【3153】八洲電機/電子デバイス事業売却も、リストラ効果の発現期待は高い。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3153】八洲電機(東証1部)  NT

現在値 926円/100株 PER 11.7 PBR 1.03 3月配当 9月株主優待

日立系商社。工場や企業向けに電気機器の納入・設置工事を一括提供。
配当は3月一括の年20円配当のため、配当利回りは約2.16%となります。

 

八洲電機は株主優待を導入しており、9月末現在の100株以上保有の株主に対して、500円分のジェフグルメカードを進呈しておりますので、配当優待利回りは約2.70%となります。なお、1年以上保有を継続する株主に対しては500円分が追加されますので、配当優待利回りは約3.24%となります(※2単元の場合は変則優待:2,000円分、1年超で2,500円分、3年超で3,000円分)


業績を確認をしていきます。
■2016年3月期 売上高 783億円 経常利益 20.0億円 EPS 83.1円 
■2017年3月期 売上高 756億円 経常利益 16.8億円 EPS 46.3円 

■2018年3月期 売上高 735億円 経常利益 21.7億円 EPS 72.4円 

■2019年3月期 売上高 698億円 経常利益 25.2億円 EPS 85.0円 

■2020年3月期 売上高 740億円 経常利益 26.0億円 EPS 78.7円ce
□2019年9月中 売上高 299億円 経常利益 1.8億円 EPS 4.1円(10/30)

2019年9月中間期の売上高は、前年同期比7.1%増の299億円、経常利益は同3.4倍の1.8億円となり、期初予想との比較はないものの増収増益となりました。主力の産業機器・交通事業については、都市部の再開発案件の増加により空調設備工事が増加したほか、交通分野において列車運行システムの大型案件の計上があったため堅調に推移しました。プラント事業については、老朽化設備更新で大型案件の計上があったほか、省エネ・高効率化等の高付加価値案件の受注が好調に推移しました。また、電子デバイス事業についても概ね堅調に推移したことから、全てのセグメントで増収増益を確保し、順調な折り返しとなりました。


なお2020年3月期通期の予算については期初のものを据え置いており、売上高は前期比6.0%増の740億円、経常利益は同3.0%増の26.0億円を予想しています。当社は系列である日立製作所が得意とする社会インフラ事業における官公需が大きいため、業績は通常下期に大きく偏重する傾向がありますが、今期も特に4Qに数字が集中することが見込まれています。内容としては、産業機器・交通事業において、5G関連のデータセンター建設や都市部インフラ老朽化対策の伸びが見込まれるほか、プラント事業についても自然災害や設備トラブル対策の引き合いが強いため、下期も堅調に推移する見通しです。なお、期初時点の受注残高は前年同時期比12.9%増の414億円を確保していたほか、本上期中にも高ピッチで受注を積み上げたため、会社予算は走破圏です。


前2019年3月期が前3年中計の最終年度になっており、当初は売上高900億円(CAGR5%)、経常利益26億円(CAGR9%)を見込んでいましたが、売上高段階から大幅な未達ではあるものの、利益はまずまずの水準を確保しました。これは主に上顧客であった任天堂向けのゲーム機器の生産・取扱縮小の影響によるところであり、長年当社の業績に大きく貢献した電子デバイス事業が丸ごとシュリンクしたことに由ります。そのため、昨年9月に電子デバイス事業を手掛ける子会社の八洲電機ソリューションズを立花エレテック(8159)へ売却することを公表しており、売却実行される翌2021年3月期は当該セグメントの業績が丸ごと剥落する形となります。これにより売上高が80億円、経常利益が1億円程度剥落するほか、純資産の半分程の5.3億円で譲渡しているため、今期は4.5億円程の特損が計上される見通しとなっています。

 

かようなセグメントを丸ごとリストラするといった背景により、今期は新中計の公表を見送ったものと思われ、今後会社側としては、従来の日立のメーカー商社から脱却して「ソリューション」や「エンジニアリング」をフィーチャーさせた付加価値型のコンサルティング営業へ軸足を移していく方針と考えられます。親会社(?)の日立よろしく、かなりドラスティックに選択と集中を進めていますが、当社を取り巻く市況環境自体は非常に良好であり、5G設備投資や防災対策、鉄道等のインフラ更新需要などいずれも高い受注が見込めるため、リストラ過渡期ではあるものの成果が期待しやすく、来期に公表されるであろう新中計はある程度期待出来ると考えています。

 

なお財務面については、7億円ほどの借金をネットしてなお60億円近い手元現金を抱えています。好財務のわりに株主還元が渋い傾向にありましたが、足許では増配基調【13→15→16→18→20→20円(予】を維持しており、配当性向もまだ25%程であることから、このコントロールだけでも増配が可能であり、次期中計ではこの辺の還元政策の変更にも期待を込めたいところではあります。

 

*参考記事① 2019-01-24  751円 NT

好財務を原資に増配基調が定着、足許では優待拡充も・八洲電機(3153)。

*参考記事② 2018-01-06 1,041円 NT

3年中計は未達濃厚も、株主還元の強化に期待・八洲電機(3153)。

 

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 

特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に 

基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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