なお、1年以上保有を継続する株主に対しては500円分が追加されますので、配当優待利回りは約3.34%となります(※2単元の場合は変則優待:2,000円分、1年超で2,500円分、3年超で3,000円分)


業績を確認をしていきます。

■2018年3月期 売上高 735億円 経常利益 21.7億円 EPS 72.4円 

■2019年3月期 売上高 698億円 経常利益 25.2億円 EPS 85.0円 

■2020年3月期 売上高 701億円 経常利益 26.5億円 EPS 64.6円

■2021年3月期 売上高 630億円 経常利益 24.5億円 EPS 76.5円 

■2022年3月期 売上高 610億円 経常利益 23.5億円 EPS 75.0円 ce修正(1/31)
□2021年9月2Q 売上高 245億円 経常利益▲0.5億円 EPS 0.4円 

□2021年12月3Q 売上高 359億円 経常利益 1.9億円 EPS 5.3円 (1/31)

2021年9月期中間の売上高はYoY+1.7%の245億円、経常利益はYoY▲49.2%の0.2億円となり、予算比は無いものの横ばいとなりました。主力の産業・交通事業は設備投資意欲が後退していた鉄道系顧客が持ち直し、車両関連や受変電設備が順調に推移したほか、産機分野も半導体不足の影響を受けたものの堅調に推移しました。一方でプラント事業は、鉄鋼・非鉄分野における顧客企業の事業再編や設備休止の動きを受けて低調に推移したほか、石油・エネルギー等分野も設備工事が概ね計画線も、石油分野の需要回復遅れや老朽化設備工事減少もあり、同様に低調となりました。


2022年3月期の通期見通しは3Q時点で減額しており、売上高はYoY+3.1%の610億円(期予:630億円)、経常利益はYoY+1.5%の23.5億円(期予:25.0億円)に修正しています。元より当社は系列である日立製作所絡みのインフラ系の官公需が大きいため、業績は大きく下期偏重する傾向があるものの、期初時点の受注残高がYoY▲10.1%の383億円と発射台がそもそも低調だったこともあり、期中の受注で盛り返せない見通しです。世界的な半導体不足や部品の供給不足・遅延により、納期や工期遅延が発生しており、日立が得意とする鉄道向けなど回復しつつある分野が散発的にみられるものの、おしなべて低調に推移しています。

 

通常3年スパンで開示している中計については、今回は5年に引き伸ばした上で昨年6月に開示しており、最終年度の2025年3月期に売上高700億円&経常利益35億円を目指す計画です。本中計での定性的な取組事項としては、日立のメーカー商社から本格的に脱却し、エンジニアリング強化による高付加価値化により収益拡大を図るほか、顧客の重点投資領域を掘り下げて収益機会を獲得するなどとなっています。

 

会社側では本中計の前提として「経済活動の回復には相当程度の時間を要する」としていることから、今次5年中計自体も“幕間つなぎ”の位置付けとみられ、具体の内容については見所に乏しいものとなっています。公表されているものでは、傘下のエンジ子会社とシステム子会社の合併(による体制強化)とか、制御盤工場の移転集約(による効率化)とか、プラント子会社の本社建て替えなど効果が限定的なものばかりとなっているため、当面は世界的なサプライチェーンの回復なといった外部環境改善による業績変化しか期待できなさそうな印象です。

 

財務面については、7億円ほどの借金をネットしてなお80億円超の手元現金を抱えており、自己資本比率も50%弱と商社としては高水準をキープしています。そのため、配当金は創業75周年記念配当の2円を含む、年22円配当を予想していますが、

 

*参考記事① 2021-01-15  980円 NT

【3153】八洲電機/鉄道系顧客の投資意欲減退が痛いが、受注底堅く横ばい圏か。

 

*参考記事② 2020-01-25 926円 NT

【3153】八洲電機/電子デバイス事業売却も、リストラ効果の発現期待は高い。

 

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